さて、「外大生のための勝ちにいく就活講座」のごとく、気付けば10万字を軽く超えるレベルのボリュームとなってしまいました。普通に街で売っている書籍1冊分以上です。かなり長い講座になってしまいましたのでお疲れかと思いますが、最後に、皆さんと一緒に取り組んできたことを振り返って終わりにしようと思います。

まず、大人語講座のリアル講座でお伝えしている内容をお伝えしてきました。チームワークはできませんので、個人ワーク中心で取り組んでいただき、リアル講座で過去に為された議論にも触れながら、要点を絞ってお伝えしました。手順としてはシンプルで、外大生の強みと弱みを洗い出し、未来の兆しと思われる世界の事象から確度の高い未来予測を示し、5年後の外大生に訪れる機会や脅威を考え、外大生が将来活躍するために取り組むべき課題を導出しました。そしてその課題を解決するためにどうすべきか、課題解決の各種手法を適宜お伝えしつつ、皆さんそれぞれのアプローチで考えていただきました。この一連で辿ってきた考え方をフレームワーク化し、大人語、即ち正解の無い問いに対してクリエイティブに答えを創る技術の基本技能として教授しました。また、すぐに覚えていただくべき、本講座を受けている人と受けていない人とで大きな差がつく知識についても、講座の途中で都度お示ししてきました。

次に、文字ではお伝えすることがなかなか難しい打ち合わせの技術、世に言うプロジェクトファシリテーションの技術について、別建てで解説しました。リアル講座はグループワーク中心で進んでいきますから、議論の仕方というのは都度お伝えできるのですが、文字ベースという制約を鑑み、一つの項目を立て、考え方のみお示しした形です。また、本書執筆中にコロナ禍となり、特にグローバル企業や大企業を中心にリモートワーク中心の世の中となったことを受け、リモートにおける打ち合わせの技術や、現場で起きていること、これから顕著になっていくであろう打ち合わせにおいて重視されるスキルの変化についても併せて簡単にお伝えしました。これはリアル講座では教授していなかった部分で、逆にリアル講座ではお伝えしにくい部分でした。

続いて、書籍版オリジナルとして、大人語を学問的に解釈する試みをしました。リアル講座はワークショップ形式で進みます。文字ベースの本書ではワークショップ形式の醍醐味の一つであるライブ感が失われ、どうしても学習効果が落ちてしまうことは否めません。そのため、大人語講座の内容を角度を変えながら繰り返し示すことで、理解を深めていただく工夫をすることにしました。まず最初の角度として、大人語を学問的に捉える、という試みです。他大の学生が大学でどういう形で大人語を学んでいくのかを示しました。大人語は学問的に見ればマーケティングの範疇となりますので、他大で教授されているような少しアカデミックな用語も交えつつ、リアル講座では時間の関係で詳しくお伝えしていない項目も含めて知識を改めてインプットさせていただきました。これで他大生とも知識の面では戦える状態になりました。

次の角度として、こちらも書籍版オリジナルで外語大での恋愛を選びました。大人語を駆使すると恋愛に有利に働きますので、どう駆使すれば良いのか、おまけの題材としてお伝えしました。この部分はあくまでおまけです。恋愛というと情緒的なものと思われがちですが、大人語の分析を駆使して論理的に外語大での恋愛を考えました。大人語話者の立場にたてば、恋愛は論理で制御可能です。が、恋愛を論理的に捉えようとすると、どうしても恋愛を情緒的に捉えたい人達から強い拒絶反応が起こります。必ずです。そんなわけで、この手の話が不快な方は読み飛ばしていただいた項となります。外語大での恋愛というよりも、外語大を卒業した後の恋愛についても多少脱線して触れていますので、外大生の恋愛、という方が適切だったかもしれません。

最後の角度もおまけで書籍版オリジナルですが、年収を上げるためには、外語大での学生生活をどう送れば良いのか、という題材でした。年収が上がるとはどういうことなのか、そもそもお金とは何なのか、非常識な成功をおさめている外語大の先輩達はどういうキャリアを辿ったのか。大人語を学問の角度で解釈したところで触れなかったブランド論についてはここで触れ、大人語を活用して本題材における一つの方向性をお示ししました。

という具合に、現場の温度感を除けば、本書でリアル講座の内容を網羅し、それ以上の知識をインプットしてきました。ただ、今改めて思いますが、大人語講座の内容を文字だけでやると、受講者は非常に頭でっかちな状況になるなと感じています。頭での理解は全てのベースとして不可欠ながら、とにかく実践がより重要です。今後もリアル講座は実施予定ですが、その内容については本書での内容を踏まえ、実践を踏める場として発展させていく所存です。そちらも楽しみにしていただけますと幸いです。

大人語講座でお示ししたのは、あくまで考え方の例です。社会に出た大人達に求められるのは、覚えてきたことをアウトプットする能力ではなく、まだ存在しない新たなアウトプットを創り出す能力であり、大学までの競争におけるルールとはある意味真逆と言えるものであることは述べてきた通りです。真の大人語話者は、人に与えられた考え方ではなく、自分で考え方を編み出し、鮮やかに課題を設定し、解決していきます。大人語講座の中でも触れていますが、そのためには実践であり、経験がものを言いますから、大人語講座のリアル版も含めた外語大での生活を通じ、それらの経験を積みながら学生生活を充実させ、世の中をより良い場所にできる外大生が増えていき、皆さんの人生が価値創造を通じて充実したものになっていくことを願ってやみません。

なんだか最後まで偉そうにすみません。

最後になりますが、本書の執筆にあたりご協力いただきました卒業生、現役学生、そして大人語講座に関わっていただいている全ての皆様に感謝申し上げます。今後とも、よろしくお願い申し上げます。

2020年5月1日
大人語講座講師一同

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