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旅の写真日記(岡山)

というわけで、恒例の写真日記。岡山編です。

岡山行きは人気の寝台列車「サンライズ」を予約していたのですが、大雨の影響で運休と相成りました。サンライズ自体が目的の3割くらいの感覚だったのでアテが外れた。気を取り直して翌朝の新幹線でGO。
岡山は今まで通過するばかりだったので気になっていた場所でした。ザックリと考えていたプランとしては、津山あたりから出雲街道沿いに気になった場所に寄りながら、最後は(鳥取ではありますが)植田正治写真美術館へという感じ。
一泊目は津山のホテルをとりました。時間はたっぷりあるので、まずは備前方面へ。旧閑谷学校。
以前、国宝の講堂内の静謐な写真を見て、行ってみたいなと思っていたのでした。この日は地元の(?)小学生が学習に来ていて、すぐに講堂が満杯に。写真を撮る雰囲気ではありませんでした。ちょっと晴れすぎていたのもあるし、またの機会かな。
それにしても国宝の建築物の中で学習できるなんて、貴重な経験ですね。
備前といえば備前焼ということで、雰囲気を味わいに伊部(いんべ)へ。
すぐにレンガ造りの赤い煙突が目に入る伊部の町並み。めちゃくちゃ好きな感じだったんですが、ここでも晴れすぎていたので、あまり写真は撮りませんでした。まぁ「また来たい場所リスト」を増やすのも旅の目的なわけで。
雨が降っていたりすると良い感じなんだろうな。
伊部駅前。知らない土地で見る日常の一コマ。
備前を後にして倉敷へ。倉敷美観地区も初めてだったので、ここでは観光気分。
倉敷は泊まりで来て早朝散歩とかしたいですね。今回はまぁこれくらいで。
倉敷から津山に向かおうかと思ったのですが、夕日が綺麗に沈みそうだったので鷲羽山の展望台へ。たくさん人がいるのかなと思ったら、意外にも閑散としていました。こんなに素敵な場所なのにね。
夕暮れの中を走るバスが良い。橋の向こうの田之浦も良い。
瀬戸内海、ほんとうに穏やかで表情豊かで癒やされる。
津山のホテルで一泊した後は街道をドライブ。そもそもこの「出雲街道」は、姫路を起点として中国山地を横断し、出雲へと至る旧街道のことを指します。昔は松江藩主の参勤交代や、東参り(伊勢神宮)、西参り(出雲大社)の旅人も通った街道なので、それはもう賑やかだったことでしょう。ほぼ現在の国道に一致していて、道沿いには郷愁を誘う田園地帯や集落が広がっています。
まるでミレーの絵画のよう。異質な鉄塔もまたたまらない。まさにこういう景色に出会いたかったのだ。
Googleマップで見て良さそうだった、「勝山町並み保存地区」へ立ち寄ります。
もうおわかりかと思いますが、あまり行く場所を決めずに、Googleマップを見ながら適当に立ち寄る。出雲街道の旅はそういうスタイルが最適だと思います。本当は原付とかスーパーカブで旅できたら良いのだけれど、それやるにはちょっと年齢的なタイミング超えちゃったかな。
町に沿って流れる川からの眺めも素晴らしい。
お店やお土産屋さんがないので、観光客が全くいません。生活している方々が時折歩いているのみ。それが良いんだな。この街道を行き交いした数多の日本人に思いをはせながら。小一時間ぶらぶらしてしまった。
ひとたび車を走らせれば再びの田園地帯。いやほんと「美しい日本」ってこういうことじゃない?
田んぼに鴨がいた。そういえばこの日の夜泊まる新庄村の夕食は合鴨米でした。
この日の目的地、新庄村へ向かう途中にひときわ目立つ石州瓦が。
適当に車を止めて歩いてみると、え、最高…。美甘(みかも)の町並み。
「軒先つるしてまり」と掲示板で宣言してあり、通りの軒先には手まりが。何かの風習なんでしょうか。なかなか愛らしい光景。
ここにも日常がゆっくりと流れている。
普段暮らしている東京と広がる世界が違いすぎて、異国に来たような気持ちになる。岡山というより美作国に訪れているという感覚。
そんなこんなでこの日の宿「新庄宿 須貝邸」に到着。
この旅のハイライト「新庄村」。出雲街道で一番の難所である四十曲峠をひかえた宿場町です。いま新庄村でググると、ずらりと桜並木の写真が並ぶ。この宿の窓からも桜が見えるので、春は予約困難だと思われます(二組限定の宿)。この日は自分ひとりだったので、実質一棟貸し状態。
赤い石州瓦が独特の景観をつくりだしている。中国地方のお家の多くはこの石州瓦で、赤といっても茶色がかった弁柄色なので、山や木の緑と調和していて美しい。
岡山といっても県北の方は普通に積雪もある。寒暖の差が大きいこの地域に耐水、耐風、耐久性を持つ丈夫な石州瓦は最適な屋根瓦といえます。とはいえこの宿場町においては、土地の有力者が音頭を取って統一したという説もあるとのこと。もしそうならグッジョブ過ぎる。
宿の向かいのお家が猫の集会場所になっていた。
静かに暮れゆく。PCとスマホはしばらく横に置いて。
「須貝邸」の晩ご飯。
そして朝ご飯はご飯じゃなくて「お餅」でした。いろんな宿に泊まってきたけどこれは初体験。一緒に並ぶのもご飯のお供ならぬ ”お餅のお供” で、これが全て美味しい。昼と夜との温度差が激しい新庄村は、もち米の生産に適した気候条件。餅つきも盛んで(独自の餅つき方があるとのこと)それもあって朝食にお餅を食べるのが一般的とのこと。
この日は朝から念願の雨で、そうそうこの雰囲気。欲しかったやつです。
言うことなし、大満足。新庄村を後にします。また違う季節にも訪れたい。
これで岡山の旅はほぼ終わり。最期に鳥取にはなりますが、大先生の写真美術館へと向かいます。写真を始めた頃から行ってみたかった場所なので。
例によって、途中で気になる場所があれば止まってみる。
鳥取県日野郡の集落。
そんなこんなで、植田正治写真美術館へ。ほぼ表敬訪問といったところ。一度は来ておかないとね。
おしまい。

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