乃木坂物語32〜日陰の道を選んだ私〜
バースデーライブが終わって私の心はモヤモヤと霧に覆われていた
1日オフなのだがやることもない…
南「はぁ…」
電話が鳴り、携帯がテーブルで振動する
「橋本奈々未」
南「こんな朝からなんですか?」
橋「朝から元気だね〜」
南「一応若いですからね?橋本さんと違って」
橋「あんたは少しは謙虚の心を持ちなさいよ?
可愛くないぞ?」
南「別に可愛くないので…それで?」
橋「ちょっとさー、飛鳥のこと助けて貰えない?」
南「飛鳥?なんかあったわけでも…」
橋「あったのよ…あさひなぐの舞台の事でね?」
南「舞台?私の出番ではない…」
橋「あんたの心にある物が晴れるかもよ?」
私の何を知ってるのか…
南「私は今日休みですから…」
橋「知ってるよ。だけど暇なんだよね?だから助けて欲しいんだよ?
家の前にいるから準備出来たら降りてきて?」
南「ちょっとなな…切れた…」
しょうがないから準備をする
家を出ると本当にいた
橋「おっ?意外と早かったね?出てこないかと思った」
南「やることもないので暇つぶしですから。」
橋「素直になればいいのに」
南「なら帰って寝ます。お疲れ様…」
橋「まあまあ、乗りなよ?」
南「目がすわってますけど?」
橋「うん。イライラはしてるよね?」
南「はぁ…」
私は諦めて車に乗りとある場所へ連れてこられた
橋「先に三階の 奥の部屋行ってて?車停めてくるから」
南「はいはい…」
奈々未に言われた場所へ行くと舞台メンバーが稽古していた
しばらく見ていると日奈子に見つかった
駒「おっ!女優さんの登場だ」
南「別にそんなんで来た訳じゃ…」
若「南萌も受け流す事を覚えなよ?それで?」
南「奈々未に無理やり連れてこられた…」
飛「奈々未?なんで?」
南「それは…」
橋「それは私が南萌の専属だからね?それに南萌の観察力は本物だからさ?」
堀「そうなんだ…」
若「まぁ南萌の言う事は的確なのはわかる」
○「おはようございます…南萌!」
南「……」
橋「まだ兄妹喧嘩してるの?」
○「まぁ…何もしてませんでしたから…」
衛「今日はなんのレッスンですか?」
○「今日は薙刀の型とか教わる予定です。講師の方もそろそろ…」
新「じゃあ南萌ちゃんもやっていかない?」
北「それいいかも!楽しくなりそう」
南「私が来たのはそういう…」
橋「いいんじゃない?ちゃんとお給料出して貰える様に今野さんには話しとくから」
南「なんでそうなるのよ!」
駒「なるほど…南萌のスキルアップにもなるのか…」
橋「そうよ?私だってちゃんと考えてるんだからさ?」
飛「絶対嘘だね?生駒ちゃんの言った事に乗っかっただけでしょ?」
橋「バレたか…」
どんな時でもこの雰囲気が作れるのは凄い事だけど、時にそれが重くのしかかる事もある事を私は知ってる
そして講師が来て薙刀を教わっていく
それを私は端っこで見ていた
橋「南萌もやれば?」
南「やる理由…」
橋「あるよ?これ見て?」
よく見ると代役候補として私の名前が入っていた
南「何を勝手に…」
橋「勝手じゃないよ?他のメンバーでもいいと思うのは間違い。
適材適所よ?特にあなたは女優でもある訳、グループで活動したんだからわかるでしょ?」
南「はぁ…それで?誰の代役をさせるの?」
橋「全員よ?舞台経験者少ないからね〜」
南「他のメンバーは?」
橋「一応候補はいるけど南萌には映画の方も代役候補になってるから、ここで薙刀の事覚えといて損はないと思うよ?
何事もなく予定メンバーでやれれば問題ないけどね?」
南「…いつか奈々未に仕返ししてやる」
○「南萌…橋本さんに失礼…」
南「私はあなたを兄とは認めてませんから…」
○「……」
私はみんなの稽古を見ているだけにしていたのだが…
講「森坂さん?」
南「はい?」
講「あなたもやってみない?」
南「いえ…私は…」
講「何事も経験するのも面白いからさ?」
私は無理やりに稽古へ参加させられる型となったのだが…
講「あなた経験者?」
南「いえ…先生のを見ていた事をそのままやっただけで…」
講「見取り稽古ができるなんて…」
南「私は誰かが出れなくなった時の代打要員なので…」
この時に私に刺さる視線を感じた
それは飛鳥からという事もわかる
南「私の事はいいので稽古して下さい…」
稽古は1番後ろでみんなを見るとやっぱり目に付くのは飛鳥だった
主演…主役だからというプレッシャーもあるのもわかるつもりだけど…
そうして1週間が過ぎた頃、薙刀の稽古と舞台の稽古でみんないっぱいいっぱいになっていた
私は見てられなくなって声をかけた…
南「飛鳥?」
私の声に振り向く飛鳥の目には悔しい涙が溢れていた
……To be continued
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