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私と君と花言葉1

?「ねぇ○○!これみて?」

○「なんだよ美波…眠いのに…」

幼馴染の○○に見せた物は憧れの白石麻衣さんの待ち受け

○「誰それ?」

美「はぁ?私が憧れてる白石麻衣さんだから!覚えろよな?」

○「あ〜何とか坂の…」

美「乃木坂46!何回も○○に言ってるでしょ!」

○「俺はアイドルには興味ないって何度も言ってるだろ!」

「また始まったぜ?夫婦喧嘩」

『でも付き合ってないんでしょ?』

「早く付き合えばいいのに…」

○美「付き合うわけないし!」

「ハモった笑」

美「バカ○○!もう知らない!」

いつもと同じ喧嘩をする

アイドルに興味ないのはわかってるのに…

クラスが違う為、私が○○のクラスに行かなければ顔を合わせる事もない

いつからだろう…○○と一緒の時間を過ごさなくなったのは…

家が隣なのに…ずっと好きなのに…

幼馴染の関係を壊さない為に想いを伝えてない…

美「○○…わかんないよ、あなたの気持ちが…」

小さい頃の約束もなくなってしまうのかな…?

それからしばらくは○○とは会わなくなった

「ねぇ、美波?」

美「なに?」

「○○君と喧嘩したの?全然話してるところ見てないから」

美「用事とかないからね〜」

「前は用事なくても行ってたのに…」

美「いいの、気にしないで?」

「あっ!これみた?」

美「うん、見たよ?乃木坂の3期生募集でしょ?」

「なんか説明会とかあるんだって
行かない?」

美「うーん…」

「美波ならアイドルになれると思うんだよね?
でも○○君…」

美「あいつとはなんもないし、それが原因でやらないって事はないけど…」

「なら、説明会だけ行ってみようよ?
私も興味はあるから」

美「まぁ行くだけならいっかな?」

この説明会が私の転機となるとは思わなかった

とある場所で説明会が行われた

アイドルを夢見る子達がたくさん来ていた

説明会が始まると…私の憧れてる人が目の前に現れた

白「こんにちは、乃木坂46の白石麻衣です。
これから私がアイドルを目指した理由と活動内容の話をしますので…」

私は真剣に…白石さんの言葉を聞き逃さない様に集中した

説明会が終わりに近づいた時…

白「最後に!
アイドルは華やかだけど過酷な仕事です
生半可な気持ちだと潰れてしまう程です
夢半ばで辞めてしまう人も見てきました
だから悩んで下さい
自分の人生をどうしたいかを…」

最後の一言で現実を叩きつけられた

中途半端な気持ちでは務まらない

過酷さがどれ程なのかは1部しか知らない

そんな事を考えながら家に帰る

この事は家族会議の議題となった

反対されると思ってた私はびっくりした

母「好きにやってみなさい?」

父「挫折しても帰る場所はここだからな?」

美「ありがとう…」

私の心は決まった!

一緒に行った子にオーディション受けると話すと

「私は辞めとくけど、美波に協力するから」

と言ってくれた

オーディションの最初は書類選考

友達にベストショットを撮ってもらったりとして貰う

そして数日後、合格の通知が来た

美「まずはひとつ突破だ!」

続いては面接…

私は自分の事をこれでもかってアピールした

緊張しまくりであんまり記憶がなかった

数日後の通知も合格だった

目標にどんどん近づいていく

「美波、どうだった?」

美「合格したよ、次がこれなんだけどね…」

次の審査の通知を見せると

「大丈夫!これなら私が手伝えるから」

美「本当?」

「それよりも○○君には話したの?」

美「話してないよ?」

「なんで…」

美「あいつはアイドルに興味ないからね?
それにしばらくは…」

「受かる前に話しなよ?」

美「大丈夫!だから練習しよう」

この時、オーディション落ちたら○○に告白しようと決めていた

もし受かったらこの気持ちに蓋をしたままサヨナラだから

今は好きな…大好きな乃木坂に入る事を考えて他の雑念は振り払った

ダンスは友達のおかげもあって上手く出来たと思った

3次選考で残った子達のダンスは私の心を潰しに来るくらいのレベル…

キレや表現力は比にならない

でも今出来る全てを出す!

審査が終わり、家に帰るとそのまま部屋へ

ベッドに力なく倒れた私は思った

美「絶対に落ちた…」

それから数日後に合否の通知が来た

今度は友達と一緒に通知の内容を確認すると…

「美波!やったじゃん」

美「よかった…」

「東京って事は最後かな?」

美「面接って書いてるからラストかもね?」

「でも平日だ…休むしかないね?」

美「大丈夫、やれることはやってくるから」

結局○○に言えないままオーディションは進んでいく

私は後日、面接の為東京のとある場所へ

美「ラスト頑張らなきゃ!」

気合を入れて会場へ足を踏み入れたものの、私よりも可愛い子達がいた

私の順番になるが、目の前にはあの秋元康さん、今野さんを含めた運営陣…

康「君は今、恋をしているかい?」

美「恋…ですか?」

康「片想いとか、現在彼氏とか…」

美「片想いはしてますが彼氏はいません」

康「そうか…」

美「アイドルは恋愛禁止です。だから私は受かればその気持ちに蓋をします」

康「別に恋愛禁止ではないよ?ただ、恋愛をする暇はアイドルにはない
もし、するのであればすればいいと思う」

美「……」

康「わかりやすく言えば、恋愛は人を変えるんだよね?
パフォーマンスにも歌声にも」

今「先生…」

康「最後に…恋をすると楽しくもあり、辛いこともあり、感情が豊かになる
それだけは覚えておきなさい
その感情は人を強くするのだからね?」

美「あ、ありがとうございました」

なんだろう…全てを見抜かれている感覚は…

会場を出ると一気に気だるくなる

とりあえず終わったからなのだろう

美「落ちたかもしれない…」

なにか腑に落ちない感じがした

それからの数日間は不安しかなかった

やれることをやれたかもわからない…

なんか中途半端…

○「おい美波!」

美「えっ○○!?」

○「大丈夫か?悩み事か?」

美「悩み事…」

○「ダメだこりゃ…とりあえず帰るぞ!
危なっかしくて心配になるわ!」

美「…うん…ありがとう…」

久しぶりに○○と帰るのに…オーディションの事が頭から離れない

早く結果が来てくれたらこんな感じなのは終われるはず…

○「なぁ美波?」

美「なに?」

○「いや…なんでもない…」

美「なに?言ってよ〜」

○「言いたい事忘れたんだよ…」

美「もうボケたの?」

○「ボケとらんわい!」

美「ふふっ…」

○「やっと笑った」

美「えっ?」

○「ずっと笑ってなかっただろ?ここんところ…」

美「そう?そんなこと…」

○「あるよ、あれ以来話にも来ないし、屋上でなんか踊ってたし…」

美「はぁ?見てたの!」

○「たまたまな…美波は笑ってないと怖いからさ?
隠れヤンキーはよくないぞ?」

美「誰が隠れヤンキーよ!そもそも私はヤンキーじゃないからね!」

○「またまたご謙遜を…」

美「殴るよ!」

○「それは嫌だ!だけど少しは気が晴れたか?」

美「えっ?」

○「顔色悪いし、心ここに在らずだし」

美「そんなに酷かったの?」

○「酷いってもんじゃなかったぞ?
まぁ、言いたくなったら言えよ?
聞くだけしかできねぇけどな?」

見てくれてたんだ…

私は会わないようにしてたのに…

どうしよう…オーディションの事…

○「まぁ…家は隣だからいつでも連絡してこいよ?」

美「ありがとう…」

○「じゃあ、ゆっくり休めよ〜」

美「うん」

○○はそのまま家に入っていった

私も家に入ると、下駄箱の上に私宛の封筒が置いてあった

手に取り裏を見ると…

「乃木坂合同会社」

オーディションの合否の通知…

封を開けて中を恐る恐るみると…

9月4日に面接会場に来て欲しいという内容だった

美「えっ?まだオーディションあるんだ…」

内容は詳しく書いてはなかったのが気になった

9月4日の某所

中に入ると私を含めた12人とカメラ等の機材があった

「それでは、乃木坂46、3期生の合格発表をさせていただきます」

ざわざわする周りの子達

「合格者は…ここにいる12人です
そして、この後すぐに…」

この後配信で私達3期生が紹介された

全てが目まぐるしく動き出した

何をしてたのかすら思い出せない程…

気づいたら家にいた

手には書類を持ったままベッドに座っていた

美「合格したんだ私…」

そのまま気づいたら朝になっていた

とりあえず、リビングで両親に合格の事を伝えた

母「合格してたの?昨日帰って来てもなんも返事しないから落ちたのかと思ったじゃない」

美「ごめん…対応出来ないくらいの事ばかりで…」

母「まぁよかったね?○○君も喜ぶんじゃない?」

とりあえず、リビングで両親に合格の事を伝えた

美「オーディションの事…言ってないんだ…」

母「えっ?」

美「オーディション受ける時、喧嘩してたから…」

父「アイドルって恋愛禁止なんだろ?」

美「うん…」

母「どうするの?○○君、美波の事好きだと思うよ?」

美「○○に限ってありえないよ…」

母「なら、言ってきなさい」

美「もちろん言うけど…」

母「今すぐよ!アイドルの活動始まったら会えなくなるのよ?」

美「わかってるけど…」

父「美波…後悔だけはするなよ?」

美「わかった…」

部屋に戻り書類を改めて読み返すと、1週間後には活動が始まる

時間は殆どない

考えてる暇はない

すぐに○○にメッセージを送ると返事は直ぐに来た

家の前で○○を待つと…

○「話って?」

美「うん…あのね?私…アイドルになった」

驚いた顔をしている○○が…

○「そっか…頑張れよ?」

美「それだけ?」

○「それだけって…元々アイドルに興味ないし、俺は美波の彼氏じゃないし…」

美「バカ!もう知らないから…バイバイ」

私はそのまま家に入り…

美「バカ!鈍感!」

涙が溢れてくる

美「さよなら…私の初恋…」

私は○○と話す事もなくなった

学校も順番の為に休む様になった

○○から連絡が来ることは無いのは変わらずだった

東京へ向かう日は平日だから見送りは誰もいない

そして、寮に入るからほとんど地元に帰ることはないだろう

駅で電車を待っていると…

「美波!」

声の方へ振り向くと来ることはないと思っていた○○がいた

美「あ、あんたなにしてんの!?学校…」

○「学校はどうでもいい…
美波に渡したい物があって家行ったら教えてくれた」

美「渡したい物?」

○「これ…」

美「栞…?」

○「ただの栞じゃない…ちゃんと見てくれ」

ひっくり返すとクローバーの栞だった



美「これ…もしかして○○が?」

○「上手く出来なかったけどな…
クローバーの葉っぱの数で意味が違うらしいんだけどさ、なんだったか忘れたけど四つ葉のクローバーは幸福とか言われてるだろ?」

美「○○…」

○「頑張ってこい!ダメなら帰って来ればいいさ、誰も美波の事笑わねぇから」

美「ダメなんかにはならないし!
有名になってやるんだから」

○「いつもの美波だ、それなら大丈夫だな?」

ちょうど電車がホームに入って来た

美「じゃあ行くね?元気でね?」

○「美波こそな?」

電車に乗り込む

美「バイバイ…」

ドアは閉まり動き出した

○○が手を振って見送ってくれた

ちょっと寂しそうな顔してたかな?

アイドルとしてのスタートした私

この時、○○がくれたクローバーの意味を知るのはもう少し後の事だった

……To be continued

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