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君の手がくれた「おと」は…6

○○の両親を味方につけた私は覚悟を決めた

遥「お母さん…」

遥母「彼氏はいつ呼ぶの?」

全てを見透かした母の一言

遥「今週の日曜日にしようと思うんだけど…どうかな?」

母「そうね?あと、お父さんには彼氏君の耳の事は自分で話しなさい」

遥「えっ…」

遥母「当たり前でしょ?あなたの事なんだから」

遥「けど…」

母「お父さんにも心の準備くらいさせてあげて?」

遥「反対…されないかな?」

母「お父さんは人を見る目はあるわ?
大丈夫、ちゃんと話を聞いてくれるから」

遥「わかった…話してくるね?」

私は父の書斎へ向かった

遥「お父さん?入っていい?」

遥父「いいよ?珍しいな、遥香が書斎に来るなんて…」

遥「大事な話が…」

私の一言で父親の顔は真剣になる

遥父「どんなやつなんだ?」

遥「どんな…いい人だよ?優しいし、家族想いだし…」

遥父「家族想いか、素敵な家庭に生まれたんだな?」

遥「でも…耳が聞こえないんだ…
私の声も、家族の声も日常の音を知らないの…」

遥父「そうか…1度会ってみたいもんだな…その青年に」

遥「本当?」

遥父「嘘は言わんよ、もう…付き合ってどのくらいだ?」

遥「まだ半年くらいかな?彼のお姉さんは私の親友だから」

遥父「友達の弟だと気持ち的には楽だな?」

遥「うん!この前も彼のご両親にあってきたし」

遥父「そうか…じゃあ楽しみにしておこうかな?」

遥「日程が決まったら教えるね?」

遥父「ああ…」

この時は歓迎ムードだと思っていた…

日曜日に彼を呼ぶ事を両親には伝えた

通訳としてさくちゃんにも来て貰った

両親は手話を知らないから…

ピンボーン

遥「来た!!」

私は玄関へ向かう

遥母「あなた?」

遥父「ん?」

遥母「顔が怖いわよ?緊張してる?」

遥父「いや…」

遥母「私は遥香の味方ですから!」

遥父「そうか…」

この短い会話を両親がしていることは知る訳もなく…

ガチャ

遥「いらっしゃい!入って?」

さ「お邪魔します」

○(お邪魔します)

リビングにいる両親と初顔合わせ

遥母「あらさくらちゃん、久しぶりね〜」

さ「ご無沙汰してますおばさん」

遥母「さくらちゃんの弟さんなら大丈夫ね?
よろしくね?」

○○は頭を下げるだけだが、さくちゃんがいろいろフォローをする

さ「私は弟の通訳で来ました
ご存知かと思いますが、弟は耳が聞こえません
唇の動きでわかる所もありますが…」

遥父「失礼、耳が聞こえないということは、遥香になにか起きても気づかないという事だな?」

遥「ちょっとお父さん!」

さくちゃんがお父さんの声を手話で通訳する

その返事をさくちゃんにして、さくちゃんが答える

○(そんな事がない様…しているつもりです)

さ「そんな事がない様にしているつもりです」

遥父「つもりとかの話ではない、現に遥香が…君のお姉さんがフォローしてくれているだろう?」

さ「それはそうですけど!それを苦になんて…」

遥父「お姉さんと話をしているわけではありません、私は彼と話をしているんです」

さ「……」

遥父「遥香は君のために手話を覚えただろう?それが負担になる事はわかっているのかい?」

遥「ちょっとお父さん!さくちゃん、通訳しなくていいから…」

遥父「遥香は黙ってなさい!
私はね?娘の幸せを考えて今日、君と会わせてもらった
君がいい人だからと娘が楽しそうに言っていたからだ…」

遥母「お父さんは反対でいいって事ね?」

遥父「あぁ…」

遥母「わかりました…遥香、○○君」

遥「なによ…」

○(?)

遥母「2人は同棲しなさい」

さ遥「えっ!?」

遥父「何を言って…」

遥母「まずは1年!その間にどちらかがダメだと思ったらそれでおしまい」

○(姉貴、通訳して…)

さ(お父さんはかっきーとの事は反対、だけどお母さんは賛成なんだけど…)

○(そこは理解したよ!その後…)

さ(1年同棲してどちらが根を上げたらそこで2人はおしまいだって…)

○(同棲!?)

遥母「部屋はこちらで用意します
やってみなさい?」

遥「やってみなさいって…」

遥母「さくらちゃんといずれの話だけどね?
恋人、夫婦ってほとんど大差ないのよ?
お互い支え合う事は変わらないから」

遥父「同棲なんかしてみろ?遥香に負担が…」

遥母「あなたは耳も聞こえるわよね?
家事全般やってるのは誰?」

遥父「……」

○(あ、あの義理母さん…)

遥「お母さん、○○が…」

母が○○の顔を見て微笑む

遥母「1年、うちのわからず屋に見せてあげて欲しいの、耳が聞こえなくても幸せになれるって…
あなたの…遥香への気持ちを見せて欲しい」

○○は母の顔をじっと見つめる

遥母「私は2人の味方だから…」

その瞬間、○○の目から零れ落ちる涙

私とさくちゃんは通訳をしていない

多分唇の動きで理解したんだと思う

遥父「好きにしなさい…私は知らん」

部屋へ戻る父親の背中は寂しそうだった

私の幸せは○○と同じ時間を過ごす事…

父親の気持ちもわかる

だけど私の人生は私が決める

だから何が合っても父親に認めてもらうんだ!

急展開を迎えた2人の同棲生活はどうなるのか

……To be continued

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