君の手がくれた「おと」は...11
遥香と同棲して数ヶ月...
遥香のお腹の中に僕の子供が宿った
どうやら、遥香のお母さんの思惑通りとなったらしい
僕の両親、姉のさくらも喜んでくれたのだが、1番手強い人がいる
遥香のお父さんだ...
前に挨拶した時は大反対された事もあり、苦手意識はある
遥香のお母さんは大丈夫だと言っていたが不安は拭えない
迎えた週末は両親とさくらも一緒に来ていた。
○母(大丈夫。あなたは堂々としてなさい?)
○(そんな簡単な話じゃないって...)
遥(お義母さんの言う通り堂々としてよ?
私は○○とこの子がいればそれだけでいいから)
さ(○○、諦めなよ?お母さんもおばさんもかっきーもこうなると引かないから)
○(わかってるけど...)
遥父「これはこれは大勢でどうされました?
遥香と別れるお話なら...」
遥母「馬鹿な事言わないの。○○君があなたに話があるんだって。」
もちろん会話は遥香と姉が手話で通訳する形
○(単刀直入に話します。
遥香のお腹に子供を授かりました。
本気で結婚を考えてますので...)
それを聞いた遥香の父親は顔を真っ赤にして怒る
遥父「ふざけるな!子供が出来たから結婚を許せ?
寝言は寝てから言え!」
遥「ちょっとお父さん!」
遥父「無理に決まってるだろ。耳が聞こえない、言葉は話せないでどうやって...」
○母「失礼ですが、それは差別ではありませんか?
健常者とが障害者とか関係ないと思いますよ?」
遥父「差別とか云々ではないでしょう。私は娘の幸せを思って言ってるんだ。
子供の鳴き声は聴こえない、話だってまともに出来ない、そのしわ寄せは全て遥香の負担になるだけだ!」
○母「全てがそうなると決まった訳ではないはずです。偏見で物事ひ言わないでください」
全てのやり取りは姉が教えてくれる
僕は立ち上がり遥香のお父さんに土下座をした
そして自分の気持ちを伝える
○(子供の幸せを願うのは親として同然です。
でも、見守ってくれませんか?
僕は言われた通り、耳は聴こえず喋れません。
でも目は見えます。匂いも感じます。
お願いです...僕達の結婚を認めて下さい)
改めて土下座をした。
○父「私から一言いいですかね?
愚息ながらここまで自分の気持ちをぶつけることなんかありませんでした。
両親、姉、周りに迷惑をかけまいと常に気を使う子です
もし、遥香ちゃんが○○と同じだったらと考えて下さい。」
遥父「......」
○父「今日、私達が来たのはご挨拶の為ですのでこれ以上は言いません。」
遥「私は○○と一緒にいるのが幸せ。そしてお腹にいる子と家族になれる幸せは奪われたくない。
それが大好きなお父さんでも...
もし嫌なら親子の縁を切っていいから」
遥父「……」
遥母「もういいんじゃないの?そんなに頑なに意地を張らなくても...
私は孫の顔が見れるのが嬉しいけど?」
遥父「好きにしなさい。私は仕事をするのでこれで失礼する...」
リビングを出ていく遥香の父親の背中は少し寂しげに感じた
遥母「じゃあ2人はあのままあそこを住んでて?
両家の間くらいだからどちらもすぐに行けるしね?」
○母「ご配慮ありがとうございます。」
遥母「いえいえ、孫の事も考えた上での事ですから気にしないで?」
さ(良かったね?○○、かっきー)
遥「さくちゃん...」
○(姉貴も早くかれ...なんでもないです...)
姉が拳を振り上げていたので...
○(お義母さん、それではこれで帰ります)
全員が遥香の実家を後にした
コンコン
遥母「お父さん?いつまでいじけてるの?」
遥父「いじけてなど...」
遥母「遥香も1人立ちしたんですから、これからは夫婦水入らずで...それとも昔に戻って恋人同士に戻りますか?」
遥父「いい歳して...」
遥母「いいじゃない?あなたを独り占め出来るんですから。」
遥父「まったく...じゃあ今度の休みにでも2人で旅行でも行くか?」
遥母「あら嬉しい。計画立てましょ?昔みたいに?」
遥父「そうだな...」
僕と遥香が知らない所で仲睦まじい夫婦のやり取りが行われていた
そして、僕達も一段とバタバタしていく
……To be continued
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