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ずっと好き1

?「お兄ちゃん大好きーギュッ」

突然抱きついて可愛い発言をしたのは一回り離れた従妹の麻衣

麻パ「すまんな○○」

○「いえいえ、麻衣は妹みたいなもんですから嬉しいですよ」

麻マ「いいんじゃない?○○なら?」

麻パ「ママはなんでそんなに...」

麻マ「変な虫より安全でしょ?」

○「変な虫って...」

麻マ「女の子は男の子が思ってるよりも大人なのよ」

麻パ「麻衣?将来何になりたいんだ?」

麻「将来?えっと〜」

○「叔父さんまだ早いですよ?」

麻「お兄ちゃんのお嫁さん」

麻マ「あらあら〜」

○「ま、麻衣、なんで俺なの?」

麻「お兄ちゃんといると楽しいから」

麻パ「パパじゃないのか?」

麻「パパにはママがいるじゃん」

麻マ「麻衣は偉い!」

麻「えへへ」

○「中学でやりたいこと見つけれたらいいね?」

麻「お兄ちゃんのお嫁さん以外見つからないよ〜?」

○「高校生になるともっと世界が広がるから期待しないでいるかな?」

麻「そんな事ないもん!」

麻マ「○○も麻衣の事可愛がってあげてね?」

○「わかりました、それじゃあまた来ますね?」

麻「お兄ちゃん帰っちゃうの?」

○「お兄ちゃんはお仕事あるから、今度また週末来るよ」

麻「約束だからね?」

○「来れる時にメールするからさ、麻衣も学校頑張れよ?」

麻「しょうがないな〜」

この時はまだ、恋愛感情なんてなかったのは俺だけだった...

麻衣は部活をしながらでも時間を見つけては連絡をしてきてくれた

麻衣の買い物に付き合ったり、水族館とか行ってた

はたから見たらカップルなのかな?

中学卒業の時もボロクソに泣いてた

俺の卒業式も同じような風景だったっけな?

そして、友達と別れを終えた麻衣は小走りで俺に抱きついて泣いていた

○「卒業おめでとう」

頷くだけで顔を見せてくれない麻衣

麻衣が落ち着くまで頭を撫でたり、背中をさすったりした

女の子の気持ちが全くわからないけどなんかしてしまった

麻「...お兄ちゃん?」

○「落ち着いた?」

麻「まだ...頭撫でてて...」

久しぶりに甘えられたかな?

可愛いお姫様のわがままは今日はいっぱい聞いてあげようかな?

しばらく撫でてると

麻「...帰ろ?お兄ちゃん」

○「もういいのか?」

麻「うん、大丈夫...」

その後は久しぶりに手を繋いで帰った

まだ幼さ残る横顔は綺麗だった



それから麻衣は高校生になり、俺も仕事で忙しく会える時間は少ないがメールでのやり取りはしていた

体育祭、文化祭で友達と撮った写真を送ってくれたりしてくれていた

幼かった可愛い妹から大人になっていくのを見ると

いつかはお兄ちゃんとは呼ばれなくなるのかな?と寂しさもあった

そして、麻衣が高校3年生の時に叔母からのメール

麻マ📱「今日仕事終わったら来なさい」

わかったとだけ返信をした

そして仕事を終え、麻衣の家に向かう

インターホンを押すと麻衣が出迎えてくれた

麻「お兄ちゃん久しぶりだね?」

○「なかなか会えなくてごめんな?」

麻「でも今日会えたからいいよ」

麻衣とリビングへ向かうと

麻マ「○○いらっしゃい」

麻パ「おっ!なんか男らしい顔になってるな」

○「ご無沙汰してます、今日は...」

麻マ「あんたが全然顔出さないから呼んだのよ」

○「すみません心配おかけして...」

麻マ「それから麻衣の進路の話を聞いて欲しくて...」

○「麻衣の進路?」

麻パ「我々は好きにさせたいから賛成してるが、麻衣がお前の意見を聞きたいらしい」

○「なんで俺?」

麻パ「それは本人から聞いてくれよ」

それから、4人で夕食を食べ、ゆっくりしていると

麻「お兄ちゃん?」

○「ん?進路の事か?」

麻「...うん」

少し緊張した顔をする麻衣

○「麻衣の決めた進路は?」

麻「笑わない?」

○「聞いてみないと何とも...」

麻「私はお兄ちゃんのお嫁さんになる事以外ないと思ってた...」

○「うん、ていうかそれは継続だったの?」

麻「それは変わらないよ?だけど...」

○「見つけたのね?やりたいこと」

麻衣は頷いて携帯を見せてきた

画面には「乃木坂46オーディション」と書かれていた

○「乃木坂46?」

麻「うん...アイドルの」

○「...」

麻「パパとママには厳しい世界って聞いたけど受けてみたいの」

○「受けておいでよ」

麻「えっ?」

○「そんなに真剣な顔は久しぶり見たし、俺に止める権利もない」

麻「お兄ちゃん...」

○「頑張ってこい」

こうして麻衣はオーディションを受けに東京へ向かった



俺は普段通りの生活サイクルを継続

各オーディションが合格すると麻衣は電話やメールで教えてくれたが、最終オーディションの結果だけ連絡が来なかった

俺も忙しくて、連絡をする事も出来ずたまたま付けたテレビのニュースに麻衣が出ていた

俺はある場所へ電話をかけた

○「もしもし、○○です」

麻マ「○○?連絡待ってたのよ?」

○「待ってたって?」

麻マ「あんた麻衣に忙しくなるって言ってたでしょ?」

○「あー、言ってたかも」

麻マ「だからそれ聞いてこちらから連絡しなかったの」

○「そうなんだ...」

麻マ「麻衣の事でしょ?」

○「あ、うん...今テレビ付けたら麻衣が出てたから...受かってよかった」

麻マ「麻衣が連絡欲しがってたわよ?」

○「その事でちょっとお願いがあるんだけど...」

麻マ「改まってどうしたの?」

○「俺、麻衣とはもう会えない」

麻マ「なんで?」

○「アイドルっていろいろあるじゃん?スキャンダルとか...」

麻マ「何言ってんの?○○は従兄なんだから...」

○「そうだけど、それが麻衣に負担かからない方法だから...」

麻マ「○○がそう決めたならなんも言わないけど、私達には連絡してきなさいよ?」

○「わかってますよ、叔父さんと叔母さんにはお世話になってますから」

麻マ「それならいいけど?麻衣にはこの事は?」

○「おまかせします、それと今日決まったんですけど、俺も東京に異動になりました」

○「すみません...」

麻マ「あんたは周りに気を使いすぎなの!少しは人に頼る事を覚えなさい」

○「...はい」

麻マ「麻衣が甘えてばかりだったのも悪いけど...」

○「そんな事ないけど...」

麻マ「まぁいいわ、麻衣には上手く言っとくから」

○「お願いします」

麻マ「○○?」

○「はい?」

麻マ「麻衣の事ちゃんと見てあげてね?」

○「テレビ越しで応援します」

麻マ「ありがとう...
それじゃあ体壊さないようにね?」

○「わかりました」

電話を切り、数日後東京で仕事をし始めた

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