BEASTARS 19話感想 すごいアニメを見た

リズ…。リズよぉ…。

今週のBEASTARSはすごかった。

前回に引き続き、テムの食殺犯を探すレゴシ。

そして、いつもの通り演劇部で柔軟をしていると、草食動物の女子部員が悲鳴を上げる。

何かとみんなが見まわすと、

キビの腕がもげている。

ーいや、え、うそでしょ?

突然!?(そう、それは突然起こったのだ。そしてその「突然」の表現が、すっごくいい)

犯人は、肉食獣の男子部員。お前やりやがったな!と思ったら、その男子部員自身も驚いていて、怯えている。

実は肉食獣の力が強すぎて草食動物の腕を引きちぎってしまうことはよくある事故らしい。そのおかげか医療技術は発展して急げばすぐにくっつく、とのこと。

通りで草食と肉食で、壁があるわけだ。これじゃあ仲よくしようにも、じゃれあってたら首がもげてたなんてことがあるかもしれない。

このシーンマジでくそビビる。確かに、ビースターズはところどころバイオレンスな描写はあったものの、直接人体欠損する描写は無かった。

しかも、それまでキビのケガに至るまでのフラグ的な描写は何もない。(ちょっとみきれているけど)

この何もなさが、逆にリアルと感じさせる。確かに、現実の生活の中で事故が起こるときは、大抵すでに起こった後で、振り返ったら凄惨な事故現場があったというのはよくあること。逆に事故が起こる前に事故に至るまでの過程を丁寧に見ている、なんてことは当事者でもまれなことだろう。

昔バイト先で指を切り落としてしまったひとの話を聞いたことがある。でも目撃者の話を聞いていると、その瞬間を見た人はおらず、気づいたら声も上げずに、顔から滝のような汗を流して手を抱えてうずくまっていおり、現場には指が転がっていたという。(その後、指はきれいにくっついたそうです)

本編の演出も、まさにそんな感じだった。腕がもげる。女子部員がそれを見て悲鳴を上げる。動揺する演劇部員たち。焦る肉食部員。うずくまる、キビ。その描写はあまりにリアルで、見ながら食べてたチャーハンの豚肉を俺の口が吐き出した。

とにかく、キビはレゴシが、もげた腕はリズが医療室に運ぶことに。(いや、学校の保健室的な場所で腕がくっつくんかい!すごいな)

保健室にキビを預けて、廊下に出る白熊のリズとレゴシ。

そこで突然レゴシが切り出す。「テムを食ったの、お前だろ」

え!?ここで!?急に!?さっきまで二人で人助けしてたのに?しかもお前犯人分かっとったんかいな!(「ペロ、これは…っ!」みたいなシーン無かったやん!)

そしたら、ぬいぐるみみたいな顔だったリズが突然、筋肉ムキムキに、、、(ビースターズのこの肉食獣の変身シーンいいよね)

戦いの火ぶたが切って落とされると思いきや、新入部員のピナが現れてその場はうやむやに。

その後、リズの回想シーンに入る。そうテムを食殺したころのことを。

白熊は体が大きくなり力が強すぎることから、筋萎縮剤を常用していた。

その副作用で夜は眠れず、痛みに耐える日々を送っていた。

副作用の苦しみに耐えて草食動物と共存しなければ、文明社会では生きていけない、そんな”弱い”自分に疑問を抱いていた。それが重くのしかかっていた。リズはきっと人一倍その副作用が強かったのだろう。その苦しみの意味を考えるうちに、自分のことが嫌いになっていったのではないか。

そんなある日、テムが「リズってちょっと怖いよね」と言った。

テムはリズのそんな悩みは知らず、見たままを言う率直な奴だったのだろうが、それがある種の核心をついた。

リズは、それで解放された気になった。

ありのままの自分を受け入れてくれた、と。後から振り返ってみればその時点でアンジャッシュ並みのすれ違いコントのような事故は始まっていたのかもしれない。

リズは、筋萎縮剤を飲むのをやめた。

その結果食殺事件が起こった。

でも、それはきっと本編の前半にあったキビのことと同じように、事故だったのだろう。

このアニメはリズに限りなく寄り添って、テムのように抱きしめてあげるようなとてもやさしい演出で19話を締めくくった。

いーーーや、いゃ、え!?

めっちゃ優しい音楽で、ほろ苦くて甘酸っぱい青春の一ページみたいにしてるけど、食うとるやんけ。失恋を乗り越えた人みたいに語っとるけど、おもっくそ、食うとるやん…。

でも、リズのことは一方的に攻められないんだよね…。なぜならリズの気持ちは十分すぎるくらい理解できるから。そういう演出をするところも憎いよね。もー、わかってやってるよね。

リズのことは回想シーンでしっかり掘り下げられて優しい音楽でキレイな背景で、とても感情移入できるんだけど、直接食殺するシーンをしっかり挟むことで、突然拒否反応を起こさせる。見ているこっちも現実と妄想の区別がよくわからなくなってしまう。

リズ。

「ただの妄想で終わらせたくないから、しっかりとテムを味わう」のはもう俺には理解できない。

どうしてそんな。どっから間違ってたのか。

その日一番面白いアニメの呪術廻戦の「黒閃」を見たと思ったら、人生で3番目には入る衝撃的なアニメがきれいさっぱり呪術の記憶を塗り替えていった。もう呪術の内容ほとんど覚えてないよ。

この話がどうなるのか。三期はあるのか、本当に待ちきれない。

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