見出し画像

アクション審議会って?-鉄強プレーヤーからの問題を解く-前編


アクション審議会 【名】

発端は知らないが、Whimsで行われていた会。

アクションラインをみて出題された箇所のアクションを考えグループで議論し合う。完全な解答が無い問題もあり、解答に辿り着いた結果というよりは過程がとても重要(だと勝手に思っている)


1.導入(読み飛ばしても大丈夫です)


1月某日

都内某所にてとあるイベントに呼ばれた。だかまさん主催の「Rec感謝祭」というイベントでポーカーをこよなく愛する全国各地のプレーヤーが集まりポーカーを楽しみまくるイベントだ。Recとイベント名に付いているがRegの方々も多く参加されていて色々な刺激やモチベをもらうことができました。改めて一緒にポーカーをしていただいた方々ありがとうございました。運営のだかまさんも改めてお疲れさまでした。その時のポーカーの話やポーカー以外の話もとても面白かったので書き連ねたいがその話がメインになってしまいそうなのでまたの機会に。

Rec感謝祭のイベントの一つとしてアクション審議会が行われ、私も出題者側として参加させていただいきました。

私の問題を含め問題は3問あり、出題者も計3名いたわけだが私は問題の制作を始めたときから他の出題者のことを聞いていた。1人目はZooMagaでも記事を書いておられ100nlzをプレーされているmarumetaさん。元々Whimsのメンバーの方で何度かお会いしたことはあったが鉄強の方だ。2人目は現在pokerstarsの5000nlをプレーされているLillianさんだ。知らない人はいないぐらい有名な方で、日本でもトップクラスの鉄強の方だ。

そんな中私は5nlzをトントンでプレーするのが精一杯の実力である。プレッシャーがとてつもなかった。ちなみに私がポーカープレーヤーの中で一番尊敬しているのがLillianさんだ。実力も思想も言動もポーカーと実生活のバランスも生き方も全て尊敬している。私は模倣から入るタイプの人間なので現在使用しているアイコンもLillianさんのアイコンと同じ絵師の方に頼んで書いていただいた。Twitterのアイコンとヘッダーのレイアウトも似た感じに整えた。



2.鉄強プレーヤーからの問題を解く


導入がかなり長くなってしまったので本題に入るが、今回はアクション審議会で出題されたLillianさんの問題を改めて自分なりに考えてみて答えを出してGTO+を使って解答とGTO戦略の違いを確認できればと思っている。私が導き出した解答や検証の過程、結果が客観的に正しいという保証はできないのであくまで一個人の考え程度で見ていただければ幸いです。思考をアウトプットする練習です。

○問題

6max Eff.100bb 

※Rakeについて記載がありませんでしたが検証ソリューションや問題の想定のステークスが高めであることを考慮して500nlzのRake(5%0.6bbcap)を想定して進めます。

Preflop BU:r2.5bb BB[Ah8d]:call

Flop(5.5bb) 8h7d2h

BB:x/r50%(6.35bb)  BU:b33%(1.8bb)

Turn(18.2bb) 3h

BB:b33%(6.1bb)  BU:call

River(30.4bb) 5s

BB:? [x,33%,75%,150%,AI(280%)]


計算設定

画像14

Riverは33%,75%,150%,AI  DefaultSizeは75%


3.自分なりの解答


○Flop

A-1.互いのレンジを比較した際、レンジ全体ではBU側が少し有利。ナッツ級(2ペア+)のハンドはお互い同数。

ナッツ級(2ペア+)のハンドとして、互いに88,77,22,87は存在しうる。ただし、BB側の88,77,87sはPreflopの段階で一部レイズするためBU側に比べ少し少ない。ただ、BU側よりも87oのコンボ数は多いので総合的にはほぼ同数。

レンジ全体ではオーバーペアを持っているBU側が有利で、強ドロー(今回の場合AhxhやOPED+FD等)のコンボ数もBU側のほうが多い。Preflopの段階でBB側のAhxhやスーコネのようなハンドは全量もしくは一部レイズをするため。

とはいえ、BUvBBのSRPの場合互いのレンジが有するコンボ数が膨大なためこれらの要素が与える影響はやや少なくなりそう。


A-2.今回の場合Ah8dを所持しているので相手の強いコンボを結構抑えている。今回の設問ではx/rのラインを取っているが、同じラインを取りそうなハンドとしてはバリューでは[77,22,87,Ah8x]辺り。77,87sがPreflopで半量Callしたとしてバリューコンボは8.5コンボほど。ブラフは[FD,OPED,2dxd]辺りを中心にバリューの8.5コンボとバランスが取れるよう構築したい。直感では17-21コンボぐらい。


A-3.BBのx/rに対してBU側のディフェンスレンジはオーバーペアやトップヒット、8アウツ以上あるドローは全てディフェンスしそう。一部2オーバー(J9やBDFD付き2オーバー)もディフェンスしそう。33%CBは広いレンジで打っていると推測されるのでレンジの下の方にあるトラッシュや2オーバーの多くは削れそう。


○Turn

B-1.3hが落ちたことによりFlopまでのナッツ級だったレンジが少し弱くなった。新たにナッツ級のハンドとしてフラッシュが登場したがどちらかが格段に有利になったというわけでもない。互いにバランスの取れた戦略を取っていればAhxhもxhxhもコンボ数的に大差はなさそう。お互いのレンジの強さの差はFlopのx/rによりBB側が逆転してわずかに上回ってそう。

B-2.今回はAh8dを所持しているのでBB側の目線では相手のナッツフラッシュは存在せず、TPTKのNutsFDとなった。Turnのpot33%betのラインはハンド単体で見れば相手の強い部分が無いのでBB側がかなり有利に思えるが、レンジ全体ではEQが大差無い状況なので広く安く打つことが推奨されるのではないかと推測。

B-3.BBのpot33%betに対してBU側は多くのハンドをディフェンスしなければならないと予想。諦めるハンドとして思いつくのはBDFDの付いていたハンドや2オーバー、h無しOPEDで、オーバーペアやトップヒット、h有りOPEDは引き続きCallしそう。レイズするとすればバリューにフラッシュの一部を混ぜ、ブラフにはAhのNutsFDを混ぜそう。


○River

C-1.5sはほぼラグカード。EQが大きく上昇したのは96ぐらい。64,55はこれまでのアクションラインでは残ってないか、残っていたとしてもフラッシュになっているかの何れかだと思う。なのでTurnの段階からEQ差が更に広がり、BB側のほうがより優位になったかと考えられる。

C-2.これまでのアクションラインや現在のレンジの状況を考慮しAh8dのbetはバリューbetになるのかブラフbetになるのか?

バリューbetになり得にくい。8xはRiverのbetサイズにもよるがトリプルバレルにCallするとは考えにくい。xした場合は勝っている部分も多く存在するのでマージナルなのではないか。またAhを持っているのでブラフキャッチに適しているハンドではないだろうか?

レンジ全体で見た場合、BB側が一方的にナッツを持ち得ている状況ではないのでポラライズしたbetは使用できない。そのためx,33%,75%のサイズを使い分けるのが無難そう。


以上のことからRiverのアクションはx/cを選択する。


4.GTO+を用いた検証


○Flop

画像2

A-1.BB側のナッツ級(2ペア+)のハンドは13.06コンボ、BU側は13.46コンボと予想通りほぼ同数。EQ分布を見たとおりレンジ全体でBU側が少し上回っているもののどちらかが極端に有利というわけでもない。


画像3

画像4

強ドローを上記のフィルターで区分した場合BU側のほうが約2倍のコンボ数となっている。


画像1

A-2.想定より多くのハンドがx/rのアクションを選択しており、頻度が高いものだと99をバリューで、2オーバー+GD+h有りのJTやT9をブラフで選ばれている。バリューブラフの明確な区分が難しいので内訳は割愛するがx/rを選択するハンドはレンジ全体で11.8%あり、約60.67コンボとなる。自身の想定の約3倍ほどx/rしている。


画像5

A-3.概ね予想通りだったが、セットとミドルヒット+FDを組み合わせて想像より広い範囲で3betを返している。


○Turn

画像6

B-1.EQ分布はレンジの多くの部分で上回っているBB側がやや有利。お互いの持っているコンボの総量が大きく違うため割合で比較するとBB側の方が4%ほどフラッシュを所持している割合が高い。


B-2.レンジの多くの部分で相手のEQを上回っているBB側は安く広く打つbetする戦略が肯定される。


画像7

B-3.BBのpot33%betに対してBU側はほぼFoldしない。h有り2オーバーやh無しOPEDも引き続きCallする。レイズは予想通りフラッシュの一部やNutFDを混ぜて行っている。頻度でh無しのハンドでもレイズしている。


○River

画像8

C-1.TurnでBUがCallを選択した瞬間BB側はEQ53.0%となっている。Riverのカード別のEQの推移だが、hか9以外はEQが下がっている。5sは少し下がっている。


画像9

EVで見てみても5sはBB側にとって良くないカードと言える。なぜだろうか?


画像10

EQ分布を見るとRiverはBB側は予想と違いポラライズしたレンジ構成となっている。


画像11

そのためbetレンジの中にオーバーbetの選択肢があり、オーバーbetを行えば多くのEVを得られるが、Checkした場合のEVは少なくレンジ全体で平均した場合EVが低くなっていると考える。


画像12

C-2.Ah8dは戦略としてはCheckが推奨され極低頻度で大きいサイズのbetに用いられている。


画像13

仮に相手がpot75%のbetを打ってきた場合にはCallすることとなる。


5.中締め


自分の思考とGTOの戦略で一部相違があったけど結果的にはGTOと同じ戦略が取れた。やったー。

とはなりません。今回はAh8dというハンドを持っていて相手がとてもバランスの取れた戦略をとってきたという場合の話です。多くのプレーヤーは完璧なバランスを取ってプレーできているわけではありません。

例えば、ナッツフラッシュを持っていたらどうするのか?相手がバリュー過多ならどうするのか?IP側だったらどうするのか....

思いつくことはたくさんありますが、この前編としては導入とGTO戦略を中心にまとめて一旦締めたいと思います。後編では相手をより人間に近づけた場合どういった戦略の変化が起こるのかということと、問題に付属していた3つのヒントを考慮してExploitを中心に更に考えていくのと、Lillianさんから実際に頂いたアドバイスを書いていければと思います。

最後になりましたが今回このnoteを作成するにあたり問題の使用許可をくださったLillianさん本当にありがとうございます。

Lillianさんのnoteはどれもとても勉強になりますので興味がある方は是非購入して座学に使用してみてください!

では前編はこの辺にて。では。


後編はこちらから

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?