子どもの「今」を見守るまなざし
2023年11月9日
こども芸術大学にて「はらぺこモンスター」というアートワークショップを実施しました。
お花紙でできたカラフルなボールを、とってもおいしい「パクパクの実」に見立てて、お腹ペコペコのモンスターたちを満腹にさせていきます。モンスターの大きなお口に上手にボールを投げ入れることで、スケスケだったはらぺこモンスターたちの身体が色づき、透明なビニールの姿からカラフルな身体に変身しました。
「投げる」という行為によって全身で遊びを楽しむことや、お友達と協力してモンスターをお腹いっぱいにすることで、ひとつの目標をみんなで達成してほしいという願いのもと実施されました。
── こんな遊びも、そんな遊びも
子ども達の前にボールを広げると、さっそくボールの海の中にダイブしていきます。たくさんのボールの中で身体をクネクネ、足をバタバタさせる様子に学生一同はびっくりしてしまいました。満足するとうっとりした恍惚の表情を浮かべてその場に寝そべっています。ボールを抱き寄せて口元に運ぶ仕草は、モンスターのおやつをつまみ食いしているような大変可愛らしい姿でした。
色とりどりの「パクパクの実」を見て、子どもたちはそれぞれが想像を膨らませます。ボールを私たちのところまで持ってくると
「黒いからね、黒いボールはいちばん強いんだよ!」
「赤は火の玉ボールなの!」
「水色はう〜んと…。水ボールね。」
と口々に紹介してくれました。
子どもたちのお気に入りはゆらゆら動くモンスターの「ブラリン」。遊び始めは学生が操作していましたが、しばらくすると「僕がやりたい!」と、子どもたちが自ら操作を担当するようになりました。子どもたちからは「ちょっと簡単すぎるよ!もっと難しくてもいい!」という声があったので、自分たちの手で動かすことによってちょうどいい難易度を発見することができたようした。
── 面白いこと、発見したなら一直線
全身を使って楽しんでほしいという願いがボールの海にダイブすることで満たされたり、ボールの色からイメージを膨らませたりと、ルールの中にはない遊びを子どもたちが自分から発見していく様子が印象的でした。
ついルールにないことが起こってしまうと注意したくなってしまいますが、そこでじっと見守ることで子どもたちに新しい発見が生まれます。そのために危険がないかを確認することも保育にとって重要な役割であると感じました。
子どもたちが面白いと思ったことに突き進む姿は「今」を全力で楽しんでいると言えるでしょう。一瞬しかない子どもたちの「今」を「見守る」ということが子どもの成長を引き出すきっかけになることに気付かされた実践となりました。
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明石 夕風
東北芸術工科大学 総合美術コース
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