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「あそび」のプロフェッショナル達から学ぶ

東北芸術工科大学の敷地内にある「こども芸術大学認定こども園」。そんなこども園に通う「あそび」のプロフェッショナルである子どもたちに、ワークショップを体験してもらいました。私たちのテーマは「触って」「協力して」楽しむこと。そのため、自分達の班では立体的なマグネットパーツを用いた福笑いを行うことにしました。

── 「自分はわかるよ!」
最初に私たちが自己紹介する前に、子どもたちは私たちの胸に貼っていた名札を見て「べべ!」「うぐはん!」と読み上げ、またホワイトボードに貼っていた手作りのロゴも自慢げに「へん…な、か、お、つく、ろ!」と読み上げてくれました。

手をあげたり膝立ちをしたりして「『自分が』わかったんだよ!」と積極的にアピールする姿を見て、きっとこの子達は普段から接している大人達へわかったことを発信し、沢山の学びを共有しているのだろうなと感じました。また、その考えを普段から周りの大人達が無下にせずによく聞く環境が整っているからこそ、こうした自由で積極的な学びにつながっているのでしょう。

── 遊ぶ時は自由
遊びをスタートする前に「『福笑い』をベースとした遊びで、2人1組で行うこと。見える役の子は目隠し役の子に、パーツを置く場所を教えてあげてね」といった内容のルールの説明はしましたが、今回子ども達は一人で遊んだり目を開けたまま顔を作ることを純粋に楽しんだりと、自分達が楽しいと思う方法で自由に遊んでくれました。

2人1組になってもらってはいましたが中には走り回ってしまう子もいて、そういう時はいなくなった子を無理に呼び戻すことなく、ペアのいなくなってしまった子のところに学生が一緒に入って遊ぶことにしました。

普段遊ぶ時に、「ルール通り遊びなさい」「遊ぶ時はみんなと一緒に遊んでいなさい」と躾けていたら、きっとこのような姿は見られなかったと思います。

普段から子ども達が、子ども達自身の思うように自由に遊んでいる姿を尊重しているからこそ、今回のように子供達からすれば知らない人である学生が沢山いる中でも、のびのびと自分が思う遊びを行ってくれたのではないでしょうか。

── 片付けのプロフェッショナル達
学生が「片付けするよ!このお皿にまとめてね!」というや否や、始まる片付け。使った道具を綺麗にまとめて、ホワイトボードをお盆のように使って学生に渡してくれる子までいました。その様は、まるで片付けのプロフェッショナル。よく「子どもは遊ぶのが仕事」という言葉はよく聞きますが、ここでは子どもだから遊ぶだけ、ではなく、片付けの時は大人も含め年齢関係なく皆で協力して行うということが自然と身についている様子が見られました。
 
今回、本来想定していたルールではない遊び方をしてくれた子ども達が多くいましたが、私たちのワークショップの中でアートとして位置付けるものはまさにそこにあるのではないだろうかと感じています。私たちが用意した題材に対して予想もしない反応が返ってくる。自分達なりの楽しみを見出してもらう。
 
世の中、一人の人間では観測しきれない、予想しきれないことが沢山存在します。その中でいろいろな人の感じ方を通してその中にアートを見出していけるのだと考えます。予想のつかない自由な子ども達の考えや動きを、尊重し見守る姿勢というものはまさに大事になってくるものなのでしょう。


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和田 恵依
東北芸術工科大学 総合美術コース


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