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こびとになってみる世界

みなさんは、「あべこべ!こびとトランプ」をご存知でしょうか?簡単に説明すると、大小いろいろな種類があるトランプのことです。1番小さくて約5cm(単2の乾電池サイズ)、1番大きくて約100cm(4歳のこどもの平均身長サイズ)、二つのサイズがあります。

これは、総合美術コースの学生が一生懸命作ったトランプです。では、何のために作ったのでしょうか?答えは簡単。こども芸術大学のみなさんに遊んでもらうためです。
 
この遊びには、トランプの大きさ、模様の違いを感じてもらう・トランプを並べる、組み立てることの面白さを感じてもらう・自分の力でトランプを使った遊びを考えてもらうといったねらいがあります。
 
実際に、こども芸術大学のみなさんには「あべこべ!こびとトランプ」を使ってとにかく遊んでもらいました。

── 想像を裏切られた!
いざ本番が始まると、こどもたちの動きに良い意味で裏切られました。実は、今までこどもたちと関わる機会があまりなく、私の中のこども像は恐ろしい存在になっていました。話を全く聞かないとか、トランプに乱暴を働くとか、とんでもないことをされてしまうのではないだろうかという不安な気持ちがあったのです。
 
しかし、出会ったこどもたちは、一度話した説明はしっかり聞いてくれるし、トランプのことも大切に扱ってくれました。また、トランプの説明の際にも、説明や注意を細かくしすぎてしまい「バブちゃん扱いしないで」と言われた出来事がありました。「この部分はわからないかもしれないから細かく説明しよう」という思考が完全に読まれていたのです。これらの出来事を通して、私の中のこども像は大きく変わったように思います。
 
こども芸術大学のみなさんは、想像力豊かな遊びをたくさん実践していました。トランプで道を作ったかと思えば、それを飛び越えて反復横跳びをしたり、トランプの大きさを観察しながらトランプタワーを作ろうとしたりと様々な行動が見られました。私たち学生以上に遊びを発見しており、こびとトランプの遊び方を教わるべきなのは私の方なのではないかと思い知らされるほどでした。

── こどもの視点
豊かだったのは、遊びに関する想像力だけではありません。トランプの形に関しても、鋭い視点を持っていました。
 
片付けの時にトランプを大きさ順に重ねてもらったのですが、その際トランプの厚さといった微妙な違いにも注目して並べ替えてくれた子がいました。
 
この出来事から、こどもたちは鋭い視点や疑問を常に持っているなという印象を抱きました。
 
 ── 全体を通して感じたこと
 今回の授業では、私の予想できなかったこどもたちの行動がたくさん見られました。こどもという存在は、私が思っているよりも色々なことを感じてそれを素直に受け取っているのだなということを実感する授業となったと思います。私もかつては同じように色々なことを感じて予想できないような行動をとっていたのでしょうか。自分の気持ちを素直に受け取るという感性は、忘れたくないと思いました。
 

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和嶋 華子
東北芸術工科大学 総合美術コース


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