ポスト

探すと見つからない。
見つけると、ここに居ましたかと安心する。

真っ赤なそれはたいてい少し汚れていて、雨風や時には雪にさらされていることを物語る。

ポストに郵便物を入れるときにどきどきするのは、
これまでに投函してきたそれらにいろんな思いが纏わりついていたからだと思う。

遠くに住む祖母への手紙だったり、ファンレターだったり、履歴書だったり。あと携帯電話の下取りとか。

長い歴史の中でも様々な人達がそれぞれの思いで投函するそれを
「カトン」とか「スン」とか喉を鳴らして受け入れる。

どんなところへも繋いでくれるシンボルのような赤にわたしは惹かれてしまう。

少し孤独な雰囲気とひんやり冷たい赤が、
夜道の味方だったり傘のない雨の日の仲間だったり。
とにかくわたしは愛おしく思います。


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