株式会社カルテットコミュニケーションズの常務取締役CTOを退任しました

ℹ️ この記事は、2020-04-01に別のブログ媒体に投稿した記事のアーカイブです。

2020年3月31日をもって、株式会社カルテットコミュニケーションズ 常務取締役CTOの任を退きました。

このブログ記事をもって、関係各位へのご報告に代えさせていただきます。

何をやってきたか

僕がカルテットに役員として入社したのは、法人化の5ヶ月後、まさに創業期真っ只中の2012年1月のことでした。

創業者であるCEOの堤とCOOの多田、そして個人事業時代からの社員さんが2人いて、僕は5人目のメンバーでした。

技術担当役員としての入社でしたが、最初は「社内唯一のエンジニア」でもあったので、普通にWordPressのサイト制作やPHPでの業務システムの開発などの案件をこなしながら、経営上の意思決定にも3人目の役員としてコミットしていくというような動き方をしていました。

その後、当時はまだ「Webにまつわる何でも屋さん」だったカルテットが、事業をリスティング広告の運用代行一本に絞るという決断をし、結果として会社は順調に成長、売上規模も社員数もすごいスピードで増加していきました。

経営者としてこのような大きなうねりの中に身を置けたことは掛け替えのない貴重な経験でしたし、本当にたくさんのことを学び、成長させてもらえました。

そんな中で、僕がCTOとしてずっと取り組んできた仕事の軸は、「Lisket(リスケット)」という自社サービスの開発・運用と、それを作ってくれる開発部の組織作りおよびマネージメントでした。

Lisketの原型は、まだ僕がカルテットに入社する前に、大学時代からの友達だったCEO堤の頼みを聞いて週末に書いてあげたExcelマクロでした。それが今ではたくさんのユーザーさまに使っていただけるWebサービスに育ち、今もなお伸び続けています。

また開発部の組織作りについては、「名古屋」「名もないベンチャー企業」「エンジニアドリブンでない広告代理店という業種」という難しい条件の中でゼロから採用活動を地道に続けてきました。

全国各地の勉強会やカンファレンスに足繁く通って人脈を広げたり、開発部ブログ に質の高い技術記事を書きまくったりして、少しずつエンジニア界隈での認知度を上げていきました。その甲斐もあってか、PHP界隈、特にSymfony界隈ではそれなりに名前を知ってもらえている存在になれたと思っています。

入社から8年が経ち、カルテットは役員を除いた社員数が60名という規模になり、開発部も11名体勢のチームになりました。

もちろん社内外多くの方々に支えられての結果ですが、こんなすごい会社を、すごい開発チームをこの手で作り上げてきたということが、僕の今までの人生で一番の自慢であり誇りです。

なぜ辞めるのか

会社が急速に成長するにつれ、僕の役割や仕事内容もどんどん変化していきました。

思えば創業当初の僕たちには本当に何もなくて、ゼロから事業のスキームを考えたり、この世に存在していなかったLisketというプロダクトを自らの手で産み落としたり、改めて振り返ってみると、何もないからこそ「生み出す喜び」のようなものがあった気がします。拙い言葉ですが、あの頃は本当に毎日が楽しくて仕方ありませんでした。

そして今、まだまだ大きな会社とは言えませんが、それでも組織化のための管理の仕事は膨大で、いつしかエンジニアとしてコードを書くような仕事は完全に手放して、僕はマネージメントに専念せざるを得ない状況になっていました。

もちろんそれはそれでとてもやりがいのある仕事です。1人では決して出来ない大きな仕事を成し遂げるために会社を拡大していくことは完全に正しいことですし、カルテットはもっともっと大きくなってたくさんの人々に影響力を発揮していく会社です。その中で役員という責任あるポジションを任せてもらえることはとても名誉なことだし、簡単に捨てられるようなものではありませんでした。

それでも僕個人の中にはどうしても違和感があり、会社が成長するほどにその違和感は大きくなっていきました。

「会社の、堤の目指す方向性はとてもよく分かる。だけど、自分という個人が人生をかけて追いかけたい方向は本当にそっちなのか」と。役員として、友達として、堤の夢を応援したいと思う自分と、一方でその夢を心の底から応援できていない自分とのギャップに、人知れず悩み苦しんでいました。

悩んで、苦しんで、自分なりに脳みそが千切れるくらいに考えた結果が、今回の結論です。

カルテットのことは本当に大好きだし、これからもっともっと大きく羽ばたいていく会社だと確信しています。でも、だからこそ、こんな違和感を抱えた中途半端な気持ちの人間が、自分に嘘をつきながら役員のポストに就き続けるのは最も不誠実な選択だと思い至りました。

また、もしこのまま自分に嘘をついてカルテットに居続ければ、その嘘は僕を蝕んで、いつかカルテットのことを嫌いになってしまう、カルテットの足を引っ張る人間になってしまうと思いました。それだけは絶対に嫌でした。

カルテットを大好きなままでいたいから、これ以上カルテットには居られない。これからは1ファンとしてカルテットを応援していきたい。

それが、僕が出した結論です。

最終出社日、創業メンバーの5人で。

僕が抜けたあとのカルテット、特に開発部については、開発部内から僕なんかよりよっぽど優秀で経験も豊富な方に後任に就いていただきました。

開発部のメンバーは本当に優秀な人たちばかりなので、僕が抜けても何の問題もないどころか、さらに一皮向けて強い組織になってくれると確信しています。

最後に私信ですが、堤、多田、役員の皆さん、社員の皆さん、開発部の皆さん、今まで長い間本当に本当にありがとうございました。カルテットのCTOとして過ごした8年間は僕の人生の宝物です。これからは仕事仲間を超えた友人として、変わらず仲良くしてもらえたら幸せです。

これから何をするのか

前途多難なご時世ですが、フリーランスエンジニアとして活動していきます。

Webシステム開発のKannade(カンナデ)

屋号の由来は、地元神戸にある 神撫山(かんなでやま) です。呼びやすい名前にしたつもりなので、ぜひ覚えてやってください。

主な事業内容は

  • Webシステム開発

  • ホームページ企画・制作・運営

  • Webサービス開発・運用

  • 技術コンサルティング、エンジニア採用・育成支援

という感じを想定しています。

特にカルテットでの経験から、

  • 複雑な業務フローを丁寧に紐解いて確実に「使える」システムに仕上げること

  • エンジニア組織の立ち上げなどCTO的な振る舞い全般

が得意です。

ぜひ気軽にお声がけください。お問い合わせは Twitter のDMや Facebook のメッセージ、あるいは こちらのフォーム など、どちらからでもお待ちしてます。

おまけ

滅多に貼らないのですが、今回ばかりは例のリストを貼らせていただきます…!応援いただけると嬉しいです。

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