おばちゃんとクラクション

爽やかな小話をひとつ。

こないだバイト先の先輩と飲みに行った時にこんな話を聞いた。その先輩は以前、某有名ファーストフード店で働いていた。そこにあるおばちゃんがパートとして働いていた。

そのおばちゃんは結婚していて旦那様は1千万プレーヤー。働く必要はないのだけれど、性格的に家にこもっているわけにもいかず”趣味として”バイトをしているそうだ。なんとも羨ましいばかりでこんなことを聞いたら人によっては怒り狂ってしまうのかもしれない。

けれどそのおばちゃん、愛想がよくとても仕事ができる人だそうだ。なもんだから、平日の朝や昼のラッシュの時間にはそのおばちゃんがエースとしてたいてい出勤している。その店舗の近くにはバスの車庫があって、多くの運転手さん達はそこで朝食や昼食を済ませる。とくれば、仕事ができ愛想のいいおばちゃんは必然的に彼らと仲良くなる。

するといつからか、そのお店の前をバスが通るとクラクションが鳴るようになった。どうやら日頃の感謝の意を込めてクラクションを鳴らすという儀式が彼らの中で広まったようである。

今日もクラクションは鳴りおばちゃんは微笑む。仕事ってのはこうでなくちゃ。(おわり)

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