母さん

ガンガン目立つヤンキーでもなく、かと言ってしっかり先生の言うことを聞くような真面目というわけでもない男子高校生の話。

僕の父さんは一応、会社の社長だ。全国規模の会社というわけではないがそれなりである。

そんな父さんは厳格で、僕にとても厳しいし、難しい大人の集まりにもよく同席させられていた。

逆に母さんは僕にとてもあまい。
そんな両親の元で育ったせいか、どうも学校にも真っ直ぐに打ち込んだり、友だちと熱い青春を!という気持ちにならない。
なんとなく一歩下がって過ごしていた。

目立って悪いことをするわけでもなく、バレないようにサボったり、行事の日には欠席したり、
大変そうなことからは逃げて過ごしていた。

いろいろ一生懸命取り組んだり、苦難を乗り越えると成長するということはわかっている。

それでもなんとなくそういうことを避けて毎日を送っていた。

そんな僕に苦難が訪れた。母さんが倒れたのだ。
2週間の必死の看病もむなしく、母さんは旅立った。

この経験で僕は大きく成長しただろう。

でも母さん。

僕はこんな成長できなくてもいいから、もっと母さんと過ごしたかったよ。

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