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日本での報道を観ながらの意思決定:2019年度ゼミ春合宿2日目(台北→台南)

ゼミ合宿2日目。

「この1-2週間が急速な拡大に進むか,収束できるかの瀬戸際」という報道が出発直前の24日に行われ,不安の中で台湾へ向かってきたが,入国後も日本の状況が良くなさそうだとSNSを通じて入ってくる。

もちろん,台湾においても報道は日本や韓国のコロナウイルス(COVID-19)の拡大に関するもので,チャンネルによってはセンセーショナルな報道の仕方も見られた。

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前夜のホテルのTVで

とは言え,すでに身は台湾にある。日本人だとわかることでの不利益もあるだろうが,27日のゼミ交流,28日の帰国まで無事に過ごせるように万全を尽くすしかない。

前回の記事はこちらから。

26日は日中は台北市内の観光(自由行動)と夕方から新幹線での台南への移動が主たる日程であった。

台北市内をゆるゆると観光する

午前中は「卒業旅行」として来た4年生とともに移動。朝食に阜杭豆漿で大行列を体験し(行列はほとんど日本人)、華山1914文化創意産業園区を散策、その道すがら見かけたバリスタチャンピオンを取ったコーヒーショップ「興波珈琲」で休憩。ランチで鼎泰豊で小籠包に舌鼓を打つ。

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ずっと来てみたかったスポット「華山1914文化創意産業園区」。
少し早過ぎたため,まだ多くのテナントはオープン前だった。

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華山1914文化創意産業園区へ最寄り駅から歩いている際に見つけたカフェ。
2019年に世界あるいはアジアでNo.1の珈琲店に選ばれている。

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ランチはベタに鼎泰豊で。確かにうまかった。

ちなみに,入店時はいずれも消毒+検温。これだけ1日に何回も検温されると,日中の体温変化が面白く感じられるし,日本人であっても「ちゃんと検査に通過している」という謎な自信が出てきて,普通に過ごすことができる。

午後から新幹線乗車までは台北駅で…

昼食後,ここで4年生とは一旦分かれて(野に放って)、台北駅へ向かった。

念願の台鉄弁当を買う
以前から台湾鉄路管理局(以下,台鉄)では,日本の駅弁に相当する弁当が美味しいと聞いていて食べてみたいと思っていた。

Wikipediaによれば,以下のような記述がある。

台湾における駅弁は日本統治時代からあり、鉄道乗車時における食堂車以外の供食サービスとして開始された。

そして,その中身は次のようなものだとも記されている。

台湾の駅弁は日本の駅弁と異なり、必ず温かい状態で販売される。台鉄が販売している駅弁で最も有名なのは排骨弁当であるが、南北で付け合わせのおかずが異なる。台鉄弁当の基本的な構成は、大きな排骨(豚スペアリブの煮付け)と滷蛋(中国語版)(台湾風煮卵)1個、豆腐干1個及びご飯、そして沢庵漬けや高菜などの付け合わせから成る。

なに?温かい弁当?なに?南北でおかずが異なる?基本構成は同じでも,少しずつ違うのか。買わねばならぬと決めて台湾に来た(今回の個人的な大目的はこれに尽きるかもしれない)。

詳しくは上記のサイトを見て欲しいが,私にとっては胸熱事案であった。そして,このタイミングで買わねば買い逃すかもしれない。駅に到着するや否や(ランチ直後であるにも関わらず),弁当を購入することにした。

ところが,さらにここで胸熱事案が発生する。隣接する台鉄グッズの発売所で以前台鉄で使われていたステンレス弁当箱の復刻版があるというではないか。

上記の人は200台湾ドル(約800円)で購入したそうだが,私は350台湾ドル(約1,400円)で購入した。とにかく満足である(弁当箱を持ち帰ることを考えなければ)。

そうして購入した弁当箱と台鉄弁当がこれ!

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私が購入したのは「台鐵排骨八角木片盒便當」(80台湾ドル)

上記でシェアした記事では,「八角形の弁当箱が目印の1番人気商品。白米の上に豚スペアリブ、煮卵が載っているのは台鐵傳統排骨便當と一緒ですが、季節の野菜が2品になるほか、魚のおかずがプラスされ、ボリューム満点になっています。」ということで,心のなかでは「うまいに決まってるやないか」とつぶやいていた。

プレゼンの添削
さて,それはさておき。なぜ台北駅に来たのかと言えば,翌日の学生によるプレゼンの添削をするためだった。21日のゼミ補講の後,再修正を指示し,「プレゼン資料」「英語の読み上げ資料」「日本語の読み上げ資料」の3種類を提出してもらい,主に「英語の読み上げ資料」を「日本語の読み上げ資料」に基づいて修正していくという作業を進めることにした。

作業場所はここ。台北駅1階の広場。地元の人達が腰を下ろしながら休憩している。私もそれに倣ってみようということで腰を下ろした。

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場所は台北駅1階の中央にある大きな広場。周りの柱部分だけでなく,堂々とフロアの真ん中に荷物を置いて,腰を下ろしている人もいた。

この後はひたすらタブレットとにらめっこ。高鉄(新幹線)乗車のために決めた4年生との待ち合わせ時間までの約3時間。

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英作文に朱を入れていく作業。学生はよく頑張ってる。

ここではある2つの読み上げ原稿を取り上げたが、タブレットとペンを使って添削し、スクリーンショットで送付。ここで卒業論文指導で培った(つまらない)スキルを存分に活用。3時間集中しっぱなしでヘトヘトに。やはり日本語がよく書けてればGoogle翻訳もある程度わかる英訳にしてくれるし、端的で短い文章で書かれているものにはあまり誤りがない(が、この指示がちゃんと伝わっていない可能性は否定しない)。

いずれにしても、彼らにとっては最初で最後のプレゼンになるかもしれない。私もできることをしっかりやって、彼らをサポートすることに徹した。

もうここまで来ると、オンラインとオフラインがよくわからないことになる。添削する側もそうだが、受け取った側もどれだけ修正するか、真摯に取り組むかという「内発的な動機付け」みたいなものが鍵になりそうだと気づく。どう強制的でなく、自ら学ぼうとする意識を身につけられるように促すか。特に7期生はずっとこれに試行錯誤してきているだけに、卒業論文でも考えさせられることになるのかもしれない…。

いよいよ台南へ

そんなこんなで新幹線の乗車時刻が近づいてきた。

高鉄(台湾新幹線)は日本国内からもインターネットで予約できるし、アプリもある。乗車するにも飛行機同様にQRコードから可能だ。

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アプリで購入した台湾高鉄のチケット。すべてアプリ上で片付くので便利。

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出発する列車を表示する掲示板

高鉄用の車両は東海道・山陽新幹線の700系を台湾規格に作り直したもので、車内もほとんど日本のそれと変わらない。が、大きく異なるところが1つだけある。

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ほとんど日本の新幹線と同じ。さあ,どこが違うでしょう?

シートの配列だ。日本では下り方向(博多方面行き)の右側に2列シートが設けられているが、台湾では下り方向(台南方面行き)の右側は3列シートになっている。しか、車と同様に右側を走るので、違和感がある。なにか不思議だった。

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座席のテーブルに記された列車内案内もほとんど同じ。

なんてくだらないことを考えつつ、車内で弁当を頬張り、約90分で台南へ。

高鉄台南駅では今回受け入れを担当して頂いたCTBC(中国信託銀行)の柯さんが出迎えしてくださった。チャーターしたバスで宿泊地へ移動。

残念ながら写真を撮りそびれたが、公共スペースは広く、ドミトリーエリアと個室エリアはフロアで分けられていた。部屋も清潔感があるし、コーヒーやお茶が準備されていて、自由に飲むことができた。これでBooking.comで予約してダブルベッドの個室が約1,100台湾ドル(4,400円ほど)と格安。短い時間だったが快適に過ごせた。

すぐに街を散策しながら夕食。台北に比べて台南はこじんまり。華やかさには欠けるが、夜の街は比較的静か。平日だからなのか、ウイルスの影響なのか…。夜が明けてから街並みを見るとまた違うのかしら。

聞くと,台湾にオランダや中国大陸から人が入植し,街を作り始めたのは台北ではなく,この台南。台北は日本植民地時代に本土に近いということで開発された街で,国民党が入ってきたから急速に発展した街だそうだ。

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日本が植民地支配当時に建設した「林百貨店」。台湾で最も古いエレベーターがこの建物にはあるそうだ。

街の中心には明代の武将であり、台湾にて独立国家を樹立した鄭成功(孫文、蒋介石に並ぶ台湾3大国父と位置付けられているそうだ)の廟もあった。植民地時代の遺構もあって歴史を感じる。夕食は汁なし担々麺。ここも台北の名店だそうだ。美味しく頂いた(もっとパクチー欲しかった)。

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店先で汁なし担々麺を作る店員。ここで咳をすると現地の人に白い目で見られた…。

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明代の武将として知られる鄭成功。実は平戸生まれ。台南の国立大学は「成功大学」。鄭成功に由来する学校がいくつかある。

さらに20分ほど歩いて今回の台南訪問の楽しみだったフルーツてんこ盛りのかき氷を食べる。

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言うまでもなく,今回の旅での最大のヒット。

台南には他にもいくつかこのようなデザート店があるそうだ。ゼミ生が私の後を追いかけて,ここにこれを食べに来たそうだ。

これにて今日の行程終了。

日本からのプレゼンは行うべきか否か:深夜のネットミーティング

しかし、このとき日本側の状況が刻一刻と変わっていた。そこで明日(27日)の学生によるプレゼンをどのように行うかを日本と台湾をオンラインで結んでミーティングすることにした。

文部科学省からのガイドラインや日本側に残った学生の意見などを聞きながらネットミーティングをした結果、当初の予定を大幅に縮小し、インターネットを介して学生がプレゼンすることに決定。大学での滞在時間が極力短くなるように午前中は台湾側だけでゼミを行い、午後からプロジェクトに取り組んできた3年生のみを教室に集めることにした。この無理難題を受け入れて頂く大学にもご理解を頂き、実施することにした。

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オンラインミーティングの様子。

これができると考えられたのも、とある事情により福岡に残らざるを得なくなっていたゼミ4年生がいたからだ。LINEやFacebook Messengerで動画を使いながら話すことは可能だろうけども、アプリが変わった途端にそれが難しくなる。今回はZOOMを活用し、彼のPCを使ってプレゼン資料を映しながらプレゼンしていくことにした。その彼がフォローをしつつ、3年生のみ6名が日本から1年間のプロジェクト活動の成果を報告するプレゼンを行う。前回のゼミ補講同様に、窓を開け、マスク着用、アルコール消毒実施を義務付け、安全に十分に配慮するように申し伝えた。

また、合宿に参加しなかった2年生は自宅待機とし、後日SNSにアップされた動画を見てプロジェクト報告をする3年生にフィードバックを行うという課題を設定すると申し伝えた。

おかげさまで合宿に参加している21名の学生全員が台南に到着し、街に繰り出して前夜祭。しかし、台北駅で修正したプレゼン資料は深夜0時(台湾時間)までに修正して提出、添削してすぐ返却するので午前8時(台湾時間)までに完成版にして提出とタイトなスケジュールを要求。ほぼ寝ずに準備してもらうことにはなるけど、このバタバタ感が何とも言えない気持ちにさせる。

いったい当日はどんなことが待ち受けているのか。不安と期待が入り混じりながら、床につくことになった。

ということで,次回はCTBCビジネススクールでのプレゼンテーションの様子から。

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