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北欧アントレプレナーシップ教育/インキュベーション施設訪問の旅(その7)

3/3から続いた旅も8日目。コペンハーゲン2日目。3/10は日曜日のため,今日はコペンハーゲン郊外まで出かけることに。

昨夜はビールを飲み,語り合った影響もあってあまり睡眠を取ることができなかった。というか,この旅で5時間以上寝れた試しがない。今日も朝6時前には目が覚めた。朝食はコペンハーゲン中央駅のダンキンドーナツでドーナツとコーヒー。このコーヒーが何とも言えない薄味。北欧はガツンと強めのローストが一般的な気がしているが,どうもこの街のコーヒーは味が薄い。

前置きはここまでにして,今日の話を始めよう。その前にこれまでの連載は下記の通り。

北欧アントレプレナーシップ教育/インキュベーション施設訪問の旅(その1)
その2
その3
その4
その5
その6

コペンハーゲン郊外へ鉄道で向かう

今日の目的地はルイジアナ近代美術館である。コペンハーゲン中央駅から鉄道でおよそ40分ほど走った郊外にある。

コペンハーゲン中央駅。

鉄道を車内に持ち込むことができる。

4両編成のローカル線。席は満席。日曜日だというのに,みな積極的に動くようだ。

ペット(犬)を同行させている人のための座席もある。

自転車ばかりではない。デンマークの列車には犬も同乗させることができる。車両にはペットを連れてきた人用の座席も用意されている。

自転車は車両の中ほどの専用スペースに置くことができる。追加料金がかかるが,結構な打率で自転車を乗せる人が来る。

40分経過して最寄り駅Humlebaek駅を下車。この列車の多くの人がこの駅で下車する。要するに,みな目的地は同じだということ。ちょうどこの電車は美術館の開館時間に間に合うもの。だから,来館者は皆乗っていたという次第。ここから美術館までは歩き。

デンマークが誇る近代美術館:Louisiana Museumへ

今回の目的地Louisiana Museumは近代美術の粋を集めたもの。Wikipediaによれば,「『ルイジアナ近代美術館』という名前はこの建物の最初の持ち主であったAlexander Brunにちなんで名づけられている。彼は3度結婚したが、どの妻の名前もルイーズであった。」ということ。つまり,3度結婚したが,共通した名前のルイーズからルイジアナと名付けられている

展示物の中には草間彌生さんのものも含まれていた。残念ながら撮影はしなかったが,ドットと鏡と水を用いた芸術作品を見ることができた。車内でも話していたが,近年の日本の近代美術は非常に評価が高いとのこと。

館内では常設展示と企画展示が行われていた。邸宅を活用した美術館だが,中がとてつもなく広い。数時間かけてゆっくり見ることにした。

館内を進むとこども向けのエリアでは親子が紙箱(ダンボール)を用いて工作を行っていた。うちの娘氏と近い年齢だろうということで注目しながら見ていた。それはさておき,美術館を巡っていて思ったことは,子ども連れの親子がとても多かったこと。日曜日に家族と過ごす場所として美術館を選ぶとは何とも最高。

そして,この美術館のハイライトとなるのがこの庭園と展示物である。

スイスの芸術家であるアルベルト・ジャコメッティの彫刻がある。それがこの美術館の価値であると。私たち若手研究者は別の展示物で「あれって進撃の巨人みたいじゃね?」といった会話をしていたので,「あそこに巨人がいたよ」とジャコメッティの作品を巨人と称する全く芸術に理解のない恥部をさらけ出してしまったのである。確かに庭は美しく,飾られている彫刻も美しかった。が,私たちにはそれを十分に理解できるだけの素養・教養がないってことが露呈してしまった。

また,特別展示では映像を用いた展示が行われており,単にモニターが設置されているのではなく,ベッドに寝そべって上を見上げて見るものや,塑像にモニターが埋め込まれていてそれを覗くようにみるものなど,多様な展示が行われていた。

そうこう楽しんでいるうちに14時を回っていた。ここでコペンハーゲンへ戻ることにした。

戻る車中にて

コペンハーゲンへ戻る車中も混雑していた。やはり同じ駅からコペンハーゲンへ戻る観光客で満員である。

1駅は立っていたが,次の駅からは座ることができた。私たちが「隣の親子はUNOをやるみたいだね」と話をしていると,私の隣りにいた男の子エミリオが「日本人かい?」(英語)と話しかけてきた。そして「一緒にプレイするかい?」(英語)と話しかけてきた。同行者がやりましょうと言うので,めちゃくちゃ久しぶりにUNOをやることになった。

ゲームはワンラウンドで終了したが,なんと勝ったのはお母さんだった(笑)。まさかの展開である。

その後,降りる駅が近くなってきたのでしばし雑談。エミリオが日本に行ってみたいこと,宮崎駿映画の中でもポニョが大好きであること,エミリオが家族に会いに行くためにコロンビアまで行くことなどを語っていた。そして,降りる駅が来て,お別れすることになった。これも旅の醍醐味である。

Copenhagen Business Schoolに在籍する日本人研究者との夕食会

中央駅で下車後,適宜散歩をしながら夕食会の時間まで過ごすことに。ここで初めてコペンハーゲンの中心部を歩くことになるのだが,ストックホルムほど静かで整っている印象は受けなかった。昨日も書いたように多少なりとも雑然としている印象。これも中央駅や旅行者がおみやげを購入するようなゾーンにいたからかもしれない。

18:30になり,所定の場所へ移動する。今日のお店はHostという。ミシュランで選ばれた名店。伝統的なスカンジナビアン料理に手を加えたものが料理として出てくるそうだ。

今日の食事会の様子。奥の異国人たちは別グループ。

食事の内容については他のSNSに任せるとして,魚であり,肉であり,ともに美味しく頂くことができた。味付けも日本に近くて食べやすい。北欧の旅では単価の高さ(今日の昼食プレートは159DEK=3,000円)を超えるなど,物価の高さが気になるが,食事は美味しい。

話もそれぞれの大学のことや欧州で研究すること,日本とデンマークのつながりなど多様に渡った。いろいろと書きたいのだが,書くとマズいことも含まれているのでここだけ。18:30からスタートした食事会はなんだかんだと23:00まで続いた。これにて3/10のスケジュールは完了。

まだ明日がある。

これにて予定していたスケジュールは終わりか。実はそうではない。明日の帰国便に搭乗する直前まで再びスウェーデンに戻ってルンド大学へ向かう予定。こちらのSten K. Johnson Center for Entrepreneurshipでインタビュー調査を実施する。そのためのSJ(スウェーデン国鉄)のチケット確保やルンドのあるスコーネ県で用いるバスカードを購入しなければならない。これでバタバタしているうちに0時を回ってしまった。

ここまで今回の旅をコーディネートして頂いた2人の先生には非常に感謝している。まだ自分からコネクションを作ることができていないにも関わらず,英語を用いたインタビューをし,さまざまなスウェーデンやデンマークにおける大学発スタートアップ支援や教育事情について学ぶことができた。

明日は8時に中央駅。少し早く起きなければならない。最終日であるけれどもアポが入ってギリギリまで調査である。とてもありがたい。今回の旅が直接的に研究につながることはないだろうが,海外研究者とのコミュニケーションをどう構築していくのか,少しは英語でコミュニケーション取れたかなと感じた。もちろん講義をする,研究発表をするまでは行っていない。

こうした自分をブレイクするキッカケとして,4月はイタリアで開催される中小企業向けの管理会計研究が集まる学会で初めて報告することになっている。どこまでできるかはわからないが,重要なモチベーションになることはもちがいない。

今回の旅のふりかえりはまた別編で。ここまでお読み頂けている語ってどれくらいいるのだろうか。これが自分のメモなのか,それとも他者が目にすることがあるのだろうか。

12日にCBS(Copenhagen Business University)に行くそうだが,私もぜひ行きたかった。が,今回は仕方ない。「もう一度来なさい」と言われれば,後ろ髪を惹かれながら帰国することになるだろう。

眠い。寝よう。おやすみなさい。

追記
次回に続く

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