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同期と非同期をどう組み合わせるか:オンライン講義を前にして

ここ数日頭をもたげていたオンライン講義の問題。

会計学を担当しているが故に、残念ながらオンラインだけというわけにはいかず、紙(あるいはスプレッドシート)がなければ講義が成り立たない部分もある。この点学生に迷惑をかけることは忍びないが、しばらくこれでやってみることにする。ただ、レジュメとパワポがあれば動画を見ずとも良いようにはする。ラジオ講義ですね。

そんなことにケリをつけた今朝、いつも拝読している棚橋さんの記事に衝撃を受けた。

テレワークが始まっての印象、仕事の変化に始まり、それが仕事の進め方、コミュニケーションのあり方にどんな変化を与えたのか。詳しくは記事を読んで頂くとして、同期と非同期という整理は考えていたことをパチっと整理する良い言葉だった。モヤモヤの一部が溶けた。

そしてすぐにゼミとゼミOBOGに向けて下記のような投稿をしたので紹介しておきたい。

ゼミ生に向けたこの記事の理解

【重要:土曜日の朝だけど読んでおいてください】
おはようございます。土曜日の朝にあんまり学業のことで連絡をしたくはないのですが、大事な記事なのでシェアしておきます。

台湾合宿からもう1ヶ月と10日が過ぎました。今この時点であの時と同じように楽観的にこの状況を捉えられている人はいないでしょう。大学も開始が遅くなり、先生方は24日から始まる講義準備、新入生への対応に日々尽力されています。

さて、この記事はみんなにとって大切な記事です。オンラインで仕事をする、テレワークで仕事をすることが当たり前になった先に何が起きるかという話。

これまでゼミは将来的な教育のあり方を意識して、プロジェクト(ゼミ活動の大半)は非同期型、ゼミの時間に同期を取って調整するというやり方をしてきました。つまり、プロジェクト報告はゼミの時間に行うけれども、それまでの間にどのように進めるか、ミーティングを行うかは学生自身に任せてきました。

そして、そこで行われるミーティングは学校で顔を突き合わせてオフラインでやる場合もあれば、LINEやGoogleドライブ等を活用してオンラインやってきたケースもありました。

(中略)

このことはオンラインになっても基本的には変わらない。オンラインのメリットは距離が離れていても同期できること。原則的に仕事もプロジェクトも非同期型。学校教育=教室で何か教えるのは同期型だ。同期型でやるメリットはそこでコンテクストを共有できることだけれども、今やこれだけテクノロジーが溢れているのだから、実は意識するべきはオンでもオフでもなく、同期できるか、非同期でも良いのかということなのだろう。非同期でやるということは、個々人の能力が求められる。どういう能力か。この記事はそれを端的に表現してくれている。

つまり、「非同期型のテレワークスタイルに切り替わるためには、テクストを読み書きする力が必要になる。慣れや経験も含めてそうだ。」ということ。

ゼミで課している課題はずっと読み書きする力だ。テクストを読み、意味を読み取り、行動する。相手に伝えるときも読み間違えないように書き、伝え、相手がこちらの意図を理解して行動する。これのやり取りをずっと訓練してきたのだ。LINEのスタンプだけで完結するようなコミュニケーションは相当なハイコンテクストを要求する。それは学生だから、顔見知りの人間だから成り立つ。しかし、残念ながらこれからは「それだけ」では生きていけないかもしれない。

個々人がいつでもどこでもという非同期と、この時間のこの場所でという同期。これをシームレスにつなぎ目なしに使えるのがオンラインのメリットだ。

だから、ここに書いてあることは何度も読んで理解しておくと良いでしょう。オンか、オフかではなく、同期か、非同期か。いや、オンもオフもで、同期か非同期かがある。非同期になればなるほど、その個人が持つ基礎的な能力が大事になる。その力を今養う必要がある。

たくさんの情報に触れ、取捨選択する軸を持つ。その軸を持つために、本を読み、頭の中で具体と抽象を行き来させること。その能力はどんな時代でも普遍的に意味がある。今こそ課題図書を繰り返し読んでください。

本を読みながらイメージを膨らませ、自由に動けることになった時に差になると思います。

ちょっと長くなったけど、大事なことだから記しておきます。2020年のゼミはそれを志向する1年なんだと思います。

これを受けて考えたこと

オンラインか、オフラインかではない。同期か、非同期かだ。コンテクストの共有、リアルかそうではないかという問題はもう少し考えないといけないけど、当座仕事をする、学ぶ機会を提供するということで言えば、同期か、非同期かということを考えておけば良い。

その時に今ある最大限のサービスを提供したいとは思うが、それにはリソースに限界がある。無理やり同期させるのではなく、非同期でも学べる仕組みを作れば良い。そう考えれば「教える」ことをどう定義づけすれば良いのかは自ずから見えてくるのだろうな。

うむ。知識提供型の講義のやり方で欲張ることはない。コンテクストを共有しているゼミは今のやり方を続けてみる。問題は1年生向けの基礎ゼミだ。

今年はテキストを松村圭一郎『これからの大学』に指定したので、当座はこれを使って読む、レポートを書くからやることにしよう。レポートの書き方練習の講義資料でも作りますか…。

相変わらず拙い考えなのだが、2020年度の講義前に頭が整理できたのがラッキー。もちろん今やっているやり方がベストとは言えない。これから実践を繰り返し、学生の反応を見ながらやり方を変えていくことにしよう。

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