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実践で学び、理論を学ぶ:2020創業体験プログラムでの販売を終えて

9回目を迎えた創業体験プログラムは紆余曲折がありながらも、無事に女子商マルシェでの出店を終えた。

今日はこの時点でのふりかえり。

販売結果と企画のふりかえり

2年生の日南地鶏のパニーニと日南レモンのレモネード原液は予想以上のペースで売り上げ、1日目、2日目ともに売り切れが生じる売り損じが出る結果に。ただし、日南地鶏の消費量が予想より多くなく、当初予定の生産量を上回ることができたため、予想売上高を超えた。

一方、対馬の海産物と乾燥椎茸を販売した3年生は、1日目は苦戦。煮穴子を買い求めた顧客が殺到し、目玉商品が開始30分で完売。一方で干物のセットはなかなか売れず、目標売上高に届かず。2日目はショーケースの位置、値札から値段を消す、一部の価格変更とセット見直しで巻き返し。こちらも終了前には売り切れ、売り損じが発生した。

こう書くとネガティブに読めるが、そうではない。もっと強気に商売しても良かったね、その自信を持てなかった原因はどこにあったんだろうね、もっと準備できることあったねというふりかえりポイントが続出で、七隈祭に比して半分にも満たない営業時間で濃い学びができたと考える。

そもそも今回の創業体験プログラムでは、コロナ禍で物販中心にならざるを得ないと予想し、対馬や日南という地方の産品を仕入れて売るというこれまでのプログラムとは異なるやり方をやってきた。しかも先輩たちも経験したことがない市場で販売したことで、不確実性が高く、縁故で販売もできず、商品の目利き力と販売コンセプト、企画力で勝負することを狙いにした。さまざまな方のご協力もあって運良く全て完売することができた。学生の努力はもちろん、ご協力頂いた方々に改めて感謝申し上げたい。

単に地方の産品を売るのではない。学生が見聞きし、目利きした商品を仕入れて売る。利鞘は学園祭に比べれば少ないけれども、より企画力が問われる良い機会になった。この路線は継続していきたい。幸い、来年度も出店要請があったことだし。

学びのふりかえり

さて恒例のふりかえり。

2日目最後のふりかえりでこんな話をした。

それはこの本で改めて学んだ臨床医の「診る」という行為がどう成り立っているのかという話。

要するに臨床医は診断を行うに際して、症状から考えられる病状のリスト(理論的にあり得る病気)と過去の経験をもとに判断しているということ。ざっくり言えば、理論と経験の組み合わせで診断を行っているということ。

では、私たちが自ら行ってきた事業を「診る」としたとき、すなわちふりかえりを行うときにどう考えたら良いのだろうか。

学生には常に「私たち商学部の学びの場はそこらじゅうに溢れている。コンビニ、スーパー、自動車、スマホのアプリ。どんな製品、サービスも学びになる。」と話している。その時、学生たちが教室で学んだこと=理論をベースにどれだけ考えることができているだろうか。教室での学びをフィールドで活かす、フィールドでの学びを教室での学びに活かすということをどれだけできるか。

それを無理くり創業体験プログラムでは仕掛けているようにも思う。私たちは実践と理論をミックスしながら学ぶ機会を創っているけど、それは主観的にも客観的にも、具体的にも抽象的にも企業活動がどのように行われていて、どこに問題があるのかを診断し、適切な処置を行うことができるようになることを目指している。もしそこまでたどり着くことができたら素晴らしい。

自分たちで自分たちの現在地を診る。

これができたら最高だよねとそういう話をした。

そんな話をしていたら、ある学生がこんな図を作ってくれた。

あの30分程度の話を聞いて、ここまでまとめられたのはとても素晴らしい。ぜひFacebookで書くだけでなくて、noteで記事にして欲しい。加えて、ここまでできれば、3年生に与えた課題である①個人のふりかえりと組織としてのふりかえりをどうリンクさせるか、②ここで得たふりかえり=創業体験プログラムでの学びをいかに高校生へ授業(このあと12月に女子商で高校生のふりかえりを行う)設計にどう活かすか、③結果、自分たちは何を学ぶことができたのかは比較的スムーズにできそうな気がする。

9年も創業体験プログラムをやって、初めて手応えのあるふりかえりができそうだ。それもこれも学生のおかげ。

最後に

さて、明日は2年生、金曜日は3年生のふりかえりが行われる。2年生はここから長い時間をかけて。3年生はこの1回で腑に落とす作業を進める。ここでの学びを実践したというだけに還元するのではなく、広く転用可能な理論と結びつけることができるようになるか。その土台がここで固まれば、ある種完成形と言えるかもしれない。

完成と思ったけど、まだまだ続けることになりそうだ。神様はきっと次の試練を与えてくださるのだろう。50までと決めてやってきたのに、まだまだここから教育的知見を得られる新しい経験ができそうだ。じゃあ、それはどうする?それをまた考えていくことにしたい。

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