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連結納税制度とは?

持株会社を利用して、グループ経営を行っていると、グループ全体の法人税の負担率が法定税率よりも高くなることがあります。これは、グループ内で赤字の法人がある場合、その赤字分の税金がマイナスになることはないからです。

そのような場合でも、赤字のグループ会社の欠損によって黒字のグループ会社の所得と通算することで、法人税額を減らすことのできる連結納税という制度があります。

事業を分社化することの問題点

事業ごとの損益を明確にしたり、迅速な意思決定ができるようにしたりするために、会社の各事業を分社化することがあります。この場合、すべての事業が黒字であれば良いのですが、1つでも赤字の事業があると、法人税の計算上不利になってしまします。

例えば、A事業は10百万円の黒字、B事業は3百万円の赤字の場合、分社化していなければ税引前利益は7百万円なので、法人税は1.6百万円となります。一方、A事業とB事業をA社とB社に分社化し、別会社とした場合の法人税は、A社が2.3百万円、B社が0円なので、グループ全体では2.3百万円と増えてしまいます。これは、同じ会社なら黒字と赤字が相殺できて法人税を減らすことができるのに、会社が別になってしまうと、その相殺ができなくなるからです。

連結納税制度とは?

グループ経営を行うことで法人税が増えてしまっては、誰もグループ経営をしようとは思わなくなります。そこで、会社が違っても一定の要件のもとに、黒字と赤字を通算できる制度が準備されています。それが連結納税制度です。

ざっくり言えば、連結納税制度ではA社の黒字10万円とB社の赤字3百万円を合算した7百万円に対して税金計算を行ないます。するとグループ全体での法人税額が1.6百万円と算定されます。その後、この法人税額をグループ各社の課税所得に応じて配分したものが、各社の法人税負担額となります。

連結納税制度を使うことのデメリット

連結納税制度を使うことで、赤字のグループ会社の欠損を有効に活用することができます。しかし、連結納税制度にはデメリットもあります。

デメリットの中でも影響が大きいものは、事務手続の煩雑さです。これまで自社の情報だけを収集していれば良かったところが、子会社の情報も必要となるので、その取りまとめが大変になります。また、一度連結納税制度を適用すると、原則として取止めができないので後戻りができません。

連結納税制度を適用するには、これらのデメリットも考慮したうえで、適用を検討する必要があります。そもそも、その前にグループ経営をするメリットがあるのかどうかについても検討することになるかもしれません。

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