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連結納税のポイント~導入のメリット~

連結納税制度を導入する一番のメリットは、赤字のグループ会社の欠損金を黒字のグループ会社の所得と通算できることです。ただし、メリットはこれだけではありません。ここでは、連結納税を適用することで享受できる税務メリットについて解説します。

赤字会社の欠損金を活用できる

繰り返しになりますが、これが最大のメリットです。グループ会社が各社で税金計算をして納税を行っている場合、赤字の会社については法人税が還付されるわけではなく、法人税が0になるだけです。では、その赤字はどうなるかといえば、翌年以降に繰り越され、黒字の年度の所得と通算することで、将来の法人税額が減額できることになります。

しかし、赤字の会社がその後の年度において黒字になるという保証はありません。黒字にならない限りは、発生した赤字を使って法人税を減らすということもできません。

では、連結納税を使うとどうなるのでしょうか?ある会社で赤字になったとしても、別の会社で黒字があれば、その赤字と黒字を通算することができます。つまり、単体納税では翌年以降にならないと使えない欠損金が、その年度で使えるのです。手元にお金を早く残した方が経営は楽になります。連結納税には手元資金を厚くできるというメリットがあります。

なお、連結納税はそもそも地方税(住民税、事業税)には適用されませんので、赤字会社の欠損金を黒字会社の所得と通算できるのは法人税だけです。この点はご注意ください。

親会社の繰越欠損金が使える

連結納税開始前に生じた親会社の繰越欠損金は、連結納税開始後にも使用することができます。つまり、親会社に累積した繰越欠損金で子会社の法人税を減らすことができます。

子会社の資産の含み損を活用できる

連結納税を開始する前には、一定の要件のもとで子会社の資産を時価評価します。そのため、価値の下がった不動産や有価証券を保有している子会社は、この時価評価によって価値の減少分を損金に計上できるので、現金支出を伴わずに税金額を減らすことができます。

税額控除の適用額が拡がる

連結納税では、試験研究費の税額控除や外国税額控除については、グループ全体で控除の限度額が決まります。したがって、グループ内の会社において、税額控除ができない過大な試験研究費等がある場合には、連結納税を適用することで、税額控除の枠が拡がり、法人税額を減少させることができます。


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