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連結納税のポイント~持株会社の課税所得がマイナスになる?~

持株会社、特に純粋持株会社の場合には、決算書上で利益が出ていても、税金計算における課税所得はマイナスになることがあります。連結納税制度のメリットはグループ会社の赤字を他のグループ会社の黒字と通算して税額を圧縮できることです。したがって、事業がすべて順調で、赤字の会社がなければ連結納税を適用するメリットがありません。

ただし、一見すると赤字のグループ会社がない場合でも、それらを束ねる持株会社に税務上は赤字が発生することがあります。このときは連結納税制度のメリットが活きてきます。では、どのようなどきに税務上の赤字が発生するのでしょうか?

持株会社の損益構造

純粋持株会社の場合、主な収入はグループ会社からの経営指導料と配当金です。例えば、経営指導料が100、受取配当金が120で経費が200かかっているとしましょう。これなら、会計上は100+120-200=20の利益なので赤字ではありません。

しかし、これは会計上の話です。税金計算をするときには、会計上の利益に税務固有の調整を行うことになっています。この例の場合、受取配当金が益金不算入(つまり、収入に含めない)という調整項目となります。

受取配当金は益金とならない

配当金は、子会社の税引後利益から支払われるものです。つまり、すでに税金が課されたあとの残りを親会社に支払っています。その配当金に対し、受け取った親会社でも課税されてしまうと税金が二重に取られることとなり、おかしなことになります。したがって、二重課税を回避するために、子会社から受け取る配当金については、親会社において益金(≒収入)から除外します。

そうすると、税務上の損益は、100-200=△100となり赤字になるのです。いずれ親会社が税務上の黒字になるならこの赤字を通算できるのですが、この例のような損益構造では税務上は黒字になるのは難しいです。したがって、この税務上の赤字を有効活用するには、連結納税制度を使用することになります。

終わりに

このように、持株会社においては会計上と税務上の損益が逆転するケースがあります。そのような場合には、連結納税制度を適用するメリットが生じえますので、一度検討してみることをお勧めします。

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