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終わり良ければ総て良し その1

終わり良ければ総て良し。

僕は人生の終盤を、ほぼ高齢者のために尽くしたと言っても過言ではないんだ。

ひょんなことからだよ。

勤務先の理事長の姉(実質的な理事長なんだけど)が「介護福祉士養成校を作りたい」と言い出した。
学園内の理事長も逆らえない、絶対権力者であり、僕の直属の上司である。

そして、「悪いんだけど厚生省(当時はまだ厚生労働省ではなかった時代)に行って、何とかしてくれないかなあ・・・」って、つまり最短で学校を作れということ。

こんなことが日常茶飯事。

いや、理事長に「馬鹿みたいな話で北京へ2泊3日で行かされたばっかりですよ!夜も寝かせてもらえなかったのにぃ・・・。とごねても、言い出したら止められる人は誰もいない。

「とにかく行ってみます!」と、まずは厚生省の担当官を調べ、アポを取った。

生意気な若造でさ。今でも名前を覚えてる。K氏。

彼は「無理してきていただかなくても、こちらは別に困らないので・・・」とか、ぬかしやがるんだ。

カチ~ン!

こんな小僧になめれてたまるか!

とにかくアポを取って、なめられないためにも理論武装をしようと。

もちろん、学校の指定基準は丸暗記。
学校教育法も弁護士並みに暗記。

さて行くか、と思ったら、
あれ・・・「よく『福祉の学校』って呼ばれるけど『福祉』ってそもそもどういう意味だ?」って、思ってしまった。

すぐ辞書を引いた。
というのは以前から引っかかていた言い回しがあった。
「公共の福祉に反しない限り」という一文。

僕は「困った人を助けること」というような意味かと思ったけど、公共の「****」では意味が通らない。

で、辞書を引いたわけだ。

目が点。
目から鱗が落ちました。

1.安心で安全な環境。
2.幸福

と書いてあった。
なるほど、1.なら意味が通るなあ。納得。

つまり、「介護福祉士」って、「介護を通して」対象者を「安心で安全な環境」の下で「介護する」、「仕事をする人」って意味かあ。
と理解したが、じゃあ、「介護」って?

漢和辞典まで使って調べた。

「介護の「介」は「人に寄り添う」とか人と人の間に入る」という意味があり、「護」は「大切に護る」という意味がある。
なるほどね。

ちなみに、福祉の「福」は「しあわせ」という意味だし、福祉の「祉」は・・・これ知っている人はほぼいないけどね。「幸福な環境」っていう意味があるんだよ。
さらに雑学。
英語で「福祉」と言いうと「welfare」と訳される。これも分解すると、well+fareとなり、それぞれ、「良い」「環境」みたいな意味合いの言葉。

なるほどね。日本語も英語も考え方は似ているんだね。

なぜ僕は英語も調べたかというと、英語で授業をしたことがあるから。
まあそれはいいとして・・・。

人に寄り添い、大切に護り、安全で安心な環境の下で、その人を幸福へ導くプロを育てる仕事なんだ、と理解して、
「素敵な仕事じゃあないか!やりがいがあるな。」と思って霞が関へ乗り込んだ、というわけ。

かなりの迫力があったと思うし、電話と会うのでは威圧感が違うでしょ。?
僕に会うと、だいたいの人が極度の緊張で倒れそうになる。

商社マン、新聞支局長として、普通の人が経験できない修羅場をくぐってきたから、厚生省の官僚K氏も目が泳いでいて、最後には背筋を伸ばして全面協力を約束してくれた。

それが、僕が今まで生きてきた人生を180度変えた

「介護」との出会いかな?

意外と深みにはまって行ったんだ。
自分でも信じられないくらい意外とね。
<続く>


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