見出し画像

写真撮影のときのポージングの心理学

ポージングの現実的な効用

 ポートレートの撮影や広告、グラビアなどでモデルさんはポージングをされています。モデル経験が長い方はポージングのバリエーションが豊富だし、短い方はそれなりだったりしますw。さて、じゃあポージングってなんで必要か?ってきかれると「うーん」となる方がそこそこいるんじゃないでしょうか?そのあたりのヒントや心理的な事を少しまとめてみます

 1. 外的な表現としてのポージング

 タイトルは難しいのですがw、実は言わんとする事は簡単です。いかに「外面を強調して見せるか」ということです。これはファッション、小物(バッグなど)から体のライン(グラビアなど)など写真の中で強調したいものを演出する際に必要ですね。ファッションショーのウォーキングなどもここに含まれます。ちなみに、あのウォーキングは肩の位置が一定でないと駄目だそうな。これは後でポージングべからず集で書いて見ます。

 この場合のポージングは全身またはパーツの形が中心で文字通り「どういう形またはカメラにどう見せると強調できるか」という事になります。スカートのひらひら感をどう出すかとか、ストリート系のやさぐれ感を動作すかとかetc・・・

 あと、ポージングができずに表情だよりになるとそのセッションの写真はアップばっかりのカットになり写真のバリエーションが狭くなります。写真家は一つのセッションでいろんなパターンを撮りたく思うので引きのカットが成立するのはきちんとポージングができていないと画になりません。これは別にはでなポージングを勧めているわけではなく、背景や表現に即したフォトジェニックなボディラインの見せ方が技術として問われるということです。

 2. 内的な表現としてのポージング

 さて、こちらは少しアートな方向で内面をどう表現するかというポージングになり、表情が中心になります。あと、手の動きも。表情は喜怒哀楽で特に視線(というか目)が中心になります。写真家もモデルさんもこれをどうやって引き出すか/表現するかで苦労しますしw、また、そこがメンタルな意味での写真撮影の面白いところかと。まあ僕も仕事柄wこの点をいつも考えて撮ってますし、複数のプロカメに厳しく指導されてきましたwww。

 ま、それはさておきw、大体抽象的な指示が写真家から飛んでくることが多いです。「3年ぶりにあった高校の同級生と合うときのイメージで」とかw。こういうシチューエーションの指示でどこまでそのイメージ/気分になれるかで表情の出方が決まってきます。あと、最近の女性誌では「服をよく見せる」から「この服をきるとこんな風にハッピーになれる」という変化があるので婦人〇報的な撮影は(以下略w

 3. 撮影の見取り図としてのポージング

 これはあんまり書いてない上に、これが出来るのはポージングのヴァリエーションが豊富なモデルさんだけですw。また、写真家-モデル間の心理的影響が一番大きいポージングでしょう。

 特に初めてのセッションなんかでは、よほど事前に詳細な打ち合わせ(画コンテやサンプル画像の共有など)をしていない限り、お互いのイメージのすりあわせができないので、モデルさん側は概ね写真家のイメージを想像してポージングを提示しています。特に並びの撮影会や個人撮影なんかではそうですね。いわゆる「場を暖める」ためのポージングです。

 ポージングをみてそこから写真家が指示を出す場合もありますし、また、モデルさんが別の提示をしてくれる場合もありますが、このときのお互いのやり取りでそのセッションをどういう形にしていくかという見取り図ができていく過程だと思います。よく撮影した画像をデジカメの液晶で見せるのはイメージを共有するためなんです。決して写真家が自分のカットを褒めてほしいわけではないですよwww

 ちなみに広瀬アリスさんの写真展で経時的に撮影されていたのですが、当初はがちがちのポージングでそのあと徐々に自然な動作になっていてなるほどなぁって思いました。

 4. (モデルさん向け)フォトグラファーに触らせないためのポージング

 だんだん下種な話になってきましたがw、触られるのが嫌なモデルさんはきちんとポージングができるようになったほうがいいです。それも口頭でイメージ聞いてポージングができるようにすれば、カメラマンがモデルさんの体(髪なども含む)を触る必要がなくなります。難しいのはいい画が撮りたいのでポージングに修正をいれるのが口頭よりも実際動かしたほうが早いのでつい触ってしまう写真家(とはいっても、触らないでくださいといってて触るのはバツですが)と下心的にさわる写真家との見分けがつかないことなんですよね。ま、でもいやなものは嫌と言いましょう。そのためにも「口頭で言っていただければポージングしますので触って修正していただなくても結構です」というのは説得力があってぎすぎすしない言い方になるかと。

 あ、僕は触りません。ポージングやってみせて時に笑いを取るのがミソですw


ポージングの注意点

 とまあ、ポージングは出来るだけバリエーションがあったほうがいいです。が、ポージングのバリエーションが増えるとそれに頼るだけになってしまう問題があります。

 派手なポージングの場合は、撮影状況によっては効果がある場合もありますが演出過剰ととられる場合がありますし、特に、「ポートレートで内面が撮りたい」と考えている写真家には好まれない場合があります。

 ときどき、「私はポージングしません。指示出していただければします」という文章を見るのですが、こういうのってポージングをまじめにやっていない人のエクスキューズに見えます(暴言)。ポージングは実は一か所を動かせばそのほかの場所(例えば右手の位置を変えれば、左足の位置まで微妙に修正がはいる)をしないと綺麗なポージングになりません。これは鏡をみて練習するかポージングのレッスンを受けないとなかなかできませんし、この点はモデルさんの技術です。ですので写真家があまり細かい場所まで指示をだすとぎことなくなるので僕自身はわりとおおまかな指示しかださないようにしています。まあ、ポージングのできるモデルさんはあんまりプロフィールに書いてませんね。彼女らにとってできて当然という意識が強いみたいですから。

 また、キメの表情が印象に残る場合、その表情がアイコンになってしまうとそのイメージが何度も繰り返され消費されてしまうことになってしまうことがあります。簡単な言葉で言うと「その表情ってお腹いっぱい」ってやつですね。ただ、この場合はその表情がインパクトがあるから記憶に残ってしまうのであってその時の表現としては他のモデルさんに真似できないこともあり決して駄目な事ではないと個人的には思います。

ポージングの到達点

 最後はモデルさんと写真家が共有したイメージを、ポージングに見えないポージングで(いえば所作というか振る舞いというか)が究極のポージングじゃないかと思っています。あ、すいません、そのポージングに追いつくほど僕は写真が上手じゃないですw

 と、まとめてしまうとあまりに抽象的過ぎるので少し具体的に書くと、「表情・手・体・足までその撮影状況で違和感がないこと」が僕の書ける一番具体的な書き方になってしまいます。これはモデルさんに押し付けるのではなく、写真家と一緒に作って行くポージングだと思っています。

 こうかくと、ポートレートって心理的な要因が大きいなって思いますね(あ、偏見www)

おまけ ポージング初心者向けのべからず集

 一言でいうと「(よほど意図が無い限り)棒立ちになるな」ですw。

くわしくいうと、まず顔の位置。正面を向けるより少し左右に振ると顔がほっそりみえます。

肩も同じく顔と同じ方向に振ってください。肩幅が狭く見えます。それとカメラ側の肩を少し落とすと首のラインが綺麗にみえます

背骨はまっすぐせずS字型に。女性的な丸みが出ます

腰。これは斜めに向けると腰のラインが狭く見えるので綺麗に。経験のあるモデルさんは体重を左右のどちらかにのせてますね。いわゆる「腰がはいる」という状態

足。これは撮影状況にもよるのですが一番多いのがモデル立ちw あとはクロスなどなどですが、ファッション誌参照w

手ですがこれはその時のイメージで。腰にまわすときには5本とも指が見えるようにが綺麗です。

 とまあ入門書みたいな書き方の上、あくまで写真家目線ですいません(汗)。経験のあるモデルさんにとっては「こんなの全然当たり前/ちがうわ!」的な文章かも(冷汗)。あくまで初心者向けなのと、実はこれの後にどう表現するかがモデルさんの醍醐味じゃないかなって考えています。

写真家とモデルさんが協力していい瞬間作りたいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?