アメリカ英語を聞いていると, internet, twenty, want to や going to, trying to等の ‟-nt‐” あるいは ‟-n□t-″ の t の音が聞こえないのは どうして? それは...

アメリカ英語を話す人たちは、舌を口腔の後部に引いておいて、あるいは 舌を喉の奥に引き込むような感じにしておいて発声しています。

しかしながら、彼ら(彼女たち)は このことを意識しているわけではありません。無意識のうちにやっているわけです。

これは、私たち日本人も声を出すとき,いちいち舌の状態を意識しているわけではないのと同じです。

アメリカ英語(General American)(略GA)は、特別な事情がない限り、必ず上記のように舌に力を込めておいて発声します。

上記のように舌に力を込めておいて internet, や twenty, winter あるいは want to 等を発音すれば、t は調音位置が同じ n に吸収されて聞こえなくなってしまうのです。

これは、GA独特の音の変化で、イギリス英語やオーストラリア英語には無い音声変化の現象です。

なぜ このような音声変化が起きるのかと言いますと、1⃣ GAは (ほぼ)すべての発音を"鼻音化”して発音しているということ。2⃣ n と t が同じ調音位置だということ。3⃣ t の後の母音に強勢が無いこと。   以上の条件が揃っている場合に、GAの発音では発話者が意識する意識しないにかかわらず、 t の音声は自然に n に同化、あるいは吸収され聞こえなくなってしまうのです。

英語(アメリカ英語)の発音を苦手にしている私たち日本人でも、舌を思いっきり口腔の奥に引き込むようにしておいて、あるいは舌を力いっぱい喉の奥に引き込むような感じにしておいて発音すれば、同じように t の発音は聞こえなくなります。

思いっきり とか 力いっぱいの部分を太字にしているのは、そうすることで自動的に口蓋垂が下がった状態になり、私たちの発音が"鼻音化”するからです。

  舌の後部に強い力が加わると、その力は周辺にも及びます。口蓋垂  (いわゆるノドチンコ)も その影響を受け、下がった状態で固定されることになります。口蓋垂は本来、n や m それに ng を発音するときのみ、自動的に下がった状態になり、音声を鼻音化する役割をしているのですが、GAでは 強制的に口蓋垂を下げ、鼻音以外の音声も鼻音化しているのです。

(ほぼ)すべての発音を鼻音化するということは、t の発音も鼻音化するということです。そこで、鼻音の n に続いて発音する t は当然、n の影響を受けることになります。つまり、n への同化や n に吸収されるというわけです。

intérnal のように t の後の母音に強勢がある場合は、t を強く発音するために n の影響を受けることはありません。


また、going to や trying to の場合は、一連の発音を滑らかにするために ing の i と g を強制的に省略して n 化します。こうすることで、アメリカ英語の発音のリズムを維持できるという訳です。 これで、want to 等の -nt- の場合と同じ発音になります。


舌に力を込めることなく、従って 舌の状態がゆる~い状態で発声している私たち日本人が、アメリカ英語を身に付けるには、舌を力いっぱい口腔の奥に引くようにして、あるいは 舌を思いっきり喉の奥に引き込むような感じにしておいて発声するようにしなければなりません。

その理由は、単に舌を口腔の奥に引くとか、喉の奥に引き込むような感じにするだけでは、アメリカ英語の音声的特徴としての"音声の鼻音化”を実現できないからです。

舌の後部に力を込めておいて発声することに馴染んでくると、意識しなくても、自然に舌に力を込めた状態ができるようになってくるとともに、それほど力を込めなくてもGAの発音ができるようになってきます。

以上です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?