fish や hit,tip 等の「i」の発音が、日本語の「イ」と「エ」の中間の音であることを実証します


何度もお話ししていることですが、最初に日本語の舌とアメリカ英語の舌に付いて説明します。

私たち日本人は日本語を話すとき、舌に力を込めることなく話しています。しかしながら、このようなことは特別な事情がない限り、誰も意識しているわけではないので、言われてみて初めて気づくわけです。

他方、アメリカ英語(General American)(以下GA)を話す人たちは、必ず舌を喉の奥に引き込むような感じに、あるいは 舌を口腔の奥部に強く引くようにしておいて発声しています。

GAを話している彼(彼女)らも、舌を口腔の奥部に引くようにしているのを意識しているわけではないので、(音声学の専門家でない限り) 気づいている人は 殆んどいないのではないでしょうか。

日本語を話すときの舌の状態にしろ、GAを話すときの舌の形状にしろ、互いの舌の状態や形状が違っていることに気づいている人がいたならば、日本人の英語の発音は、とっくの昔に改められているのではないでしょうか。

日本には、英語をネイティブ並みの声質で発音する人が非常にたくさんいます。恐らく10万人くらいは いるのではないでしょうか。

ところが、日本人でありながら ネイティブ並みの洗練された声質で発音する人であっても、発声時の日本人とアメリカ人の舌の違いに気づいている人はいないのです。

YouTube等で日本人ゃ英語ネイティブの人たちが様々な方法で個々の発音の仕方を指導したり解説したりしていますが、日本語の舌と英語(アメリカ英語)の舌の状態や形状の違いを説明する人がいないという現実があるのです。


ここから、今日の本題の「i」の発音についてお話しします。

英語(アメリカ英語)の「i」の発音は、日本語の「イ」と「エ」の中間の音だということは、発音を指導する日本人や発音を学んでいる人たちにとっては、ほぼ常識になっています。

なぜ、このことが常識となっているのかと言えば、GAを話す人たちの「i」の発音が、私たちには 「イ」と「エ」の中間のような音に聞こえるからです。

例えば、イチローさんが現役の頃、私は よくTVでメジャーリーグの野球中継を見ていました。

そのときのTVのアナウンサーの叫ぶような声が ‟エチロー” ‟エチロー”のように聞こえていたのを覚えています。(「イ」と「エ」の混じった音を表記できないので「エ」と表記しています)


ここで、「i」の発音が私たちには「イ」と「エ」の中間の音のように聞こえるかについて実証していただきます。

まず、GAを発声するときの舌の構えをしてください。(舌を喉の奥に引き込むような感じにする、あるいは、舌を口腔の奥部に強く引くようにして下さい)

※舌を口腔の奥部に引くことができない人は、下の前歯を上の前歯より前に突き出すようにして下さい。こうすることで、舌を口腔の奥部に強く引いたような状態になります。(下の前歯を突き出すようにするのは一時的なもので、慣れてくれば突き出す必要がなくなってきます)

舌をGAを発声するときの状態にしておいて「イ」を発音してみて下さい。そして、続けて日本語の舌で (つまり、舌に力を込めることなく)「イ」と言ってみて下さい。

どうでした? GAの舌で発音した「イ」と日本語の舌で発音した「イ」は、同じ「イ」の発音でありながら、違った「イ」に聞こえたでしょう。

GAの舌で発音した「イ」は、GAの「i」の音(つまり 「イ」と「エ」の中間の音)になり、日本語の舌で発音した「イ」は、日本語の「イ」になるというわけです。

この辺りのことを認識していないと、日本語の舌のままでGAの「i」の発音を身に付けることになるのです。

つまり、日本語の舌の状態をGAの舌の形状にすることにより、日本語のすべての発音の調音位置が自動的にGAの発音の調音位置に移動するということです。

変化するのは調音位置だけではありません。音声の響きや息の強さもGAを話している人たちと同じようになります。

「i」の発音の実証は 以上です。

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