どうしてlittle の発音が「リル」のように聞こえるの? Seattle が 「セェアロ」のように聞こえるの?

カタカナ式で一音ごとに明確に発音することに慣れてしまっている私たち日本人にとって、英語(特にアメリカ英語)の連続子音の発音の変化は、なかなか馴染むことができません。

連続子音の中でも、little, title, Seattle等の語尾の tl の発音は、英語学習者にとって かなり厄介な存在です。

しかしながら、アメリの人たちが発音する tl を分析してみれば、以外にも容易に身に付けることができるのです。

little が「リィル」のように、Seattle が「セェアロ」のように聞こえるのは、彼ら(彼女たち)がそのように発音しているからです。

アメリカ英語では、語尾に tl が並んでいる場合、tの発音は通常の破裂音のtではなく 閉鎖音のt、つまり、舌先を上の歯茎に付けたままにしておいて次のlを発音します。

※閉鎖音とは、本来 息を破裂させるようにして発音する破裂音の p, k, t を、 破裂させることなく それぞれの発音の構えをするだけで、息の流れを閉鎖 (=stop)させてしまうということを表す言葉です。つまり 発音の構えはするものの、その発音を破裂させることなく  その発音の構えのまま 息を閉じ込めてしまうことを閉鎖音と言います。


ここでtの発音を閉鎖させるのは、tとlの調音位置(発音時に上の歯茎に舌先を付ける) が同じだということが大きく影響しています。

どういうことかと言いますと、舌を喉の奥に引き込むような感じにしておいて発声しているアメリカ英語を話す人たちの発音の特徴として、調音位置が同じところにある l, n, s, t の内、t は、後ろに l や n がある場合、そのtは、舌先を歯茎に付けたままで(=破裂させずに) 次のl、あるいはnを発音するということです。

そのため tの音は聞き取ることができず、little が「リィル」のように、title が「タァイル」のように、そして Seáttle が「セェアロ」のように聞こえるのです。

capital や hospital のように t と l の間に母音がある場合でも、t と l は 同じように続けて発音します。つまり、弱母音(=ストレスの無い母音)は脱落させて発音するということです。

なぜ、このような現象が起きるのかと言いますと、一つは アメリカ英語のリズムの影響を受けているからです。アメリカ英語は、個々の単語の発音よりもストレスを強調し、リズムを優先させて発音する言語なのです。

もう一つは、常に舌を緊張させておいて発声しているために、発音の簡略化簡素化が常態化しているということです。

例えば、上の hospital という語の場合、t と l の間の母音を発音するには、上の歯茎に付けておいた舌先を、一旦 歯茎から離して母音を発音し、その後、再び舌先を歯茎に付けて l を発音するとするということになります。

このように、弱母音を省くことなく発音すれば、発音のリズムが崩れスムーズに発音できなくなってしまうのです。 

t の発音を閉鎖したり、t と l の間の母音の発音を省略させることで、結果として 舌先を歯茎に付けたままで tl をスムーズに発音できるようになるというわけです。つまり、リズミカルに発音できるということです。


同じ t と l の間の母音でも hotél のように、t と l 間にある母音に強勢(=ストレス)がある場合、その母音は省けないので、「ホォウテェウ」のような発音になります。

 

語尾に[tl]の発音がある語には、次のようなものがあります。battle, bottle, cattle, gentle, kettle, Capitol...

以上です。

 





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