このことに気づかなかったことが、日本人が英語の発音を苦手にしなければならない最大の原因だったのです

きょうは、久しぶりに"英語の発音”についての記事を書きます。文字だけなので味気ない感じがしますが、英語の発音に興味を持っておられる方にとって、十分にインパクトのある内容だと思っています。

英語の発音を身につけたいと日々発音学習に取り組んでいる人だけでなく、英語教師や英語学習者に発音指導している人にも、ぜひ、この記事を読んでいただきたいと思っています。

私は、これまでYouTubeでもtwitterでも、自分の12年余りにわたる英語の発音の研究に基づいて、英語の発音は舌の状態や形状を英語ネイティブと同じようにするだけで、あっけないくらい簡単に身につくということを述べてきました。

そして、英語学習者には、英語の発音が身に付けば、オンライン英会話がこれまでの何倍も楽しくなり、街中で外国人に道を訊かれても、オタオタすることなく落ち着いて対応できるのですよ。

また、英語教師の方には、自分がネイティブ並みの発音ができることを想像してみて下さい。これまでのような通り一遍の授業ではなく、生徒にしっかりとした英語の発音を身につけさせることができ、充実した授業展開ができるようになりますよ、と。

ところが、このようなことを幾ら唱えても、学習者の脳裏には "英語の発音は難しい” という固定観念が、かなり根強く染みつてしまっているために、相変わらず、筋肉がどうの、喉がどうのと考えているようで、なかなか舌の状態を変えてもらえないという状況が続いています。


これまで、日本人は舌に力を込めることなく、従って舌の位置が低い状態のままで、舌に力を加え、舌を盛り上げておいて発声しなければならない英語の発音を身につけようとしてきました。

そして、英語の発音を身につけるには腹式呼吸をし、発声器官の筋力を強化し、 喉を開いて発音しなければならないなどと、枝葉末節の事柄ばかりが強調され続けているのです。

しかしながら、英語の発音を専門に12年余り研究して解かったことは、英語の発音を身に付けるうえで、呼吸の仕方や発声器官の筋肉、それに喉を開いてなどということは 大して重要なことではなく、最も重要視しなければならないのは『舌の状態や形状』なのだということです。

英語ネイティブの人たちが英語を話すとき、彼らの腹筋に力が加わるのも、彼らの音声周波数が高いのも、彼らの声の質が私たちと違うのも、アメリカ英語を話す人たちの音声が鼻音化するのも、音声が頻繁に変化するのも、すべて 舌の状態や形状によって起きている現象であることが 実証結果として判明しているのです。

今、日本全国で というよりも、中国や韓国、あるいは東南アジア諸国における英語の発音指導は、舌に力を込めておいて発声するという英語の発音の基本であり、英語の発音をを身につけるうえで最も重要な事柄を抜きに行われています。

なぜ、舌に力を込めることが重要なのかと言いますと、舌に力を込めることで、低かった舌が自然に盛り上がります。そして、舌が盛り上がることで、日本語をはじめとする極東アジアや東南アジアの国々の それぞれの言語の調音位置が、自動的に英語の調音位置に移動するからです。(アメリカ英語の舌の形状については別途)

調音位置が移動するということは、もう英語の発音を真似るとか耳コピをする必要がなくなるということです。真似しなくても、自然に英語の発音になっているのです。

また、調音位置が移動することで、私たち日本人の発音が、自然に呼気が強く、英語としての響きのある発音になるということです。

更に説明すると、日本語の五つの母音(アイウエオ)で、20種類以上あると言われている英語の母音を、すべて正確に、そして確実に英語ネイティブ並みに発音できるという訳です。(詳細は別途)

人種が違っていても、人の発声器官の構造は皆んな同じです。そして、すべての言語の母音の基本は「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」です。アイウエオ以外の母音は、すべてアイウエオの派生音なのです。

また、日本語の調音位置が英語の調音位置に移動することで r の発音は、確実に10秒以内で身につけることができます。

そして、L の発音は、明るい L が約8秒、暗い L が約7秒、合計15秒で しっかりと身に付くのです。


ヨーロッパの人たちが話す英語の音声には、英語としての響きがあります。一方で、日本の近隣諸国を含む 東南アジアの人たちが話す英語の音声には、英語としての響きがありません。なぜなのでしょう?

それは、私たちは殆んど舌に力を込めることなく、発声しているからです。舌に力を込めると、自然に舌は盛り上がります。

舌が盛り上がれば、舌と上あご(口蓋)の間が狭くなります。狭いところを通過する呼気と広いところを通過する呼気とでは、どちらの勢いが強いでしょう。

手のひらを口の(5㎝くらい)前に立て、日本式発声(舌に力を込めない)で ta, ti, tu, te, to を発音してみて下さい。続いて、舌に強く力を込める英語式発声で同じように ta, ti, tu, te, to を発音してみて下さい。

同じ ta, ti, tu, te, to でも、舌に力を込めるか否かで、呼気の強さに違いがあることがお分かりいただけたでしょうか。

英語ネイティブの人たちの呼気の勢いが強いのは、私たちと同じくらいの呼気の量であるにもかかわらず、呼気の通り道を狭くしておいて、呼気を勢いよく出しているからです。

このように呼気の勢いを強くすることで、音声の響きも増してきます。私たちは、これまで このことに気づくことなく、些細なことばかり気にしながら発音を身に付けようとしていたのです。


英語を外国語としている(日本を含む)極東アジアや東南アジア諸国の人たちが 舌の状態や形状を英語ネイティブと同じようにしておいて発声することで、自動的に腹筋に力が加わり、音声周波数が高くなり、音声が響くようになるのです。

これまで、極東アジアや東南アジアの人たちが話す英語は、共鳴の度合いが少なく、音声周波数が低い "Asian English” の音質になっていました。

それでも、日本以外のアジア諸国の人たちは、音声周波数が低くても(=息の勢いが弱くても)、割と大きな声で話すため、彼らの英語はよく通じているのです。

また、彼らの言語は、子音が独立しているうえに、first, や turn 等の ir, ur の発音ができるため、音質は違っていても、彼らの音声は英語ネイティブに明確に伝わるのです。

ところが、日本人は通常、人前で大きな声で話すことには抵抗がある上に、子音と母音がセットになっているカタカナを英語の発音として代用しているため、余分な母音を付けて発音することが多々あるのです。

これらの状況や発音ができないというコンプレックスがあるために、ますます英語を話せないという悪循環に陥ってしまっているのです。

日本での英語の発音指導は、遠い昔の日本式の複雑な発音指導法が 指導者から指導者へ脈々と受け継がれて今日に至っているのです。

今現在行われている発音指導は、発音指導している人が、英語としての響きがあるネイティブ並みの発音ができたとしても、短時間でしっかりと学習者に発音を習得させることができません。

なぜなら、学習者の舌の状態を日本語を話すときのままで、英語の発音を身につけさせようとしているからです。

この誤った指導法を改め、日本語の舌を英語の舌にすることで、英語の発音は、実にあっけなく身についてしまうのです。

今回は以上です。続きは次回に。



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