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‟曖昧母音”を制する者は、アメリカ英語の「母音」を制す

これまで誰も気づかなかったことですが、アメリカ英語の‟曖昧母音”は、主役の母音には成れないものの、「母音」の中では 最も重要な役目を担っています。


私たち日本人は母語の日本語を話すとき、舌に力を込めません。舌に力を込めないため、舌は盛り上がることなく低い位置にとどまっています。

日本語だけでなく、英語を話すときも舌の位置が低い状態で話します。
(下図参照)

上の図は、私たち日本人が日本語の「ア」を発音するときの舌の状態を、口を大きく開けておいて正面から見た図です。(舌は盛り上がらず、低い状態になっています)

そのため、舌と口蓋(=上あご)の間は広い状態のままになっています。舌と口蓋の間が広い状態では、強い息を出すことができません。一時的に強い息を出せても、連続して出せません。

そんな事情にかこつけて、日本人が強い息を出しながら発音できないのは、腹式呼吸をせずに発話するからだ、と誰かが言った事を 誰もが長い間 信じて疑いませんでした。


私たち日本人は英語の発音を苦手にしています。これだけ発音を習得するための教材が揃っているにもかかわらず、英語の発音が身に付きません。

なぜなら、英語の発音を習得するための近道があるにもかかわらず、ものすごく遠回りした方法で身に付けようとしているからです。

※ここで、発音が身に付かないと言っているのは、‟アメリカ英語のすべての発音を数時間(2~3時間)で身に付けることができない”と言っているのであって、数週間、あるいは 数か月かけて身に付けることを言っているのではありません。

発音が身に付かないのは なぜなのでしょう。どこに原因があるのでしょう。必ず 原因があるはずです。そうした思いのまま 7年が過ぎようとしたときに、突然 光が差してきました。

日本語と英語では、発声時の ‟舌” に違いがあることに気づいたのです。それから数か月後、ついに アメリカ英語の音声を作り出している『舌の形状』が具体的に解かってきたのです。

そして、私たち日本人が日本語を話しているときの舌の状態(上図)を、アメリカ英語を話している人の舌の状態(下図)と同じようにしておいて発声してみたのです。

発声してみれば、アメリカ英語を話す人たちの発声時の幾つかの身体的特徴(自然に腹筋に力が加わる等)と、幾つもの音声的特徴(音声の響き等)がすべて現れたのです。

さらに、アメリカ英語のややこしい音声変化も、その現象を完璧に解明できたのです。

これで、私たちは容易に、正確に、そして確実に、すべてのアメリカ英語の発音を数時間で身に付けることができるようになったのだと思うと、その日の夜は興奮して眠れませんでした。


舌を喉の奥に引き込むような感じにする、あるいは 舌を口腔の奥部に思い切り引くようにすることで、舌の左右の両端は盛り上がり、上の左右の奥歯に当たります。(下図参照)

これに対し、舌の中央部分は 強い力で舌の根っこの部分に引かれているために盛り上がることができず、やや低い位置にとどまっています。

この状態を口を開けて正面から見ると、舌は左右の両端は高く、逆に 中央部分の後ろ半分から奥部にかけての舌は低くなっています。(下図参照)

そのため、舌の形状は緩やかなⅤ字型になっています。このⅤ字型の舌の形状が、アメリカ英語の『基準となる発音の構え』なのです。

この 口腔の奥部の空間、つまり、このⅤ字型の形状がアメリカ英語の音声を作り出している根源になっていたのです。喉だ、喉だと言われていたアメリカ英語の音声の響きの源は、口腔の奥部の空間が発生源だったのです。


ここから アメリカ英語の基準となる発音の構え(=曖昧母音の発音の構え)に付いて述べていきます。

曖昧母音の発音の構え(=アメリカ英語の基準となる発音の構え)をしておいて「イ」と言ってみて下さい。

いま発音した「イ」は、もう 日本語の「イ」ではなく、hit や kick, ship 等の[ i ] なのです。「イ」と「エ」の中間のような音の[ i ]になっているのです。

続いて、同じ構えのままで強く「イー」と言ってみて下さい。「イ―」の発音には必ずアクセントがあります。だから 強く「イー」と言います。「イ―」を強く発音すれば、自然に唇が横に伸びます。

このような調子で「ウ」や「ウー」、「オ」や「オ―」を発音していけば、それぞれが自動的にアメリカ英語の長母音の発音になっているのです。

つまり、アメリカ英語の基準となる発音の構え(=曖昧母音の発音の構え)をすることによって、私たちの日本語の発音の調音位置が、すべて 自動的にアメリカ英語の調音位置に移動するという訳です。

「エ」の発音に付いては、口の開き具合を大きくしていくことで、bet の e の発音が、 bat の a の発音に変化するのです。

「エ~」と 声を出しながら口を徐々に開けていけば「エ」の音が、「エ」と「ア」の混じったような音に変わるので、自分でどの程度口を開ければいいのかを確かめながら身に付けることができるのです。   

「ア」の発音については、口をわずかに開き、ゆるく(弱く軽く)発音すれば、曖昧母音の発音になり、同じ口の開きで 強く鋭く発音すれば、mother や sun の「ア」の発音になるのです。

曖昧母音の発音の構えのままで口を大きく開ければ、hot や stop の「ア」になります。この発音も、曖昧母音の発音の構えから「ア~」と発音しながら徐々に口を開けていき、どの辺りで hot や stop の「ア」に変わるのかを自分で確かめながら身に付けられるのです。

また、R音声母音は曖昧母音の発音の構えから、舌の後部を盛り上げるようにして「ア」と言えば、自然にR音声母音の「ア」に成っているのです。

以上のように、曖昧母音の発音の構えをしておいて、他の母音を発音していけば、単純な指示に従うだけで自動的に自分ですべての母音の発音を身に付けることができるのです。


もう、一々ややこしい説明を聞かなくてもいいのです。曖昧母音の発音の構えをすることで、日本語のアイウエオの感覚で発音する母音が、そのままアメリカ英語の母音になったり、口の開け方の度合いを変えたり、発音に強弱を付けるたりすることで、アメリカ英語のすべての母音の発音を、容易に、正確に、そして確実に身に付けることができるのです。

曖昧母音については 以上です。なお、舌への力の込め方が弱いとアメリカ英語の発音にならない場合もあります。

そのような場合は、思いっきり舌を喉の奥に引き込むような感じにしておいて発音してみて下さい。ぜひ一度 お試しください。

この発音の仕方で英語を話すことに馴染んでくると、舌の形状や状態を意識しなくても、舌は自然にアメリカ英語(General American)を話す人たちと同じ状態になってきます。(下図参照)

つまり、舌に強い力を加えなくても、自然に舌の左右の両端は上の奥歯に当たるようになります。(上図参照)

これこそが、私たち日本の英語学習者が身につけるべき英語の発音の構えではないでしょうか。

曖昧母音の発音を制する者は、アメリカ英語の母音の発音を制す、というタイトルの内容をご理解いただけたでしょうか。

実は、曖昧母音の発音が身につけば、自動的に子音の発音も身につくのです。

つまり、曖昧母音の発音の構えをすることができれば、アメリカ英語の発音全般を容易に身につけることができるということです。


今回は以上です。

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