見出し画像

日本語の「ス」とアメリカ英語の「s」の発音の違い 知っていますか(後編)

前回は、”日本語の舌”と”アメリカ英語の舌”に付いてお話ししました。そして、私たち日本人は、”日本語の舌”で英語の発音を身に付けようとしているために、英語の発音がなかなか身に付かないということをお伝えしました。

今回は、前回お伝えしたことを踏まえて、”日本語の舌”と”アメリカ英語の舌”の違いに付いてお話しします。


まず、日本語の舌(普段日本語を話している状態)で、声を出さずに息だけで「ス」と言ってみて下さい。

次に、アメリカ英語の舌 (舌を喉の奥に引き込むような感じに、あるいは 舌を口腔の奥部に思いっきり引くようにして下さい。このようにしたときの舌の状態が”アメリカ英語の舌”です) にしておいて、「s」と発音してしてみて下さい。

「s」は、英語の s なので、息だけの音です。s と su は違います。

舌を喉の奥に引き込むような感じにできない、あるいは 口腔の奥部に引くことができない場合は、下の前歯を思いっきり前に突き出すようにして下さい。こうすることで、舌を口腔の奥部に引いたときと同じ状態になります。この状態での発音に馴染んでくると、下の前歯を前に突き出さなくても、アメリカ英語の発音が自然にできるようになってきます。


どうでした? 日本語の舌で発音した「ス」と、アメリカ英語で発音した「s」は、音としては 殆んど変わりませんが、調音位置(個々の音を出すための舌等の位置)が自動的に変わっていましたね。

それと、息の勢いが違っています。(日本語の舌とアメリカ英語の舌の息の勢いを比べるには、手のひらを口の前に立てておいて、両方を交互に発音してみれば違いがよく解かります)

同じことを、今度は「ス」ではなく「ra」でやってみましょう。日本語の舌で英語の ra と発音してみて下さい。英語の r の発音に自信がない人は、日本語で「ラ」と言ってみて下さい。

次に、アメリカ英語の舌で、「ra」と言ってみて下さい。

どうでした? 日本語の舌で発音した場合と、アメリカ英語の舌で発音した場合の音質の違い、「s」の場合では、ハッキリとは分かりませんでしたが、「r」の場合では、明らかに音質が違っているのがお判りいただけたでしょうか。

違っているのは音質だけではありません。調音位置も違っているのです。

舌を”日本語の舌”から”アメリカ英語の舌”に変えることで、日本語のすべての発音の調音位置が、自動的にアメリカ英語の調音位置に移動するのです。

そのため、アメリカ英語の舌にしておいて発音すれば、もう、ややこしくて難解な発音指導を受ける必要が無いのです。

アメリカ英語の舌にしておいての発音指導というのは、主に 口の開け方が中心で、その他の指導は わずかです。

また、この方法で発音を身に付ければ、これまでのように(発音しない状況が続いたときには)、発音の仕方を忘れてしまうといったことはありません。

日本人にとって難しいと言われているrの発音に付いても、舌先を動かさず、そのまま「ル」と言うだけでrの発音になっているのです。「ル」と発音すれば、「ル」を発音する前に「ウ」のような音が入り、舌の後部が盛り上がります。

※rの発音は、イギリス英語とアメリカ英語では調音位置が違います。

以前から、繰り返しお話ししてきた、アメリカ英語の発音を、容易に、正確に、更に まとめて身に付けることができるというのは、このようなことだったのです。

※なお、f や th の発音は、別途習得する必要があります。

「”日本語の舌”と”アメリカ英語の舌”の違い」に付いては以上です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?