タチコマのセリフから神とゼロの類似性を考察する
"前にはよくわかんなかった、神ってやつの存在も近頃は何となくわかる気がしてきたんだー。もしかしたらだけどさ、数字の0に似た概念なんじゃないかなーって、ようするに体系を体系たらしめるために要請される、意味の不在を否定するための記号なんだよ、そのアナログなのが神で、デジタルなのが0。どうかな?"
- 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 15話 14:00あたり~(Netflixでは) -
なんとなーくわかるようで、よく考えると全くわからない。だけど惹かれる言葉。気になったので考えてみる。
まずは"0"を解釈する
一度に全部を理解しようとしてもよくわからないので、まずは"0"を解釈して、類似しているものとしてその構造から神の解釈に近寄ろうと思う。
しかし ”体系を体系たらしめるため” という言葉の時点で難しい、少し強引に自分がわかり易い言葉に変換すると"要素のまとまりの境界を作るため"といったところだろうか。
では”意味の不在を否定するための記号”とはどういう意味だろうか。普段0を"不在を意味する記号"と解釈しているため、すっと飲み込めなかったが、これは"0"がなければ無を意味しているのか、意味を有していないのかが区別できないということから足がかりにできるだろう。
例えば"冷蔵庫に牛乳が2本ある"という文章の場合は以下の2つを示しているといえる。
a. 冷蔵庫に牛乳が2本ある
b. その他のものを意味していない(コーラやビールはあるのかないのかわからない)
それに対して”冷蔵庫に牛乳が2本あってコーラがない"という文章の場合は以下の意味がある。
a. 冷蔵庫に牛乳が2本ある(2) → 意味を存在を示す記号
b. 冷蔵庫にコーラがない(0) → 意味の不在を否定する記号
c. その他のものを意味していない(ex. ビールはあるのかないのかわからない) → 記号の不在によって意味の不在を示す
1つめは実際にコーラがないのか区別ができていない、2つめの例は冷蔵庫にコーラがないという"0"を示すことによって、意味の不在を否定している。これはプログラムを書く人ならわかりやすい例だと思うが、1, 0とnullの関係にあたると思う。1や0は意味が存在しているがnullはもう一つ上のレベルの存在で何も意味を指していないことを示す。0を使わないでnullを変わりに用いると何も指していないのか意味はあるが存在していないのかが区別できない。そのために0は存在するということがわかる。なのでこれが”要素のまとまりの境界を作るため”に存在しているといえる。
さて、ようやく0に関する解釈ができた。それではこの構造をもとに神に対して解釈をする。
神を解釈する
神に近いレベルの言葉をあげてみると、自然、人為などがあげられる。それをもとに先程のような構造を持った例をつくる。
”僕は中学3年生、修学旅行のグループ決めがある。
グループ決めで画策して親友のAと同じグループになった。他には大好きなBさんとCさん、Dさんも一緒だった。"を例にとると。
a. 人為的にAと同じグループになった
b. 他のメンバーとグループが一緒になったことには意味を示していない
それに対して
”グループ決めで画策して親友のAと同じグループになった。奇跡的に大好きなBさんも同じグループだった。Cさん、Dさんも一緒のだった。" の場合は
a. 人為的にAと同じグループになった
b. Bさんとは奇跡的に(神が示すような力で)同じグループになった
b. 他のメンバーとグループが一緒になったことには意味を示していない
似たような構造をとれた、1つ目はBさんが同じグループになったことに対して意味を持っていない。だが、2つ目はBさんがグループになった現象になんらかの意味があることを示そうとしている。ようするに現象に対してそこに意味があるのかないのかを区別する際に神を使っている。
"それには意味があるよ!でも人為的でも自然的でもない説明できるもの以外のなにか!"ってときに意味の不在を否定するために用いられる記号が神なのではないだろうか。
こうして0と神の場合でそれぞれを例にして考えると確かに同じ構造を取れるし、アナログ/デジタルで分けることができる。ここまできてようやくこのセリフに惹かれる理由もわかった。まるで異なる概念に共通する構造をとって説明が通るということがすごく美しいからだ。
少しは神というものがなんとなくわかるような気がしてきただろうか。。。?
そして自分の神がどんどん小さくなっていることにも気づいた。
確率や偶然というものを信奉するようになって、現象に意味を見出すことが少なくなったし、説明ができる現象が多くなって神の出番が少なくなってきてしまったからだろう。
ちっちゃい頃は毎日たくさんの神に囲まれてたんだけどなあ。
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