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平方完成

高校で二次関数を習ったときに、

$$
\begin{aligned}
y &=x^{2}+6 x+1 \\
&=(x+3)^{2}-8
\end{aligned}
$$

という式変形を習ったと思います。
二次関数の分野で、頂点を求めるときに使う、平方完成というものです。
平方完成には、いろいろな方法があると思います。
また、いろいろな分野で使われます。
$${y =x^{2}+6 x+1 \ , \ y =2 x^{2}+4 x-3}$$
を例として、基本的な方法を紹介し、
$${ y =-3 x^{2}+5 x-2 }$$
を例として、おすすめの方法を紹介します。

最後に補足として、基本的な方法で$${ x}$$の係数を2で割った値、おすすめの方法で$${x}$$の係数を2で割ってから2乗した値を使っている理由の解説をします。

基本的な方法

まずは、
$${y =x^{2}+6 x+1 }$$
を式変形してみましょう。
「最初の二項$${x^{2}+6 x}$$を見て、
$${(x+\vcenter \square )^2}$$の形に因数分解できるように、$${\vcenter \square}$$に入る値を決めます。」

$${(x+3)^2}$$
となります。
もし$${\vcenter \square}$$に入る値がわからなければ、「$${ x}$$の係数を2で割った値」になります。
特に、「$${ x}$$の係数が整数ではない場合、2で割った値で$${\vcenter \square}$$を求めることは有効」です。
これは覚えておきましょう。
これを展開すると、
$${(x+3)^{2}=x^{2}+6 x+9}$$
となります。
元の式と比べると、定数項が$${1}$$ではなく、$${9}$$となっています。
元の式に戻るように、定数項を調整すると、
$${y=(x+3)^{2}-8}$$
となります。
どうでしょうか。
この方法は、「$${x^{2}}$$の係数が$${1}$$のとき」しか使えません。

次に、$${x^{2}}$$の係数が$${1}$$ではない場合として、
$${y =2 x^{2}+4 x-3}$$
を式変形してみましょう。
「二項目までを$${x^{2}}$$の係数でくくって」
$${y=2\left(x^{2}+2 x\right)-3 }$$
とします。
ここが、さっきとは違うところです。
この後は、ほとんど同じようにしていきます。
$${\left(x^{2}+2 x\right) }$$を見て、$${(x+\vcenter \square )^2}$$の形に因数分解できるように、$${\vcenter \square}$$に入る値を決めます。
$${(x+1)^2}$$
となります。
これに最初にくくった値をかけてから展開すると、
$${2(x+1)^{2}}$$
$${=2(x^{2}+2 x+1)}$$
$${=2 x^{2}+4 x+2}$$
となります。
この最初にくくった値をかけるのが異なるところです。
この式と元の式を比べ、元の式に戻るように定数項を調整して、
$${y=2(x+1)^{2}-5}$$
となります。
どうでしょうか。
学校の授業で習うのは、このような方法だと思います。
この方法は、最初にくくった値をかけるのを忘れる、定数項の調整に慣れが必要という点が、難しく感じたり間違いやすいと思います。
私自身は、この方法を使わず、次のおすすめの方法を使っています。

おすすめの方法

おすすめの方法として、
$${ y =-3 x^{2}+5 x-2 }$$
の式変形をしてみましょう。
「二項目までを$${ x^2}$$の係数でくくって」
$${\displaystyle y=-3\left(x^{2}-\frac{5}{3} x\right)-2 }$$
とします。
「カッコ内に、$${x}$$の係数を2で割ってから、2乗したものを足す。さらに同じものを引いて」
$${\displaystyle y=-3\left(x^{2}-\frac{5}{3} x+\frac{25}{36}-\frac{25}{36}\right)-2 }$$
とします。
カッコ内の三項目までを因数分解し、四項目の引いたものはカッコの外に出して、
$${\displaystyle y=-3\left(x-\frac{5}{6}\right)^{2}+\frac{25}{12}-2  }$$
とします。
カッコの外を計算して、
$${\displaystyle y=-3\left(x-\frac{5}{6}\right)^{2}+\frac{1}{12}}$$
となります。
どうでしょうか。
この方法では、「$${x}$$の係数を2で割ってから、2乗したものを足して引くということだけ覚えれば」、あとは計算問題です。
説明のため長々と書きましたが、実際に式変形をするときは、

$$
\begin{aligned}
y & =-3 x^{2}+5 x-2 \\
& =-3\Big(x^{2}-\frac{5}{3} x
\end{aligned}
$$

「まで書いてから、$${x}$$の係数を2で割ってから2乗したものを計算して」、

$$
\begin{aligned}
y &=-3 x^{2}+5 x-2 \\
&=-3\left(x^{2}-\frac{5}{3} x+\frac{25}{36}-\frac{25}{36}\right)-2
\end{aligned}
$$

残りを書きます
その後、残りを計算して、

$$
\begin{aligned}
y &=-3 x^{2}+5 x-2 \\
&=-3\left(x^{2}-\frac{5}{3} x+\frac{25}{36}-\frac{25}{36}\right)-2 \\
&=-3\left(x-\frac{5}{6}\right)^{2}+\frac{1}{12}
\end{aligned}
$$

と書きます。
定数項の計算が、文字を含む等で複雑な場合は、もう一行追加する場合がありますが、だいたいは三行で終わります。
特に二行目は見直しのためにも書いておきます。 

まとめ

今回、二次関数を例に平方完成のおすすめの方法を紹介しました。
これを使う利点は、全ての場合に使うことができる、見直しをしやすい、他にも応用しやすいところでしょう。
特に係数に分数や文字がある複雑な式のときに有効です。
また、定期テストや受験のことを考えると、平方完成を間違うと全て間違うこともあるので、見直しのしやすさも重要です。
しかし最初の方法も使うべきです。
なにより速くできるからです。
この平方完成は基本的内容となるので、速さも重要になります。
私自身は、最初の方法とおすすめの方法を使い分けています。
さらに書いておきたいことは、おすすめの方法を必ず使うべきだとは思いません。
一番は自分のやりやすい方法です。
いろいろな方法があり、それぞれに長所・短所もあります。
平方完成は、二次方程式の解の公式の導出や円の方程式など、いろいろな分野で出てきます。
必ずできるようになりましょう。

これを見て参考になったかたは、試してみてください。

補足

基本的な方法で$${ x}$$の係数を2で割った値、おすすめの方法で$${x}$$の係数を2で割ってから2乗した値を使っています。
これらの理由は、
$${(x+a)^{2}=x^{2}+2ax+a^{2}}$$
の両辺を入れ換えた、
$${x^{2}+2ax+a^{2}=(x+a)^{2}}$$
から簡単にわかります。

まず、基本的な方法で$${ x}$$の係数を2で割った値を使ったのは、
$${x^{2}+2ax+a^{2}=(x+a)^{2}}$$
の左辺の$${ x}$$の係数である$${ 2a}$$から、右辺のカッコ内の$${ a}$$の部分を求めているだけです。
つまり、
$${ \dfrac{2a}{2}=a}$$
というだけです。
次に、おすすめの方法で$${x}$$の係数を2で割ってから2乗した値を使ったのは、
$${x^{2}+2ax+a^{2}=(x+a)^{2}}$$
の左辺の$${ x}$$の係数である$${ 2a}$$から、左辺の定数項である$${a^{2}}$$を求めているだけです。
つまり、
$${ \left(\dfrac{2a}{2}\right)^{2}=a^{2}}$$
というだけです。

$${ x}$$の係数を2で割った値、2で割ってから2乗した値は覚えた方がいいと思います。
しかし、このように簡単にわかることでもあるので、この補足内容は知っておいたほうが良いでしょう。
迷ったときに、すぐ確認することができるようにもなります。





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