絶望の崖

朝日と出会うたびに、なにかがあるようにも、なにもないようにも思える。
そして一日が終わる頃には、なにもなかったと呟いて窓を閉める。

きょうも長い夜が始まる。
怯えながら耐え忍ぶ時間が続く。
あまりにも微細な、残酷なほど透明な希望をそっと握りしめ、朝日を待ちわびる。

悪魔がささやく。誰よりも優しく私を抱きしめる。
また一歩、絶望の崖に近づいていく。




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