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多読・多聴

音読のくりかえしによって学習中の言語の脳が大体できあがり、例えば辞書を使った精読を通してとか、対訳テキストを通してその言語の語彙も十分にできあがったら、個人的にお勧めしたく、私自身これまで学んだ12の他言語すべての学習に応用してきたのが、基本的には辞書を使わない多読・多聴です。

十分な語彙ができあがっていない状態で多読・多聴を始めても、期待される効果はあまりありません。これまでの私の経験からする感触では、読んだり聴いたりしようとしている原文に出てくる語彙の最低7割程度が分かれば、多読・多聴の効果があるのではないかと思います。

ザルで海の水を組むことに他言語学習を以前例えました。音読をくりかえすことで、ザルに水苔がつき、さらに水苔がつくのを助けてくれるとすれば、多読・多聴によってつくのがこのさらなる水苔になるでしょう。

単語帳を使って、機械的に単語を覚えようとしている人たちがいますし、電車の中とかでこのような勉強をしている高校生を見かけることもありますが、この学習法は記憶という観点からも、言語のしくみという観点からも、労多くして功少しの代表例になるでしょう。まずは、このようにしてあたかも年号を覚えるかのように他言語の新しい単語を機械的に覚えられる人はほとんどいないはずです。百歩譲って、万一単語だけを覚えられたとしても、その単語は実際には使えない死んだ単語になります。

語は文章の中で他の語と結びついて使われるからです。 A man is known by the company he keeps. (人は交わる友によって知られる)という英語の諺があります。この諺をもじった A word is known by the company it keeps. (語は交わる友によって知られる)という表現は辞書学者の間ではよく知られたものです。

多読・多聴を始める場合に、一番問題になるのは、その学習言語で何を読んだり聴いたりしたらいいのかということです。学習の目的が、例えば特定の分野の専門書を読めるようになるだけとかといった特定の分野と用途に限定したものではなく、総合力を身につけたいということの方が普通でしょう。その場合、特定の分野に偏らないようにすることが大切になります。これまた個人的にお勧めしたく、私自身これまで学んだ多くの他言語すべての学習に応用してきて、今はロシア語の学習に応用しているのが、ニュースを読み聴くことです。

例えば私自身の英語学習では、高校3年生の頃はアメリカのニュース雑誌 Newsweek を読み(正確には、これがすらすら読めればいいなと思いながらざっと目を通すだけに終わり)、日本の駐屯しているアメリカ軍の英語放送 FEN (現AFN) をかけっぱなしにして聴いていました。大学生になってからは Newsweek を Time に切り替えました。

英語学習のためでなく、単に世界情勢を知るための情報源としては、今から2年ほど前までは イギリスの Economist と Financial Times と アメリカの Wall Street Journal を読み、イギリスの BBC World Service を聴いていましたが、英米のマスメディアは某所のプロパガンダを垂れ流しているだけの道具にすぎないことがはっきり分かってからは、これらに限らず、英米のマスメディアを読んだり聴いたりするのは一切やめています。

アメリカでマスメディアをまだ信用しているのは3割程度にすぎないというアメリカのある世論調査もあります。それなのに、英語だけはできても地政学にはどうも無知な英語の先生たちが書いている英語聴解力養成の参考書で例えば CNN を教材として勧めているのを見ると、めまいを覚えます。一体何のために英語を学び、教えているのかと思いたくなるからです。

英語を学ぶことが自己目的ではなく、洗脳されたくもない場合、こうしたマスメディアに代わるものとして強くお勧めしたいのは X (旧Twitter) で読んだり聴いたりする、そして Rumble で聴く、独立ジャーナリストや地政学の専門家です。マスメディアだけでなくソーシャルディアも、例えばフェイスブックやユーチューブは検閲がひどいです。

こうしたソーシャルメディアやマスメディアの洗脳から自分のみを守るために私が読んだり聴いたりしていて、個人的にも尊敬している独立ジャーナリストと地政学の専門家リストもご参考にされてみてください。

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