うちのアイスコーヒー

うちのアイスコーヒーの作り方。
Instagramに載せたものですが、note向きだそうなのでこちらにも。見出し入れました。

アイスコーヒーは飲みますか

夏なのでやっぱりアイスコーヒーのご注文が増えるわけですが、アイスコーヒーって家で飲みますか。
私がお店を開く前は自宅ではほとんど作ってなかったと思います。うまく作れなかったからです。
働かせてもらっていたところの作り方を真似してもなかなかうまくいかなくて、もっというと珈琲綴を開業した当初の作り方も今とは違います。
今のアイスコーヒーは私にはちょうど良くて、ようやく落ち着いた感があります。たぶんここからそう簡単には変わらないでしょう。
ということで、もしまだご自身にピッタリのアイスコーヒーの作り方に出合っていない方は試してみては。

珈琲 綴 のアイスコーヒー

ここまで書いておいてなんですが、うちのアイスコーヒーはホットコーヒーと同じものなんです。(メニューには「少し濃いめに」とありますが、これは以前の作り方)
いつも通り点てたら間接的に氷にあてて冷やします。私は銅鍋をステンレスのバットに張った氷に当ててスプーンで掻き回します。(写真)
銅鍋は熱伝導率がとても良いので、1分もすればキンキンに冷えます。しっかりキンキンに冷えたら氷を詰めた器にゆっくり注ぎます。
以上です。

しかしあれです、言いたいことはわかります。いろいろ違うやないかい、と。
まず普通の家にネルなんかあるかい、と。
そして普通の珈琲がアイスコーヒーにも合う苦さ、濃さがあるからだろう、と。
抽出も、腐っても珈琲屋の人間がやってるんだからそれなりなのだろう、と。
もっと平易で美味しいアイスコーヒーの作り方ないんかい、と。

ホットを冷やす、というシンプルな作り方の話

まあまあ一旦置いておいて。
お伝えしたいのは、「自分がいつも飲む、好きなホットコーヒーを使うこと」と「間接急冷してみること」です。
  
まずひとつ目の好きなホットコーヒーを使うことについて。
私自身、以前はいろいろなアイスコーヒーの作り方を本やwebで調べたり試したりしましたが、「いつもの普通の珈琲を使う」と書かれたものはありませんでしたので、そんなことやってみようとも思いませんでした。
そりゃそうですよね、本なりwebなりで「アイスコーヒーの作り方」を発信するとしたら、「ホットと同じでいいですよ」なんて書いたって面白くないですから。捻くれすぎか。
なので普通の、いつも自分が美味しいと思っているホットコーヒーをまず作ってください。
深煎りでも浅煎りでも、濃くても薄くても、ペーパーでも金属でも全く問題ないです。いつもの普通の、自分が美味しいと思っている珈琲です。
(「深煎りやアイスコーヒー用の豆を使うのが正しい」というweb記事を見かけました。正しい…)
  
そしてふたつ目、間接急冷。
熱が伝わりやすい器やボウルに珈琲を入れて、氷あるいは氷水にあてて冷やしてください。
身の回りでやりやすそうなのは、ステンレスのボウルとか、ホーローとか、ですかね。薄手のもので、接地面が大きい方が良いです。
氷は、何かに予め氷を張っておくと楽ですが、氷をいくつか敷くだけでもいいと思います。
簡単なのはボウル(小)に珈琲を、ボウル(中)に氷(水)を入れて重ねる形でしょうか。
そしてあてながらスプーンでくるくるくるくる。
  
で、しっかり冷えたら、予め冷凍室に入れておいた氷入りの器に注いで完成。
氷も、スーパー等で買うかちわり氷の方が圧倒的に溶けづらくて美味しいと思います。
ちなみに注ぐ前に器の氷を一度水でサッと洗うと溶けにくいそうです。氷も少し綺麗に見えます。(表面の微細な結晶の凹凸がなくなるから、だと思われます)
これがうちのアイスコーヒーです。

雑感

ホットコーヒーをそのままアイスに使うと、ホットで飲むより少し“味”が強く出ます。酸味、苦味どちらもです。
そのかわりに香りは少し落ち着きます。香りは揮発成分が強いので、当然といえば当然ですね。
そしてやっぱり出来立ては風味に奥行きがある気がするんですよね。膨らみというか、口内の残り香というか。
また氷に珈琲を注ぐ直接急冷式と比べると、私のなんとなくの印象ですが、がちゃついてない、というか。珈琲がホットの珈琲の風味バランスのままアイスになっているような、気がします。これは贔屓目があるかもしれませんが、そんな気がしています。
そして同じく「気がしている」だけでしょうが、最後に器に注ぐときに、ジャバッと注がずに氷にあてるように静かに注ぎます。ジャバッと注ぐと泡ができるじゃないですか。あの泡は目に見えない泡もきっと作ってしまっているのでは、と思っていまして、心持ち的に静かに注ぐと柔らかい舌触りのような気がして、つまり気分が良いです。

おかげさま

今の自分にも昔の自分にも言えることですが、もっと気楽に、もっと柔軟に考えられれば、もっと珈琲を楽しめるんだろうなあ、と思います。
以前はホットをそのまま冷やしてアイスコーヒーにするなんて考えもしませんでした。今お店でやっている「アイスデミタス」もそう。デミタスをアイスで提供するお店なんて出合ったことがなかった。
別に私は奇を衒(てら)っているわけでは全然なくて、むしろ私が向かいたいのは「普通の先にある美味しさ」の方なので。
アイスコーヒーの好みを求めていたら辿り着いたのが「ホットをそのまま使うアイスコーヒー」だっただけ。そしてデミタスのアイスも普通に美味しくて面白いと思っただけ。
まあこのようなやり方ができるのは、あまり混雑しないお店というのと、そもそもネルドリップでご提供に時間を頂戴するためお客さんも待ってくださるというのが大きい。おかげでこういうやり方ができています。
明日からもまた、わざわざこんなところまで来てくださるお客さんに感謝して、営業をしよう。猛暑、注意です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?