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野菜不足が気になるデュエプレ

 はじめまして。みずのりと申します。勢いで書き始めたのでおそらく駄文ですが,お付き合いいただければ幸いです。

魅力的なデッキ ワイルド・ベジーズ

 紙デュエマとデュエプレとの間で,その扱われ方が大きく異なる種族があります。それが,ワイルド・ベジーズです。

 紙を知らない方のために少し説明します。ワイルド・ベジーズは,紙だと種族デッキを組めるほどのカードプールが揃っており,特にエピソード2(2012年)のワイルド・ベジーズプッシュを受けてからは「味頭領ドン・グリル」というフィニッシャーを手に入れ,野菜といえども侮れないようなパワーを持つデッキが組めるようになりました。ただ,2004年の聖拳編時点で「超剛勇幻風ジャガスター」という進化ワイルド・ベジーズ(進化レインボー・ファントムでもある)が収録されているため,強さはともかく,初期の頃からワイルド・ベジーズデッキを組む意義自体はあったといえるようです。

ドングリル

(こら,ナーフ前ツヴァイの劣化版とか言わないの)

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(ワンチャンデュエプレでも通用しそうなスペックか…?)


 そして野菜デッキの中核をなすカードが何枚かあります。主なものが「バロン・ゴーヤマ」「グレイト・カクタス」「ビクトリー・アップル」です。

ゴーヤ
カクタス
アップル

(意味不明に高レアリティ)

 彼らの展開力はまるでブレイブルピアナーフ前のNEXデッキのようでした。カクタスでゴーヤマを手札に加え,ゴーヤマがカクタスを呼び出す,マナや墓地のパーツはアップルが回収し,最後は並んだ野菜たちにドン・グリルを重ねてフィニッシュ… 山札マナ墓地のすべてのゾーンを手札のように扱いながら展開する,パズルのようで魅力的なデッキでした。

 またデッキ構築も,野菜本来の味を活かして戦う緑単はもちろん,墓地を肥やせるエマージェンシータイフーンと,マッドネス効果が噛み合う上にアップルのフォートE発動も期待できるバイケンを積んだ青野菜,リバイヴホールの採用でさらなる墓地利用とサイキックのカードパワーを得られる黒野菜,DNAスパークやスローリーチェーン,湧水の光陣によって受け&展開が強化された白野菜など,鮮やかな野菜たちをさらに彩る,様々なデッキタイプが存在しました。

 ここまで読んでいただいた方はお気づきでしょう。「さっきの野菜たち,誰もデュエプレに来てないやん」と。

 ドン・グリルはまだ未来のカードなので仕方ありませんが,先ほどのゴーヤマ,カクタス,アップルの野菜三銃士は2006~2008年のカードであるにも関わらずここまで誰も実装されていません。それどころか「シャーマン・ブロッコリー」「カブラ・カターブラ」のようなそこそこ有名な野菜や,「大菜王」が冠詞となる進化ワイルド・ベジーズ,「プリーチ・トマト」のようなバニラ野菜さえ実装されていないのです。

デュエプレにおけるワイルド・ベジーズ

 ここで,14弾現在,デュエプレに存在する全ワイルド・ベジーズを見てみましょう。

ベジーズ

 少なすぎん…?


 全12種類。しかし意外と環境で活躍した経験のあるメンバーが揃っています。実質1コストで墓地を肥やす,黒緑速攻の必須パーツであるダンディ・ナスオ,かつてゲオルグ天門でいくつもの役割をこなしていたフルメタル・レモン,完全に妖精に魂を売ったピーチ・プリンセス,ウェーブストライカー3人衆(ここが多すぎる),あのささぼー氏を幾度となく苦しめ,盾の殴り順を取り締まる警察まで現れるようになったロイヤル・ドリアン

 しかし彼らのテキストの中には種族部分以外に「ワイルド・ベジーズ」の文字はありません。つまり種族デッキを組む意義が微塵もないということです。今ワイルド・ベジーズデッキを組むならば,それはただの劣化ウェーブストライカーデッキとなるでしょう。ケットウ・チューリップなんてどこでシナジーを作れと。

 他の種族は進化クリーチャーくらいはいるのに…。他の文明にだって元々マイナーな種族はたくさんいますが,ワイルド・ベジーズは特に紙との落差が激しすぎるように思えます。なぜこうなってしまったのでしょうか。おそらくは,その挙動の複雑さによるものだと思われます。

複雑なデッキ・ワイルド・ベジーズ

 ダンディ・ナスオというカードはデュエプレで実装されるにあたって,カードを選択する際の処理が,山札→マナゾーンでは探索,マナゾーン→墓地では最大コストが自動的に選ばれる,という風にそれぞれ紙とは異なるような調整がなされました。これはきっとゲームのテンポを考えた上でのことでしょう。そして先ほどワイルド・ベジーズというデッキがパズルのようだと言ったことからも分かるように,核となるカードたちは「カードを選択」する場面が非常に多いのです。

 グレイト・カクタスはシンプルなサーチですが,ビクトリー・アップルはフルで効果を使おうとすると2回のカード選択が,バロン・ゴーヤマに至っては3回もカードを選択する場面が出てきます。しかもこのデッキの場合1ターンで2回以上行動をとることはザラにあり,仮にこれらすべてが探索になってデュエプレに登場した場合,時間制限に追われることになるのは容易に想像できます。かといってダンディ・ナスオのようにコストに応じて自動でカードが移動するような調整が入れば,ワイルド・ベジーズの強さは確実に半減するでしょう。というかそもそも探索になった時点で弱いです。それに加えてどこかに「ただし使用可能マナは増えない」なんて一文が付けば,おそらくデッキが破綻するレベルで動かなくなると思われます。

 おそらく今後もデュエプレの中でワイルド・ベジーズがデッキとして成立することはないでしょう。なんなら運営は種族そのものを無かったことにする勢いなのではないでしょうか。これまでのウェーブストライカーやマーシャルタッチ,各文明それぞれに存在するサイクルカードのような,他のデザイナーズの観点から仕方なく収録するもの以外,あえて余計な野菜は実装しないのだと思います。

二度と帰らないワイルド・ベジーズ

 筆者は2014年あたりから紙の情報を追わなくなったのですが,気付いたときにはワイルド・ベジーズの世界はぐちゃぐちゃに荒らされていました。

 デッキの核であるバロン・ゴーヤマが殿堂入りしていたのです。そして優秀な脇役だったアラゴト・ムスビまで

 当時の環境については詳しくありませんが,調べたところ野菜デッキ自体に罪はありませんでした。彼らは他のデッキで利用された挙句に罰を受けました。

 また,つい先日,公式による殿堂解除選手権により20枚ものカードが解除されましたが,そこに彼らの姿はありませんでした…。


 紙でもアプリでも居場所を失ったワイルド・ベジーズ。彼らの叫びが聞こえるのは,デュエルスペースでもストレージの中でもなく,あなたの家の食卓の上かもしれません。




「好き嫌いする奴は、大嫌い!」


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(もしかすると自分たち野菜を嫌った運営へ向けての叫びなのかも…)

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