知らないことを知る

「頭の良さ」とはいろいろな角度から語ることができるけど、少なくとも「知っている言葉の量」が基礎になっていると考えている。まずは言葉を知らないと、頭の中で考えられないからだ。人間は脳内で、自分の言語で考えて世界を作る以上、それなりに言葉を知っていないと頭の中は広がらない。さらには、知っている言葉が自分の経験や他人の経験に基づく言葉を噛み砕いて、自分の知識へと吸収させる助けになる。言葉を知っているからこそ、あらゆる情報を自分のものへと収めることを可能にする。

新しいことを知ったり、新しく使える言葉を増やすためには、常に「知らないことを知る」という姿勢が重要になる。かんたんな話、飲食店でメニューを選ぶとき「選んだことがない選択肢を選ぶ」ということを続けるだけで良い。知らない言葉が出たらすぐiPhoneで調べる。自分が今までやったことがないことをやってみる、知らないことを知ってみるということが頭の中を豊かにする。

例えば旅行や、何か休日を満たす手段を考えたとき「意味や目的がわからないと動けない」という人を見るが、それはもったいない話だ。そもそも「意味や目的」が確定した上で行う行動というのは、事前に知っている意味や目的を確認するだけの作業だからだ。新しいことを知るかもしれないが、事前調査によるバイアス上での経験は、最終的に獲得できる情報量をかなり低減させると思う。だから、なるべくなら「意味があることしかしない」という姿勢を改めて「意味を見つけに行く」という意識で向かってほしいものである。

私はその上で、とても恵まれた人生だった。まず最初に「喋れる言葉の量が才能を左右する」と高校生くらいで気がついていたし、その後、情報量の少ない田舎から東京の真ん中で仕事を開始できた。出張族で毎日のように知らない土地にでかけて、知らない飯を食って、知らない人としゃべることができたい。平均以上に海外出張もした。起業もした。引っ越しもした。ほとんど一人でなんでもやってこれた。このおかげで、いろいろなものを知ることができた。この経験は本当に奇跡だと思うし、40手前になって、年上の人たちに向けても誇れるものだと自信もついた。

知識を知れば知るほど、コミュニケーションもスムーズにできるようになったし、起業家としての仕事もより良くこなせるようになってきた。特に医療機器の起業家として、出会う営業先の人物は常に自分より歳上であり、専門知識も豊富なところに飛び込んでものを売って稼ぎを得ていくというのは、基本的に困難だと感じる。そこに31歳で飛び込んで、一応なんとか7年やってこれたのは、事前準備の賜物だと感じる。

コロナも落ち着いた2023年こそ、多くのことにトライしていきたい。知らないゲームを始めるもよし、行きたかった城に行ってみるもよし、行ったこと無い海外に行くもよし。ちょうど戻ってきたチャンスを、もう一度捕まえに行こう。

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