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僕とファイターズ

第1章~杉谷拳士との出会い~


電撃は、住宅情報館で落ちる



子どものころから野球が嫌いだった。

野球やってるやつ、なんかイキっててウザいし、
観戦したらしたで長いし、3時間見て0-0とかもあるし、
何が面白いんだかわからなかった。

所沢で生まれ育ち、駅出てすぐの商店街:プロぺ通りでは
いつだって西武ライオンズの歌が流れてた。
街全体がライオンズカラーだから、好きになったら楽しいだろなと思って
何度も好きになろうと思った。けどなんかダメだった。


そんな僕が2023年、急に野球、しかも縁も所縁もない
北海道日本ハムファイターズを好きになった。あまりにも突然に。
今では試合結果に一喜一憂する毎日。
前半好調だったのに、一時的に5位まで落ちて本当に苦しかったよ!!


それもこれも全部、ある選手、正しくは元選手のせい(おかげ)だ。



杉谷拳士。


野球に興味がない人でも知ってる人が多いのではないだろうか。
かくいう僕もその一人だった。



僕は群馬県生まれで、斎藤佑樹と同郷だ。
だから野球に興味はなくとも、斎藤佑樹のことは何となく応援していた。
なかなか成績が伴わず、笑いもの的に扱われているのも知っていた。


そんな斎藤佑樹が、2022年に引退した。
うわ、とうとう引退したのか。まあだいぶ厳しそうだったもんな。
そんなことを思いながらテレビを見ていたら、
先輩の門出を祝うために2軍の選手たちが「勇気100%」を歌う映像が流れた。
その中心にいたのが杉谷拳士だった。


最初の印象は「良い人なんだろうな」だった。
本当に余計なお世話だけど、成績が伴わない斎藤佑樹がチームの中で
どんな風に思われてるのか勝手に心配していたから、
斎藤佑樹を心から慕っていそうな杉谷の姿に、「ありがとう」と思った。

それから少しだけYouTubeで杉谷のことを調べた。
出てくるのは活躍したシーンより、いわゆる珍プレーというか、
なんか面白いシーンばかり。いじられキャラなんだなと知った。

それでもそこから追いかけることはなく、その時は存在を知っただけで終わった。
そして翌年、今度は杉谷が引退した。
ええ!?杉谷も!?驚いた。
そしてまたテレビで引退の映像を見る。
涙を必死にこらえて会見に臨む姿。
また「引退」ではなく「前進」と銘打った前向きな姿。

ちょうどその時、自分も転職して、新たな一歩を踏み出していたから、
勝手に自分自身と重ねて胸を打たれた。自分も頑張ろう!と思った。


それから数か月、WBCもあり、それまでと比べると少し野球に興味は沸いたが、それでもハマるということはなく、あくまで杉谷拳士単体のファンだった。
だから杉谷がインタビューに臨む姿、会見で笑いを取る姿を嬉しく見ていた。


そしてWBC後、杉谷が住宅展示場のイベントに登壇することを知った。
転職後の仕事がかなりの激務で正直かなり気分が落ち込んでいた僕は、
生の杉谷を見て元気をもらいたいなと思い、早起きしてそのイベントに向かった。



到着したのは10分前くらい。
やばい…ギリギリだ…もう人いっぱいだろうな…そもそも会場入れるかな…。
そんな不安を抱えながら会場入りしたところ、
40席くらいあるパイプ椅子がまだ埋まっていなかった。
肩透かしを食らったが、真ん中あたりに座れてラッキーだった。
ただ、杉谷が残念がるのでは…というところが気になった。


そして待つこと10分。満を持して杉谷が登場!
何とか席は埋まったものの、100名未満のまばらな拍手に迎えられ
颯爽と登場する杉谷。そして最初の一言。


「いやーーー!盛り上がってますねーー!!!!」





全身に電撃が走った。



人数の少なさに触れない自虐。
一言で一気に会場を笑いに包むサービス精神。


杉谷のファンだったのが、大大大ファンになった瞬間だった。
そしていよいよ始まったイベント。
僕としては、野球には興味はないけど杉谷は好き。
そんなスタンスだったから、引退後、今どんなことを前向きに頑張っているのか、そんな話を聞きたいと思っていた。
しかしWBC直後だったこともあり、話は野球中心。

正直少し残念だった。
ただ、大好きな杉谷がそんなに面白そうに話すってことは、
ひょっとして野球って面白いのだろうか?と、
過去一番野球に興味を持った。

杉谷がそんなに言うなら…
そんな風に、そこで初めて北海道日本ハムファイターズを調べ始めた。


初めての野球観戦


杉谷がそんなに言うなら…と北海道日本ハムファイターズを調べ始めた。

ふむふむ…あらら…弱いのね…。
知ってる選手は…清宮以外いないな。。その清宮はケガで離脱中。。
なるほど…。

最初はこんな感じだった。
とにもかくにも、まずは観戦しないとだな!
横浜ファンの後輩に声をかけて、交流戦を見に行くことにした。
人生初、西武ドーム(子供のころからこう呼んでるので、ベルーナドームに慣れられない…)以外の球場である!!!


日にちは忘れたけど、仕事を3時ごろ終わらせて急いで横浜に向かった。
それほど野球ファンではなかったから、早めに球場入りという考えもなく、
ギリギリに着いて崎陽軒のシウマイとかカレーパンを買ったりして、
2回表の終わり際に球場についた。
ノーアウト満塁で1点も取れずに裏に入った。

負けそうだな~と思ってたら、案の定負けた。
当日清宮が復帰してベンチ入りしてたから見るの楽しみにしてたんだけど、
結果代打でも出ることなく終了。
1本ホームランは出たけど、正直気持ちはあまり盛り上がらず終わった。

ただ、初めての屋外球場。
風が気持ちよくて、まだ明るい風景がだんだん夜になっていくのが綺麗で、
外で飲むビールが美味しくて、野球観戦自体は意外と楽しいと思えた。

これが僕とファイターズ、初めての接触である。
(僕による一方的な接触であることは言わずもがな。)



第2章~郡司裕也との出会い~


YouTube越し、2度目の電撃


そこからファイターズの結果だけはチェックするようになり、
Youtubeの実況流しながら仕事したりもするようになった。
そんな交流戦終わり、日本ハムと中日による
2:2トレードのニュースが飛び込んできた。

これが噂に聞くトレードか~!
なになに…郡司、山本が来て、宇佐美、斎藤が出ていく。。
…全員誰やねん。
あ、宇佐美
はれにちゃんの旦那(当時)か!頑張ってほしいね~。

この程度の印象。

でもSNSで調べて、郡司、山本ともに中日ではちょっと干され気味だったことを知った。
杉谷しかり、何でもすぐ自分と重ねたがる僕。
新天地でやったるぞ!と意気込む二人、とりわけ郡司に
転職直後でてんやわんやな自分を重ねて注目するようになった。

そして郡司が初めて1軍に上がってきた試合、
当時は凄さが分からなかったが、今では分かる。
あの山本由伸との対決でヒットを打ったのである!
そして試合も勝利して初めてのヒーローインタビュー。
マイクを両手で持って丁寧に受け答える郡司。



…電撃が走った。
(杉谷の時同様、僕は電撃もすぐ走る)


僕は「良い人」「明るい人」が大好きである。
だから「良い人」が滲み出まくっているその姿に、
彼を推したい気持ちがめきめきと湧き上がってきた。

郡司の過去なんて何にも知らないのに、
「あんな干されてた郡司が…良かったねえ…」
とお節介甚だしい親心まで湧いて、厄介なファンこの上ない。

とにかく、初めて現役の野球選手で初めて「推し」ができたのである。
そうなると話は早い。
郡司が早くチームに馴染めますようにと願いつつ、他の選手を調べ始める。

清宮と、あ、これが野村か。杉谷が目をかけてた子だ。
そんで伊藤大海…WBC出てたんだ。
松本剛…去年首位打者だって!すごい選手なんやなあ。
細川くん…いつも杉谷のインスタ投稿に欠かさずイイネしてくれる子だ。


相変わらず基準は杉谷だったが、着々と選手の知識が増えるにつれ、
スタメン発表前のドキドキワクワク感もわかるようになってきた。


推しができると、チームの勝敗はもちろんだが、
推しが打つかどうか、選手個人の成績も気になってくる。
そんなわけで、僕の中で長くて退屈だと思っていた3時間が、
ずっと興奮しっぱなしの3時間へと変わっていった。



そんな折、SNSのキャンペーンに当選し、
エスコンチケットが家に届いた。

忘れもしない2023年8月4日。
僕は初めてエスコンに足を踏み入れることになる。。



第3章~初めてのホーム観戦~


はるばる来たぜ!!!



函館~!!!!!(北広島)




忘れもしない、2023年8月4日。



SNSキャンペーンでファイターズVSソフトバンクのチケットが当たった僕は、例のごとく横浜ファンの後輩を引き連れて人生初のエスコンに向かった。
東京ドームも神宮球場もZOZOマリンスタジアムも行ったことないのに、
だいぶいろいろ追い越しての北海道入りである。


札幌に現地集合。
前日夜に着いたため、杉谷がインスタでよく上げていた寿司屋で夕食。
さすが野球選手、お高めだったけど美味しかった。
会えるわけないのに、杉谷いたりしないかな~なんて妄想していた。


そして翌日、適当に札幌周辺を観光して
スープカレーを食べて、いざエスコンへ!
16時過ぎくらいに北広島について、16:30頃エスコンに到着した。


まず圧倒されたのは、その圧倒的なエンタメ空間!!!
西武ドームとハマスタしか行ったことない僕でもわかる、
「この球場、なんか違う!!!」感。
そこそこ野球好きレベルの僕でもワクワクが止まらなかった。


グッズ買ったり、ご飯買ったりしながら試合開始を待った。
そしてご飯屋さんに並んでいた時にスタメン発表。
1番、ファースト郡司。
自分の位置からはちょうど映像が見えなかったから、聞き間違いかと思った。

当時郡司はたまにスタメンになる程度で、直近はスタメンを外れていたから
代打で見れるくらいかな…と思っていた。
だから自分の願望が生み出した幻聴かと思った。
席に着いていた後輩から「郡司スタメンですよ!」のラインを受け取り
ようやく現実なんだと実感できた。
そしてチケットは1塁側の内野席!!!!推しを間近で見られる!!!!



最高潮のワクワクとともに、試合が始まった。
(その前に松山千春が歌ってたっけな。)



試合展開は取って取られてのシーソーゲームだった。
ソロホームランを打たれる。
2点取る。
清宮のエラーが絡んで2点取られる。
(ここで初めて野次る人の気持ちが少しわかった笑)

試合も終盤、1点負けで厳しいか…?となっていたその裏、
郡司のタイムリーで同点に追いつく!!!!

さすがだよ郡司、本当ありがとう。



そして、僕史上初めての延長戦。。
(そもそもファイターズ観戦が2回目なのだが。。)


ランナー出すも何とか抑えたり、ずっとハラハラしていた。
そして迎えた11回裏。


先頭の野村がフォアボールで出た。
サヨナラのランナーが出た、ってやつだ。

そして代走、五十幡。

この時はだいぶ選手のことを覚えてきていたから、
五十幡が学生時代サニブラウンより速かったことも知っていた。


会場のボルテージも、僕のテンションも最高潮。
そしてネクストバッターの上川畑。送りバントの構え。



ところが、バントを空振りした。
うわ!と思うや否や、五十幡は走り出していた。
目の前で、生で初めて見る盗塁。
速度も展開も目まぐるしくて、何が何だか分からなかったのを覚えている。


結果は、、、セーフ!!!
一気にチャンスが拡大した。
上川畑は申告敬遠でノーアウト1,2塁。



そのあとの江越が3塁線にキレイな、美しすぎるバントを決め、
1アウト2,3塁になった。
そして再度申告敬遠、1アウト満塁。


やばい、、勝てるかもしれない、、、
でも、ここで勝てなかったら一気に流れが悪くなりそう。。
素人ながらにそんなことを思った。



そして、ネクストバッター、マルティネス。
マルティネスが強打者であることも、その時の僕はわかっていた。
頼むマルちゃん…打ってくれ…。
もうドキドキだった。



2ボール2ストライク。
そこでギリギリのところを見逃して、フルカウントになった。


すごい、すごすぎる。
この状況であの球を見逃せる??


プロってマジですごい。
野球選手って超かっこいい。


毎度のことながら電流流れがちな僕。
まだ試合は決していないのに、ビリビリしっぱなしだった。



そしてフルカウントからの第1球。




マルちゃんが、パカーン!と気持ちの良いスイングで、
豪快に外野奥まで打ち上げた。



快速の五十幡、タッチアップ。
スライディングでホームに帰ってきた。



ファイターズ、劇的な逆転サヨナラ勝ちである。




本当に感動した。
声が枯れるくらい叫んだ。



野球に詳しい後輩が解説してくれた。
11回裏、ファイターズはヒットを打っていない。

フォアボール

盗塁

満塁策

犠牲フライ

0安打で逆転サヨナラをやってのけたのだ。


さらに後から新庄のインタビューで知ったところでは、
上川畑のバント空振りは作戦。
初めから五十幡の盗塁を決めさせるためのプレーだった。



野球、おもしれ~!!!!!


野球は、打って投げるだけのスポーツだと思っていた。
それは正しくもあり、大きな間違いでもあった。


どの選手をどのタイミングで使うか。
いかにリスクを減らして次の塁を狙うか。
刻一刻と変わる戦況を見極め、最善策を取る。
そんな戦略がものをいう、知的な側面を初めて知った。




もう、その日は1日電流が流れっぱなしだった。
というか、今に至るまで止まっていない。
悔しくても、嬉しくても、常にビリビリと体を駆け巡っている。




ファイターズが大好きだ。
若くて活気があって雰囲気が良くて。
そして何より野球が大好き!という気持ちが全員から伝わってくる。
そんなファイターズだからこそ、僕も野球を好きになった。



ありがとう、ファイターズ。
これからも、末永くよろしく。


2024年、絶対CS行こう。
何の力にもなれないけど、精一杯応援するからね。





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