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私の作り話しではないか

2020年
エディプスの禁忌展
1年4ヶ月前に自死を選んだ妹へ

狂おしい愛をテーマに作ろうと思い
会期の前々日まで形にならなかった

記憶/気持ち/写真
向き合う事が沢山あり過ぎて
心が乱れて泣く

紛れもない事実だからこそ
手に取り見る側の事を考えたら

写真は生々しい
その表現は何か違和感を感じました

PCを開いてみたけれども
妹の皮膚、髪、血管が美しくて
姿、形がある事が悔しかった

同時に形に残っていて欲しい
腐乱しても良いから
閉じ込めて側に居て欲しい

死後の姿で一番変化していたのは

ふっくらとしていたのに
黒と紫が混ざっているような
奥の方に噛んでしまったのか
凄く薄く、変わり果てていた

焼きついて離れないからこそ
真逆に赤く色づく唇を作り
そこへ今の気持ちを添えました


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扉を開けば
彼女の悲鳴の限界が散らばって
かき集めようにも手遅れ
吹き返さぬ息を確かめる

変わり果ててしまったね
ふっくらと光る唇
笑顔に翻弄される事を繰り返し、滴る涙

不自然に
冷め切った額にくちづけをして別れた

貴女の選んだ道に
月日が経ち
私の作り話なのではないか
記憶さえ曖昧になり、どうかしそうだ

2020 エディプスの禁忌展出展「crime」
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「crime」シリーズ小瓶
罪深くとも自分だけの中に留めておきたい
秘め事、血縁、涙、優しく花が包み込んでくれますように。

引き続き通販してます。
https://gallerymaboroshi.booth.pm/

自分の為に作ったもの
綺麗ね、泣いてしまいそう
在廊中に声をかけて下さり
今回、迎えてくださるオブジェも多く
心のままに作っても良いと思えました
次への励みになります

やっと妹へ
何かを作る、スタート地点に
立ったような今

エディプスの禁忌
ご来場誠にありがとうございました

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