雨に打たれて
失跡にはあらねど彼は横たわり横たわりしまま動かぬと聞く
すでに我はかかわりのなき者ゆえに彼は去りしとひとづてに聞く
平安の世なら祈祷をしたであろう念仏も夜ごと唱えたであろう
藤浪が壊れる前にそしてきみが壊れる前に雨を降らさむ
雨が降れば終わるものだと思いしがただ惰性的に雨降りつづく
百六十一球投げし藤浪と二十四時まで帰れぬきみと
相変わらず菩薩のようにほほえみしきみかと思う雨に打たれて
「短歌人」2016年9月号掲載作品
どうも長い文章をスマホで入力することに抵抗があり、ずいぶん時間が経ってしまいました。10月号から12月号の分も近いうちに載せます。
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