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昔からのシェアリングエコノミー?共有林という山

紅葉が綺麗な季節になりました。集落から町へ降りていく道沿いの木も色付き、赤黄橙の葉がひらひらと舞うなかを通り抜けるのが楽しいです。

私の住んでいる自治会では月に一度、40代半ば~70手前の中堅(?)にあたるおじさん達の宴会があります。一人暮らしで寂しかろうと思われているのか、私もたまに呼ばれるので、一緒にご飯を食べながら話を聞いています。話題は、集落の若者がどこで働いてるかといった噂話から、いつ稲刈りをするか、催しの段取りなど様々です。そのなかでつい先日、共有林についての話が出ました。共有林とは、複数の人で所有している山林のことで、昔の入会地を引き継いでいるケースが多々あるようです。

入会地(いりあいち)とは、村や部落などの村落共同体で総有した土地で、薪炭・用材・肥料用の落葉を採取した山林である入会山と、まぐさや屋根を葺くカヤなどを採取した原野・川原である草刈場の2種類に大別される。(Wikipediaより

ここの共有林も多くが広葉樹林なので、おそらく入会地として利用していたのではないかと思います。今で言うシェアリングエコノミーみたいな感じでしょうか。現代のシェアリングエコノミーは個人もしくは事業者が所有している物や場所などを貸し出すのが主流だと思いますが、共有林は所有自体が複数人で、そのなかには所謂「不在村」(山林がある自治体に住んでいない)所有者なども含まれていることがあります。そのため、固定資産税を払うにも集めるだけで大変、といった事情があるようです。時が経てば亡くなる方なども増え、できれば早めに手放したい、もしくは何もせずに済む状態にしたいと思うのは自然なことのように感じます。自治会の方もこれからどうするのが良いのか、お悩みのようでした。

土地を含め全て売却する以外の方法はあるのだろうかとぼんやり考えていた時、とある研修でご一緒した方から教えてもらった本を思い出しました。『そこが聞きたい 山林の相続・登記相談室 (林業改良普及双書 No.188)』(全国林業改良普及協会、2018年)、著者は司法書士の鈴木慎太郎氏です。このなかで、集落内に一般社団法人を設立して民事信託する方法が紹介されています。詳しくはお読みいただければと思いますが、一般社団法人の経営コストが発生するものの相続問題を回避できるということで、管理したい意思と担い手があれば良い手段なのかなと思いました。現在は薪炭・用材・肥料を山から得る人は少ないですが、山という空間を集落外の人ともシェアして、ツリーイングやウォーキング、ブッシュクラフトなどできれば楽しそうですね。(今風に横文字を使いましたが木登りとか散策とか焚き火とか、でしょうか)

余談ですが、今まで相続について具体的に考えたり調べたりしたことがなかったので、鈴木さんの本を読んで初めて知ることがたくさんありました。山林の売買をする方はもちろん、山を持ってる可能性のある親戚がいる方は一度読んでおくと、いつか役に立つ日がくると思います。

日に日に寒くなっているので体調に気をつけましょう!それでは。

いっしー

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