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「なぜ、つわのにフォルケホイスコーレ」を?〜ちずちゃんインタビューvol.2〜

お待たせいたしました!
ちずちゃんへのインタビューvol.2をお届けいたします。

なぜ、日本に、それも津和野でフォルケホイスコーレ(以下、フォルケ)というところに切り込みました!

ちずプロフィール:
 フォルケホイスコーレでの対話や小さなチャレンジを通して、自分を知る機会をたくさん得る。自分自身の受容と、人の輪の中で生きる温かさに浸り、「つわのホイスコーレ」立ち上げを発起。津和野3年目。埼玉県出身。

ひめプロフィール:
 北欧の教育やデザイン、暮らし方に興味があり、いつか北欧に暮らしてみたいなと思っている。ちずちゃんにお誘いを受け、「つわのホイスコーレ」立ち上げに参画。津和野4年目。石川県出身。

前回のインタビュー記事はこちらから☟


日本にもフォルケホイスコーレがあったらなぁ。

ちず:
フォルケホイスコーレは150年くらいの歴史があるんですけど、もともと農民のための学校で、当時デンマークでは、農民とかそういう庶民たちにはあんまり学問が施されていなかった。言葉もデンマーク語は軽んじられていたし。
それを、庶民たちのデンマーク語による語り合いの積み重ねの中に、個人の成長があり、個人の成長を促し合えるような共同体をつくるのが大事だと言ったのがグルントヴィさんで、それによってデンマークという自分たちの国が築かれていく、その精神が庶民に必要だというのがフォルケホイスコーレの構想だと思うんですけど…。

フォルケホイスコーレ入学の前にほんのちょっとデンマーク国内を回る。
小さな町の音楽会は、庶民の憩いの場。


今の日本には学び自体でいえば、学校教育が浸透していて、学びはあると言えばある。だけど、市民たちの声で学び場がつくられているだろうかというと、疑問も残る。

…でも大人の学校で、その大人たちが学びたいって思ってることは、当時のデンマークで学びたいって思われてたことと、今の日本の大人たちが学びたいって思っていることはちょっと違うのかも。

ひめ:
うん、うん。
確かに、時代的なところもあるだろうし、国とか、その人たちの文化とかにもよるだろうなから、 そこは日本人の今にフィットする形を考えていけたらいいのかなと思ったり…。

ひめ:
さて、今日の本題に入りたいなぁと思うのですが、ちずちゃんが日本に帰ってきて、今、この秋9月に「つわのホイスコーレ」という形で、フォルケを始めようと動き出してるわけなんですけれども、 「なんで日本にフォルケを作りたい」と思ったのかとか、日本にフォルケがあることの必要性とか、可能性みたいなところを後半では聞いていきたいと思います。
帰ってくる前から「フォルケ、日本にあったらいいな」と思っていました?
それとも、割と最近?

ちず:
帰ってくる前かな。
行く前に、日本にフォルケホイスコーレをつくりたいと思っている人の記事を読んではいて、必要だよなって。
大人のための学び、「生涯学習」っていう言葉はあるし、公民館活動とかそういう場はあるけれど、本当に学びが必要だなっていう人には届いていなかったり、学びたいのに学べる状況じゃなかったりして、大人が自分の学びたいことをめいいっぱいできる条件って整っていないと思う。
でも、フォルケホイスコーレでは、学ぶ垣根、大人が学ぶことへのハードルがぐっと下がっていると思う。それは必要だなって。

出発前に暮らしていた町から。ここに帰るつもりで出発したんだけどね。



帰ってきてから、デンマーク関係のオンラインの講座を
ちょこちょこ受けたりとかしていたんだけど、その中で、
日本にフォルケホイスコーレを!っていう動きがあるのを知って、やっぱり、その動きにすごい関わりたくて。ずっと。
でも、自分が やるとかっていうのは、ちょっとできないだろうっていう風に思っていて、自信がなかったのね。

でも、日本でフォルケホイスコーレを作りたいとか、作ろうとしている人たちが繋がるジャパンフォルケホイスコーレdayで、ホスト募集しているのを見たとき、なんとなく、ここ(津和野)なら一緒にできる仲間がいるんじゃないか、場所もあるんじゃないか、とふっと思って、できるかもって思ったんです。興味ありそうな人に声をかけて、そしたらいいねって言ってもらえて、じゃあやろっ!て始めたところです。

こんな感じでキックオフしたね。

ひめ:
なるほど〜。

ひめ:
ちずちゃんがフォルケの「なに」にすごく惹かれているのか
どういうところが、日本にあったらいいなと感じているのかを聞いてみたいなと思ったのですが…
そもそも、大人のための学校って、現状、日本には、ほぼない。と思うんですよね…
新型コロナウィルスの感染拡大で、オンラインが普及したことで、大人のための学びの場や機会は増えた感覚があるけれど、ちょっと仕事を一旦置いて、今の自分のきもちやこれからに向き合いたい。そんなときに立ち止まれる場所が日本にもあったらいいなと感じているのかな?
それとも、そもそも、大人の学びに興味があるのかな…
そのあたり、もうちょっと聞けたらいいなと思うのですが…

ちず:
いや、ほんとまさにひめちゃんが言ってくれた、
「立ち止まる場所」だったり、「きっかけ」だったりが必要だと思っていて。
そもそも、フォルケホイスコーレみたいな“大人のための学校”があるだけで、何歳になろうがその時どんな仕事をしていようが、何度だってやり直せるよって言ってもらえている気がして。
全然違う仕事してみたいなとか、半年くらい休みほしい(笑)が叶えられるし、叶えていいんだ、やってみていいんだって思わせてくれる。
自分の人生に筋書なんてなくて、やりたいことやって、自分に合う環境選んで、自分で自分の人生つくっていっていいんだよって。

自分が心地いいと感じる環境って、どんなだろう。


そもそも私が前の仕事をやめようと思ったのが、すごい忙しいってわけでもないけど、しっかり働いちゃうと、仕事中心の暮らしになっちゃって、自分の暮らしに向き合えない
家は“寝るだけの場所”になっちゃう

エネルギーの配分がうまくないみたいなんです。
私としては、仕事も好きだけど、仕事に関係のない学びの時間もほしいし趣味の時間も充実させたいし、プチ旅や身の周りの人と集まるとかも大事にする生き方がしたいなって思うけど、 気が付くと仕事が中心の暮らしになっちゃって。

自分の人生を見直すきっかけは、旅先で出会った自分とは異なる価値観だったりもする。


通勤距離が車で10分ぐらいの私でさえそうだったから、電車で1時間も2時間もかけて、仕事に行って、残業あって、帰るの22時とかっていうような人たちは、自分のための時間とか、自分の家族と過ごす時間とかもっとないんじゃないかな。
その暮らしはその人がしたい暮らしなのかな。なんか生きづらくないかなっていう疑問を感じていたんです。

おかえりなさい。今日もお疲れさま。

そういうのを見直したり、考えたりとか、1回休憩してちょっと他のことチャレンジしてみたりとかっていうのが必要なんじゃないかなって。それがやりやすいのがフォルケホイスコーレだと思っていて。

ひめ:
なるほど〜。そうですよね。
日本人って(他の国の人に比べると)すごく真面目だし、一生懸命なところがあるから、(これは私も海外に行ってみたから、気づいたことでもあるけれど…)
みんなが同じであることを求められるというか、一本のレールの上を歩いているみたいな感覚、あるな〜とわたしは思っていて、小学校、中学校、義務教育を卒業したら高校に行って、大学に行って、社会に出て、働く。
途中で仕事が変わろうとも、働き続けることがスタンダードというか…
立ち止まる暇がない。というか…。

最近は、ちょっとずつ、多様な生き方が認められるようになってきていたり、コロナのこともあって、働く場所を自分で選ぶとか、働き方を見直すとか、そういうのも増えてきたかなと思うけど、なんていうかな...
基準みたいなものがあって、みんなそこに向かって一生懸命進んでいけばいいみたいな、うまく言葉にできないけれど、そういう空気みたいなものがある感じ。

このまま、働き続けることもできなくはないけれど、本当にやりたいこと?って言われたら、ちょっとわかんないな…みたいなタイミングって、 それこそ20代、社会人3年〜5年くらいやっていると、ふとした時に、そういう気持ちになったりする人も多いんじゃないかな〜。
周りが転職したり、結婚したり、出産したり、ライフステージの変化や人生の大きな選択があったりする時期と重なるからなのかもしれないけれど。
このまま、自分中心、仕事中心の生き方、働き方でいいのかな…って、ちょっと疑問が湧いてきたり、迷ったりしちゃうタイミングなのかも。

周りと比べないで、自分らしく生きられたらそれでいいのにね。

ひめ:
なんだか、自分だけ置いていかれる…みたいな、周りの変化についていけていないような気がして、どこかで生きづらさを感じたり、 自分がそういう生き方をしたいわけではないのに、誰かと比較して落ち込んだり、焦りや不安、プレッシャーを感じたり…みたいなことってあるんじゃないかなって。(わたし自身もそう感じる時があるなぁ〜。)

そんなときに「本当に、わたしはそれでいいんだっけ?」って問い直せる場所が、日本にもあったらいいなぁというところは、今、ちずちゃんの話聞いてて、すごく共感したところです。


そうはいっても、やっぱり海外に行くって、それだけで結構なハードルがあるじゃないですか。
デンマークに、仕事を辞めて行こうって、やっぱりかなり勇気もいるし、 みんなができることではないと思う。そんな中で、もし、日本にフォルケがあったら、それだけでグッと行ってみるハードルは下がるだろうし、そういう機会を使える人も増えてくるなぁと思いました。


なぜ、津和野で?


水がきれいで、山が近い津和野。


ひめ:
津和野でやりたいなって思ったのは、たまたまジャパンホイスコーレday(※)が、ホストを募集しているっていうタイミングで、
ちずちゃんの中で、仲間になってくれそうな人が浮かんだってことなのかな?
それから、もっちゃんの森いいじゃん、っていいフィールドが見つかったり、
色んなタイミングが重なって、
たまたま今、自分がいる津和野だったから、ここ!ってなった感じ?

※ジャパンホイスコーレdayについてはこちら☟

ちず:
うん、そうですね。

ちず:
たまたま、私がここにいるからっていうのはあると思う。
私は島根を目指して、選んできたわけではなくて、たまたまほんと流れ着いたというか…
2年半前に、もう1回デンマークに行きたくて、行こうとしてたんだけど、コロナが流行り始めていて、 先がわからなかったから様子を見ることにしたんです。もちろんコロナ禍でも、外国に行ってる人はいたし、行けないことはないのかもしれないけど、ちょっと私にはハードルが高くて...

ひめ:
うんうん。

ちず:
しばらく様子を見よう、って感じで、様子見てるうちに、あ、なんかここ(津和野)での暮らしていくのも悪くないなって思えるようになってきて、だんだん自分の輪も広がっていったし、対話を通して場をつくることに興味がある人とか、北欧の教育に興味がある人とか、フォルケホイスコーレのような大人の場づくりしたいって言ったら仲間になってくれそうなつながりが増えてきたから、あ、できるかもって思えて、声をかけさせてもらいました。

ベンチでごろんともっちゃん。
以下、数枚キックオフの写真がつづきます。
働くルーキー。
ハンモックで物思いにふけるひめちゃん。
笑むさきちゃん。


ひめ:
ありがとうございます(笑)
きっと日本にフォルケがあったらいいな〜。自分がやるというよりは一緒に誰かとやりたいな。だったものが、なんか今だったら、私いけるかも…!と思えるタイミングが色々重なったんだろうなっていうのを、ちずちゃんの話から感じました。


「まずは、自然とのつながりで癒されてほしい」
自然とともにある暮らしをもう一度呼び起こす体験を。


ひめ:
もうひとつ質問なのですが、ちずちゃんが思う、こんなフォルケになったらいいなみたいなのってあったりしますか?
これからまた描いていくと思うんだけど…

ちず:
そうだね、自然との繋がりというか、自然が豊かな場所、自然に触れられる場所であると、勝手に癒されるからそれは必要かな。
癒されてからじゃないと、次が考えるの難しかったりするんじゃないかなって思っていて...。
美味しい空気とか、綺麗な音とか…

田んぼでアーシング。

ひめ:
確かに今もわたしたちが話している背景で、虫さんたちが自然の
「The 夏」音楽を奏でてくれますよね(笑)

ちず:
耳に入ってくる心地いい音とか、おいしい食べ物とかで、身体がまず勝手に癒される。
そうすると、 なんか、自分にとって心地いい環境って、どうやって作ったらいいのかというところにも、フォーカスでできるようになっていくのかなって思ったりもしているんです。
レッテルかもしれないけど、 フォルケホイスコーレを必要とする人って、ちょっと疲れてるんじゃないかなって思うから、まず、ほんと、自然の力を借りて、 ちょっと安らいで、休んだりとか、ほっとしてほしいです。

自然の中では何にも考えない。




あと、そうだな…
津和野は鮎とか竹の子とかむかごとか自然の恵みを頂く文化がたくさん残っている。
2泊3日ではなかなか伝えきれないし、体験しきれないと思うけど、そういう自然と生活が密接に結びついている暮らしも体験してほしい。

近くで採らせてもらった梅。
今年も早く干さねば夏が終わってしまう。


おそらくだけど、日本中どこでも昔はそういう暮らしだったと思う。今は四季とか関係なく、手軽に色々ものが食べられたりする世の中だけど、自然と共にある暮らしをもう一回呼び起こすというか…。自然と共にある暮らしって、自然に癒されるっていうのもあるけど、思い通りにいかないことがとても多い。だから、いい意味で諦めがつくというか、肩ひじ張らないで生きられるようになる気がするだよね。


ほっとくとすぐ草に埋もれるおネギさん。ごめんよ。


そういう暮らし方を伝えるのは津和野だからできることなんじゃないかな。

ひめ:
うん、うん、なるほど、たしかに。
わたしもそういう自然とともにくらす、みたいなくらしをここに来た人に味わってもらいたいなぁ…。


ちずちゃんインタビューvol.2
いかがでしたでしょうか?
つづきもお楽しみに♪

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