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イベントレポート|焚き火ブックカフェ vol.3『良くしようとするのはやめたほうがよい』

こんにちは!本が趣味の「つつみ けんいちろう」です!本が趣味なので、読書に限らず本にまつわるイベントを企画・参加してみたり、一箱本棚オーナーになってみたり、さまざまなことを実験中です。

本日は、一箱本棚オーナーをさせてもらっている「C の辺り」で昨年から開催し始めた「焚き火ブックカフェ」というイベントの第三回目のレポートをお届けします。

焚き火ブックカフェとは?

神奈川県茅ヶ崎市のサザンビーチが目の前にひろがるコワーキング & ライブラリー「C の辺り」で月 1 回ほどのペースで開催されているイベント。
「C の辺り」:https://be-inc.life/cnoataritop

もともとはクルミドコーヒーで開催されている「朝モヤ」に着想を受け、休日の午前中から本を題材にして、解の無いことについてみんなでモヤモヤ考えようというイベントです。

イベント自体は「本を読まなくても参加できる読書イベント」となっており、イベントの最初に本の概略の説明があり、要所要所で本を読んだことがある人から内容のシェアをするという進め方になっています。

題材となる本は C の辺りのライブラリーオーナーの本の中から選んでおり、今回はわたくし「つつみ けんいちろう」の本棚より「良くしようとするのはやめたほうがよい」が選ばれました。

本の概要

この本は 1992 年に発行された本で著者の村田由夫さんによる以下 2 つの原体験に基づいて書かれた本になっています。

  • 寿町でアルコール依存症の人を治すための苦闘

  • 不登校である自身の息子さんとの苦悩の日々

村田さんはドヤ街と呼ばれる寿町でアルコール依存症の人を「救おう・良くしよう」という「月光仮面」のような気持ちで仕事にあたりますが、やればやるほど空回りをする日々を過ごします。

ある時、AA(アルコールアノニマス)というアルコール依存症の人が集まるミーティングに参加します。そこではアルコール依存症の人同士が自分のつらい経験などをお互い語りあうことで、自身の無力さ・弱さを認めるところから回復に向かう姿を目の当たりにします。

この体験をのち、自身のお子さんが不登校となった時に、はじめは何とか学校に行かせよう、行くことが「良いことだ」と考えて、あれやこれややるもののこちらも空回りの日々。あるとき、アルコール依存症の人の体験を思い出し、学校に行くことが果たして「良いこと」なのかを考え始めます。

イベントでモヤモヤ

「良い」という当たり前のように使っている言葉に、疑問を投げかけられ参加者は早速モヤモヤが募ります。

たとえば、子供に対して「良い子」という言葉を使ってしまうと、世の中には「良い子・悪い子」という線が引かれるように見えてしまうのではないか?という投げかけ。

本来、人には良いも悪いも無いはずなのに、何かしらの基準に照らし合わせて「良い・悪い」と判断をしてしまう。子供例で言うならば、大抵は親の都合にとって「良い・悪い」という基準で判断してしまってはいないでしょうか?(2 人の子供がいる自分自身の次回を込めて)

著者の村田さんの例で言うと「不登校は悪いこと」という世の中の基準に引っ張られて、自分自身の子供が「悪い状態である」と思ってしまうということが起こっていました。(特に発行が 1992 年の本なので、2022 年の現在よりも世の中における不登校に対する理解や寛容度が低かったこともあると思います。)

「良い」というのは何かしらの基準に照らし合わせた結果であり、その基準とは日々の中で積み上げられ・出来上がった空気感と言えるかも知れません。それは無意識に刷り込まれ、なんとなく「良い・悪い」というという判断をしてしまう。

イベント中には「良いとされているものを見直す必要がある」「良いということの解像度を上げてはどうか?(良いという言葉を使わずに表現する」という意見が出ていました。

また「C の辺り」のオーナー夫妻からは北海道・浦幌にある「べてるの家」という精神病の方の施設の話がシェアされました。(精神病という表現も、本来は正しくないのですが・・・)

この施設では「病気や弱みを治すのではなく活かす」という考え方をもとに運営がされています。世の中では「病気 = 悪いこと」とされ「治す = 良くしよう」となりがちですが、そうではなく「活かす」という考え方で人生と向き合うのは著者の村田さんの体験にも非常につながるところがあります。

今回、この本のお陰で「良いとは何か?」・「良くしようとするのは『良いこと』なのか?」を考えるキッカケが得られたのはありがたいことだと思いつつ、キッカケが無く日々が過ぎ去っている人もいるはずなので、その人達とこの考えをどう共有するかも一つ考える必要があるポイントだなと感じます。

モヤモヤを熟成させよう

これまでは、1 冊の本について 1 回のイベントで完結をしていましたが、「モヤモヤを熟成させたらどうなるか?」という実験をしてみたくて、同じ本をテーマに再度イベントを開催します。

初回に参加されたかたも、この記事を読んでモヤモヤしたくなったかも、一緒にモヤモヤしませんか?

ご紹介した本は「C の辺り」で借りることができるので、興味がある方は是非、お立ちよりください。

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