妻の記録:奥様はおでんが好き
妻が右手を打ち身してもう4ヶ月目に入る。多少自分で右手を動かす。夫の料理はワンパターンである。美味しいので、肥え始めた。しかし、他方で飽きてきている。
「おでんを作りたい」
繰り返し投げかけられる。妹から大根と白菜を貰うと、火が着いた。「大根をおでんにして食べたい」。
一緒に買い物に出かけたいという。連れて行くと、おでんコーナーで食材を選び出した。ダシからは作れないと踏んでいるようだ。「大根おでんスープの素」をカゴに入れた。
夫は大根を切れる。平天を切り、すじ肉を入れ、コンニャクを切り、卵を茹でた。煮ること30分。
「できたど-」
意外に、というか、当然と言うか、それなりに食べることができる。
翌日、余ったスープを、豚肉を炒めて、白菜と炊き合わせ、投入。見事といってもよい仕上がりだ。白菜は半分だけ、残っている。
妻はおでんが好きだ。また、すぐ食べたいという。同じようにメニューを買いそろえ、おでんを作る。2回目には大根に隠し包丁を入れることができた。
翌日、残ったおでんに、半分残った白菜(白い部分は取り去る)に、ごくうの豚肉を借用し、残して置いたスープを投入してできあがり。
「美味しかった」といって、夕方のリハビリ前に昼寝している。「よく寝るね」も、もう言わなくなっているが、本当によく寝る。