ChatAIの一つの意義:会社のサポート部門にChatGPTを導入する効果をみると

・Shakti Noi(2021)『Efficient algorithms and hardware for Natural Language Processing』*所属MITのPh.Dからの部分抽出。+渡辺安虎「生成AIが「底上げ」する生産性」「エコノミストの360°視点」『日本経済新聞』2023年5月19日付。

Shakti Noi(2021)によると、サポートセンターに、ChatGPTを導入した場合、新人スタッフほど生産性が上がりやすいことが示されている。

例えば、ChatGPTの導入によって、問題解決スピードが35%アップしている、という。サポートセンター歴2カ月のスタッフが6カ月のスタッフと同等のパフォーマンスを発揮できるようになった。

ChatGPTの効果には、いくつかの側面がある。AIを導入することによって、労働市場は大きく変わることが予想される。

ChatAIはネットワールドを学習し、システムを組み上げる。間違いや、ありえない学習結果は散見されるものの、基本的・汎用的な学習結果はかなり有益である。

Userはこのような汎用的な学習結果を利用すれば、自分で習得する学習効果を時間的に早く習得することができる。しかも、新人が習得できる水準を越えて、業界平均の上の層を習得し、利用することができる。

結果として、新人がChatAIを利用できる環境が整備されれば、早い内に平均レベルに近づくことができるだろう。

ChatAIの学習水準は、AIの学習が行われる源泉が学習当時の、いわば「業界水準」に匹敵するレベルに相当するから、業界の水準を超える知見は、ChatAIが学習するまでは、高スキルの人には役立つことはむつかしいだろう。

スキルの向上が、学習によってChatAIに取り込まれるまでには、あるいは労働者の生産性に投影されるまでには、時間が掛かるので、この面では緩慢となる。それでも、高スキルの人にとっても、時間生産性が向上すると思われる。