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ごくうが行く:寒さに弱い犬の友達
標題画像:https://www.axa-direct.co.jp/pet/pet-ms/detail/8701/から。
ごくうは犬よりも人間が好きだ。特に、若い男の子は大好きだ。でも、男の子は「かわいい。」といってくれるだけで、少し物足りない。その点、女の子は優しく撫でてくれる。ごくうの選球眼は素晴らしい。これはと思うかどうかは分からないが、これぞという機会は逃さない。
小型のトイプードルを連れた女の子が前から来た。ごくうが近づいていく。ごくうの目に狂いはなかった。トイプードルはごくうに挨拶すると、すぐごくうを連れた飼い主に挨拶する。ごくうは間隙を縫って女の子ににじり寄る。案の定、女の子は「かわいい。」といいながら、撫でてくれた。
しかし、トイプードルも身体を翻し、ごくうに躙り寄る。ごくうは後ずさり。ごくうはやたら動くワンちゃんは苦手だ。トイプードルがごくうから放れると、すかさず女の子に躙り寄る。また撫でて貰う。
何度か繰り返すと、トイプードルは満たされたのか、前を向き、歩く姿勢になる。ごくうもあっさりしている。女の子に背を向けて歩き始める。
その女の子にはお姉さんがいた。
「あれっ、ミハルちゃん。」
トイプードルで家族と分かる。お姉さんはごくうの話を聞いていたのか、
「ごくうね。」
と言いながら撫でてくれる。
それ以来、お姉さんとは今まで7回くらいしか会っていないが、ごくうを見ると、軽く撫でては散歩を続ける。
真冬に、お姉さんと家から出たばかりで出会った。
「あれ、ミハルちゃん。」
「あれ、ごくうちゃん。」
ルーティンの挨拶を終えると、同じ方向に歩いたが、ごくうは寄り道。ミハルちゃんはさっさと歩く。四つ角近くで分かれた。ミハルちゃんは右に、ごくうは信号を渡る。
「バイ、バイ」
ごくうはいつも信号を渡ると、大回りする。ごくうは寒さに弱いわけではない。どちらかというと、寒さに鈍感なのか、真冬でも平気で散歩する。しかい、今日に限って近道で回る。ごくうが行くところがごくうの散歩道。
元の信号の所に戻ってきた。信号を渡るという。ここの信号は歩行者がボタンを押す。青信号になって歩道を渡りきると、お姉さんが帰って歩いて帰ってきている。
「あれっ、ワンちゃんが見えない。」
そう思ったときには、お姉さんはごくうの目の前。
「この子ったら、寒がりなんだから、半端ない寒がり!」
見ると、ミハルちゃんは「懐犬」。小さいミハルちゃんは、お姉さんのジャケットの中で傍目で分かるブルブルを繰り返している。あれだけ喜んで散歩していたのに、押し寄せてきた寒さには適わない。
「早く、帰ってあげて。」
交差点で分かれて行く。ごくうは寒さなんか感じないのか、黙々と歩いて行く。でも、今日は近道だったような気がした。