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習作:「量子の扉」を開け

メモ:エンタングルメント=「量子系の相関のこと」と言っても不分明だが。量子のもつれ(quantum entanglement)といっても不分明だが。

パラレル都市・ネオシティ。そこでは、すべての問題が膨大な計算に基づき、日々の生活が営まれている。しかし、ある日、「エクスプローラー・プロジェクト」では賄いきれなくなっている。

未知の複雑な問題に対処するために開発された新型スーパーコンピュータ「ゼン」の中で、次元のことなる膨大な計算時間が必要とされるタスクが発生した。数兆年かかる計算を解決できるのは、今の技術では不可能だった。

量子物理学者ヘレナは、ある日、苦悶のもつれに夕刻の海を放浪歩きする。「綺麗な夕日だ、キレイな空気だ」今まさに太陽が沈んだ。その瞬間、太陽の光が緑色を放つ。

ヘレナの脳裏のもつれが解き、ひらめきを得る。量子コンピュータの「重ね合わせ」と「エンタングルメント」(量子もつれ)の力を活かし、複雑な計算を一瞬で解ける量子チップが浮かんだ。やがて、ヘレナは量子チップの開発に成功した。

チップを「ノヴァ」と名付けた。ヘレナはノヴァをゼンに組み込み、システムを再体系化する計画を立てる。しかし、ノヴァのテストは前例がなく、成功するかどうかは誰にもわからなかった。

運命の瞬間、ヘレナはノヴァをゼンに接続。計算が始まる。その瞬間、目の前に無数の可能性が広がるように感じた。量子ビットが踊り、ゼンの内部でエンタングルメントが起こる。わずか5分後、世界が静まり、見守る中、システムが動き出した。

「成功・・・」

ヘレナはホッと息をつく。

その時、人々は未来がまた一歩進んだことを実感

緑閃光・南極

2022年のノーベル物理学賞は「量子もつれ」(Quantum Entanglement)という現象を実験で証明した研究者三人に授与された。 量子もつれとは、二つの量子(物理特性の最小単位)が離れていても、両者の動きは連動しているという現象を指す。