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ごくうが行く:カラスがねぐらに帰る あるいは 「長夜の長兵衛」

注)カラスの記述は必ずしも学術的なものではない。

ごくうの散歩には、妻が同行することが多い。冬など、季節によっては、ちょうどカラスが陣立てのように飛んで帰る頃と同期する。ごくうのマーキングは長い。いつも遅れる妻も追いつく。

「カラスが帰って行くわ」「どこに帰るんかね」

カラスの陣立ては雁行形態のように規律しているわけではない。それでも、並んだように複数のカラスが飛んでいく。互いに「かぁ~・・・かぁ~」と。

「何を話しているんかね~」

妻は呟くとはなしに呟くように話す。

妻は田舎生まれの、田舎育ち、田舎暮らし。都会のカラスは見たことはない。黒々としたカラスが道路でエサを漁っていても怖がりはしない。

「あれ、見て、見て」

指さしながらカラスの動向を観察する。決して怖がりもせず、嫌がりもしない、親しみがこもっている。

今日も夕暮れ前の空にやや不規則な陣立てで西に向かって7羽が飛んでいく。妻は指さしながら、カラスの行方を追っている。カラスが飛び去って、2月下旬は一番星・金星が二番星・木星とともに、それほど間を置かず、輝き始める。

松原始『カラスの教科書』は穂音さんの蔵書の一つだ。穂音さんの愛犬が「ここ掘れわんわん」とほえる。「長夜の長兵衛」は二十四節気シリーズだ。愛読してきた。その雰囲気を何に喩えよう。

長夜の長兵衛も「カラス」が好きだろうか。