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ごくうが行く:いや行かない!

おび

ごくうは散歩の時間になり、30分前を過ぎると、急かすように、クーンクーンと鼻泣きする。5分前になると、「ワン」と軽く促す。予定時間を過ぎると、怒りを込めて「ワン、ワン」と強めに吠えて促す。

一昨日、散歩の時間になっても、動かない。こたつの側でカバーの上に居座ったままである。

「アレッ、いつものごくうではない。どうした?」

リードを持っても、動こうとはしない。しかし、座り直して、正面を見る。リードを付けてみる。立ち上がりはしないが、嫌がる様子を見せない。

「ごくう、散歩に行こうか。」

リードを揺らして促すと、立ち上がり、歩き出した。

歩きながら考える。「どうしたんだろう。」いつものようではないが、コンスタントに歩く。どこか弱々しい。しかし、余分に散歩コースをはみ出てあるく。

「おかしいねぇー」

疑問を残したまま散歩から帰ると、いつも食べないごくうが普通に食べる。

「おかしいねぇー」

しかし、翌日になると、ごくうが動こうとはしない。抱っこしながら、2階から下ろすとこたつ布団の端に寝たまま動こうとはしない。1回だけ庭に出ただけで、散歩の時間(4時)になっても微動だにしない。

「これはおかしい、病院に行こう。」
土曜日なので、獣医科病院に電話。
「今から連れていらっしゃい。」

病院に行くと、
「そこを歩かせてみなさい。」
ごくうはマーキングしながら歩いて行く。
「尻尾がダラーンとならないので、頸椎に問題はないね。」
ごくうを診察台に促される。獣医師は熱を計った。
「熱はないね。伝染病や感染症はないね。」
次々と診察し、
「様子をみようか。」

ごくうを車に運ぶと、手が腰に当たり、「キャン」と啼いた。どうも腰を痛めていそうだ。

帰りの車の中で妻と原因を探る。
「アヒル投げが原因かな。」
「おとうさんがやらせすぎよ。」
非難される。

家に帰っても動こうとはしない。散歩も諦めて様子を見る。一切動こうとはしない。そのまま2階に上げると、寝たまま動かない。

翌日になっても動こうとはしない。昼寝の時間になると、側に来た。一緒に寝るという。起きてみると、歩いて行く。散歩時間になると、リードを付けてと立ち上がる。坂を上がるときと、坂を下るときには立ち止まり、見上げる。抱っこしての合図。

坂を下るとき、マルチーズと二人の女の子に出会う。マルチーズは気に掛かるのか、何度も振り返る。ごくうは知らぬ振り。

公園まで帰ってくると、男の子が鉄棒で遊んでいる。男の子は鉄棒で遊ぶのを止めると、ごくうに自然と寄ってきて頭を撫でる。ごくうを芝生に下ろしてやると、盛んに撫でていた。

家に帰ると、いつものように振る舞っている。

「もう大丈夫そうだね。」
「もう少し用心しましょう。」
心配性の奥さんに従いましょう。

ごくうが明日は普通にできますように!

おび